物語の始め方、主人公の説明に対する考察
物語の始め方について考えたことはあるだろうか。
大抵の物語は主人公の自己紹介から始まる。
例えば、主人公が直接、読者に対して直接語りかけるように話す、いわゆる少しメタ要素を含んだ紹介の仕方がある。
僕は○○高校の○○で、今隣にいるのは友人の○○......という感じで始まる形式の物だ。誰しも一度は読んだことがあるだろう。最も一般的かもしれない。
他には、物語の中の登場人物に、主人公を紹介させる形式の物もそこそこ多いと思う。
「あ、あなたはまさか、あの伝説の呪われた剣士!」「そ、そうだ!その額の傷......間違いない!」「そんなまさか、十年前の戦で死んだはずじゃ......」......という具合だ。
主人公が自分で、俺は十年前の戦で死んだはずの額に傷がある伝説の呪われた剣士だ。などと言いはじめたら格好悪いことこの上ない。しかし、この方法を用いれば自然に、しかも格好良く主人公の説明ができる。
ちなみに、今までで僕が最も感心した主人公の自己紹介は、主人公が精神科医に診断される場面から始まる、というものだ。
主人公の性格を客観的になおかつ自然に説明させるのに、精神科医ほど適した人間が他にいるだろうか。
さらに、精神科に受診しているということから、この主人公の性格は普通ではないということも示せる。
最初の部分だけで、主人公の価値観、育っている環境、コンプレックスなど多くのことがわかりやすく伝わってくる、素晴らしい自己紹介だった。
......正直言って真似したい。いや、しないけど。絶対しないけど。けれど、これを超える主人公の説明の仕方を僕は今まで読んだことがない。
本当のことを言うなら僕は、しょっぱなから主人公に自分語りをさせたい。生死観や人生観など、重たくて面倒くさい内容をひたすら主人公に喋らせたい。
どうしたら、そういう内容を自然に話している環境を作れるだろうか。うーん。
......やっぱり精神科医に......いや、しないけどね。