#1 俺のベッドで女児が寝ている件
プロローグ的な。
なんでこんなことになったんだ。
外は寒く、夜半すぎには雪が降るという予報だった。人通りもたえているのか、窓ガラスの向こうはしんと静まっている。
つけっぱなしのテレビを消すと、エアコンの稼働音だけが部屋に響いた。それ以外は静かなものだった。
静かな生活。
それは俺が望んで手に入れたものだった。駅からは少し離れた立地。2LDKの賃貸マンション。家賃はそこそこ。隣人との関わりもなく、満たされた、静謐な生活が続いていた。日々ほそぼそと物語を書き、できるだけ人と接接せず、たいした贅沢もせずに暮らしていくには、十分すぎる環境だった。
ずっと、それが続くものだと思っていた。
だが。
俺はベッドの傍らに立ち、呆然としていた。
ベッドはニトリで買った、クイーンサイズのベッドだ。シングルベッドにしなかったのは、少しは寝心地が良くなるかなと思ってのことだ。別に誰かと一緒に寝ることなど、考えたこともない。事実、この家には客すら来たことがないのだから。訪れたことがあるのは、amazonやUber eatsの宅配人ぐらいなものだ。
だから、このベッドで自分以外の人間が寝ることなど、終生ありえない。そう思っていた。
だが。
今やそのベッドには、俺ではない人間が、その小さな身体を横たえている。すやすやと寝息を立てるたびに、肩と胸が上下している。起きる気配は全くない。
俺は深くため息をついた。
なんでこんなことになったんだ。




