三話 〜ラルアはおじさん(?)に認めて貰った!〜
俺の名前は巴 優牙!生粋のオタクだ!強盗に刺されて転生したり勇者なれ言われたり…ついでに魔王もう死んでるしーいじけたくなってくる〜。でも俺には癒やしが1人だけいて、もう可愛いの。ヤバイの。今その娘からちょっと話を聞いてるところ。んー…まあ聞いてて心地良い話ではないけれど。その娘の生い立ちが残酷でね?なんせ元奴隷だし…主人に虐待されてたところを助けたんだけど悲しすぎる…
「と、言うわけです。私の愚かさだったんですけどね」
この娘がラルアちゃん。灰色の毛並みに金色の目を持っている可愛い狐の亜人の女の子。でもこの話をラルアちゃんがしている時に息が荒かったし、顔色も悪い。休ませた方が良いかな。
「ラルアちゃん。1回休んだ方が良いよ」
「…やっぱり私は要りませんか?ユウガ様」
俺はラルアちゃんを抱きとめた。咄嗟の行動だった。これで安心出来るなら…こんな俺の胸で良いなら。
「そんなこと無いよ。ラルアちゃんはもう立派な俺の家族。俺が、この俺が攫ってきたんだから。心配しないで?」
「…では、何故私に休めと?」
確かに不思議だよね。話をしていたら急に休んで、なんて言われたら。勿論即答。
「理由は息が荒いし、顔色も悪いから。そんなの見たら家族として、放っておけないだろ?」
「うう…」
ええ⁉なんで⁉えっちょっ俺はどうすれば良いの⁉とりあえず慰めよう!
「ど、どうしたの?ラルアちゃん」
「…いえ、すみません。あまりにも嬉しくって…つい」
そんなに?でも良かった。そういう理由なら。でも女の子の涙は見たくない。童貞だけど。アニメでも、見たら嫌だし。ハンカチあったっと。ふきふき。
「ユウガ様?」
「女の子は泣いちゃダメだよ?可愛い顔が台無しになっちゃう。」
イケメンセリフ言ったー!俺じゃ似合わないけどさ。でも、もう大丈夫かな。まずは…風呂に入って貰おう。体もボロボロだし、大事な髪もボサボサ。その後、ベッドで休んで貰えば良いよね。女の子として見た目とかは大事だし。
「はい、もう泣きません」
「よし、んじゃラルアちゃん。とりあえずお風呂に入って来て。」
「はい!それとラルアと呼んでください!そっちの方が慣れているので。」
んー…違和感はあるけど他でもないラルアちゃ…ラルアの頼みだし、気を付けないといけないな。
「分かったよ、ラルア」
頭ぽんぽん。耳毛がふわふわで気持ちいいーずっと触ってたい。
「くすぐったいですよ、ユウガ様」
おっと、忘れてた。あ、風呂の場所教えないと。
「お風呂はここの廊下の突き当りにある、右のドアだよ」
「はい、では行ってきます!」
よし、ベッドの準備しなければ。この後にふかふかベッドで寝てもらうべく、俺は頑張る!まずはシートとブランケットを天日干しして…部屋全体の換気をするために風の通りが良くなるように窓を開ける。その後、ホコリを見逃さないように掃き掃除&雑巾掛け。天日干しが終わったらシーツ達を元に戻して香水を少し撒く。あ、枕忘れてた。魔法でなんとかしよっと。熱風ってあるかな?うーんと…あ、これなんていいんじゃ?
「行くぞー【プチファイアーウイング】!」
お?いい感じ。カラッカラに乾いてる。んじゃこっちにも香水を撒いて…よし、完成!あ、ラルアの髪とか尻尾も乾かせそう。もっとふわふわに…フフフ楽しみ。
「ユウガ様ー終わりました」
「はーい!」
迎えに行こっ!あと、試しに乾かしてみよ。
「ラルアーちょっとこっち来てー」
「なんですか?ユウガ様?」
魔力を最小限に抑えて…【プチファイアーウイング】!
「凄いです!適度に暖かくて…だんだん眠くなって来ました」
それなら早速寝室へ!存分に休憩して貰おう!
「さ、こっち来てー」
「分かりました!」
どんな反応をしてくれるかなー。ドアオープン!
「…!」
凄く驚いてる!成功かな?…ん?でも震えてる。もしかして至らぬ部分があったり?
