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気がついたらJS4の保護者になってました。  作者: 軽羽春
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23/56

#23 帰宅


 俺は里琴を探さずに、そのまま家路についた。

 自分の考えには自信があった。確信といえるかもしれない。家に帰れば、里琴が待っていると。


 そして今、目の前には想像どおりの光景があった。


 里琴は玄関のドアに背をもたれさせて座っていた。一昨日と同じように、体育座りで、膝で頭を挟み込むようにして。あの時と違うのは、大きなキャリーバッグがなく、その代わりに買い物袋があることぐらいか。


「・・・ただいま」

「・・・」


 里琴は黙って俺を見上げた。


「早く入れ。今度こそ風邪を引くぞ」


 俺はドアを開け、里琴を招き入れた。里琴はのろのろと立ち上がる。二日前とは違う生気のない顔をしていて、目線は下を向いている。


「重かっただろ?買い物袋」

「・・・別に」

「買ったものは冷蔵庫に入れてくれるか?入れ方は適当でかまわんから」

「・・・私、出ていく」

「?」


 里琴はキッチンに買い物袋を置いて言った。


「出ていく?」

「うん。ここを出て、違うところに行く」

「違うところって、どこに?」

「・・・お母さんのとこ。帰ってきたって、さっきメールが来た」

「本当に?」

「うん」

「じゃあ、そのメールを見せてくれ」

「・・・間違えた。メールじゃなくて、電話」


 里琴はキャリーバッグを乱暴に開け、荷物を詰め始めた。


「アイスの味はどうだった?」

「・・・美味しかった」

「何味を食べたんだ?」


 里琴の動きが止まった。


「チョコレート」

「おかしいな。あの店にチョコレート味は売っていなかったはずだが」

「・・・何味だっていいじゃん。関係ない」

「もう、嘘はつかなくていい」

「・・・」


 俺は里琴の前にしゃがんで、目線の高さを合わせた。


「本当はアイスは買っていないし、食べたいとも思っていなかった。そうじゃないのか」

「・・・」


 里琴はぬいぐるみのみーちゃんを、ぎゅっと握りしめていた。爪が食い込むぐらいに。


「なのにアイスをねだったのは、バス代がいるから」

「・・・」


 そう、里琴は自宅までひとりで帰るつもりだった。だが、徒歩では道が分からない。だから、バスに乗る必要がある。しかし里琴はバス代を持っていない。思いついた苦肉の策が、アイスを口実にしてお金を無心することだったというわけだ。


 なぜ里琴はそんな回りくどいことをしたのか。

 それは、一人で帰る必要があったからだ。つまり、俺と一緒に帰ることでは目的を達成しえないから。

 その目的とは――


「ありがとう」

「・・・?」


 里琴は驚いたように顔を上げた。


「俺を守るために、一人で帰ったんだろう」


 里琴の反応をみるに、どうやら正解のようだった。

 俺は自分が推理したことを、静かに話し始めた。

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