「ラルア、不満だった?」
「いえ、嬉しすぎて…ここまで綺麗な寝室で寝るのは久し振りなので」
その後、色々話をしたりしてからラルアはぐっすり寝てくれた。こんなに気持ち良さそうに寝てる姿を見てると掃除の甲斐があったよ。うーん尻尾ふかふか。枕にして寝れそう。
「ん…今日も…ご奉仕させていただきます…」
奴隷時代の夢⁉一刻も早く変えないと!えーと…?どうしようー!
「んー…ユウガ様…激しいです…」
早くしなければ…って、え?ユウガ???ぜっっっっったい俺だよね?
「でもユウガ様なら、なにをされても良いです…あっそんな事まで…」
そんな事して無いよ⁉てか、なんか顔も幸せそうだし!あ、お菓子とか口に入れたらいんじゃ?美味しいお菓子。んー…ドーナツ辺りで良いか。あの棚にあった筈だけど。スタスタ。あったあった。じゃあ…チョコにしよ。いや、女の子だし苺の方が良いのか?
「えーい!もうどっちもにしてやる!」
「むにゃむにゃ…」
可愛い…じゃなくって!
「ていっ」
「ふがっ」
あっ、大丈夫かな?喉詰まらないかな?
「ふわふわ〜あまーい」
「ふう、良かった…喉詰まらせたら俺の罪悪感がヤバくなる」
ホントにね。まあ、あの夢を消せて良かった…。暑いから顔洗いに行こっと。…ってあれ?ハンパないレベルに顔が赤くなってる?…興奮してるのか、俺は。童貞のクセに…いや、待てよ?俺ってもう童貞卒業してるんじゃね?女の子と1つ屋根の下で暮らす?そんなの童貞じゃねーじゃん!
「うう、思い出したらまた興奮してきた」
でも、ラルアは俺の妹みたいな感じだから大丈夫…な筈。うん。戸籍上でも俺の妹にしとけば問題無し。妹と同居してるだけだから。あ、そろそろ戻ろ。
「んー…もちもちドーナツ食べたいー」
やっぱラルアも女の子だなあ。ドーナツとかマカロンに憧れる年頃なのかも。そういえば、ラルアって何歳だろ?聞いてないな。
「んー?ユウガ様?」
「あ、起きた?」
「はい、起きましたー」
「ゆっくり寝れた?」
「はい勿体無い位に」
それなら良かった。あ、おじさんに伝えてこよ。
「ラルア、おじさんに挨拶行こっ」
「はい!かしこまりました!」
可愛さでおじさんも死ぬはず!…ある意味色仕掛けだよね。さーて、行きますか。戦いへ!
「ユウガ様?何故ガッツポーズしてるんですか?」
「頑張ろうと思って」
「?」
まあ何とかなるって。…でも、ラルアの色仕掛けなら俺でも引っ掛かりそう。てか、やんないよね?奴隷時代にやってそうで怖いな。
「おじさーん、ラルアを連れてきたよー」
「おう、でも俺は落ちないぜ…っておおお⁉」
やっぱりか。これ見たらこうなるよねぇ〜ラルアマジ天使!
「初めまして!えっと…なんとお呼びすれば良いですか?」
「そりゃあね?ご主人様に決まってるだろ?ラルア」
多分、物凄く悪い顔してたと思われる。
「分かりました!ご主人様ですね!」
えー⁉普通信じる⁉嘘だと思うやろ!おじさん顔面蒼白。あー…弁解しよ。って、あれ?おじさん気絶してない?
「おーい、おじさーん」
うーむ、起きない。どうしたものか…
「ラルア、この人の事はエルアおじさんと呼んでね?」
「んー、エルア…様?」
やっぱりそうなるかー!でもまあ、生い立ち的にしょうがないとも言えるよね?…完全に犯罪臭が凄い空間になるけど。
「んん…ユウガ、今のは幻影か?」
「ううん、現実だよ、おじさん」
幻影だと思ってたの⁉…分からないでもないけど。
「エルア様、大丈夫ですか?」
「……様?ユウガ…」
おじさん、止めて!そんなゴミを見るような目で見ないでっ!
「あのね、おじさん。この娘は元奴隷なの。だからこんな感じで呼んじゃうの」
「まあ、それならしょうがないか…」
良かったー。ラルアを認めてくれたみたい。うん、クエストクリアだな!
《ラルアはエルアに認めて貰った!》
四話に続く
今回は中々カオスにするべく、思考を巡らせましたね…とにかくラルアの奴隷時代の癖が出てしまった回でした!四話もお楽しみに!
byゆりらるら