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勇者アイドル百合ハーレム ~アイドルな勇者が百合ハーレム率いて魔王討伐~  作者: 浦和マサツナ
第2章 百合ハーレム 〜ヴァルキュリウルス・セラグライオ〜
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第35話 魔族となった男達

「魔族」という新しいキーワードが、会議の場を荒らした。


 会議に参加している主なメンバーは、勇者披露パーティーの現場に居た、リントゥコト王国とスヴェンセン公国の王族、大公家族。そして両国の重要幹部に加え、やはり現場に居た王国連合他国の使者達だ。


 当然王国騎士団のトップたるネストリ団長に、王国首席魔導士であるユスティーナさんも出席している。残念ながらウルシュラちゃんには参加権限が無かったらしく、姿が見当たらない。


 通常このような場面では大国であるリントゥコト王国側が仕切る物だが、今回の騒動を引き起こしたイェルクとアグリコラの両名ともリントゥコト王国の人間であった為、一晩にして両国のパワーバランスが大きく崩れた。


 王国連合主導権はマティルド姫の出身国であるスヴェンセン公国に移りつつある。


 それを内外に示すような形で、私は今朝、マリーイ様の部屋からマリーイ様と共に直接会議場へと向かった。途中で合流したマティルド姫の冷たい目線が射すわ刺さるわ。


 いやいやいや、マリーイ様とは『なろうの方では』何も無かったですよ?


 話しを「魔族」に戻そう。


 これはイェルクとアグリコラ……人類を裏切り、魔王に忠誠を誓ったとされる二人、及び、今後も現れるであろう人々に、王国連合が公式に决定した名称である。


 曰く、忠誠と引き換えに魔素を制御する力と、物理的な力を引き上げてもらったという。それが彼らの肉体構成を魔物並にさせている理由である。


 しかし、囚われた二人は否定した。 あのパーティー会場と公演で魔物を召喚したのは彼らでは決して無いと。


 そもそもこの二人は魔王に真実に忠誠を尽くした訳ではないと言う。話しを信じるのであればだが……。


 イェルク第二王子は自身を国王の座に近づく力を得る為、仲の良かったヴァッサ侯爵の次男アグリコラを誘って魔王へと謁見したと言う。


 アグリコラはというと、身分上逆らう訳ににもいかない。ならばいっその事、自身もその力を得れば魔王に対抗できるのでは? そして今後イェルクが暴走してしまった時の抑えになるのではと、その力を受け入れる事を決意したようである。


 イェルク曰く、アグリコラはイェルクに、『もし俺が暴走したら、イェルク、お前が止めてくれ』と伝えていたという。


 ともあれ、両名とも決して人類を裏切るつもりは無いと弁解をした。



 そして議題は、では魔王はどのような人物であったのかという事に移るが……


「魔王や幹部は全員人語を喋りますが、全員が魔素の甲冑に身をつつ、形状も様々であったと、二人の記憶からは読み取れました」


 聞き取り調査に加わっているユスティーナさんが報告を続ける。


「魔王自身は人の形をしていますが、年齢どころか男であるのか女であるのか。はては本当に人間であるのかどうかすらも不明です」


 しかし……『魔族』という存在を作り出せるのだ。魔王が元は人間であってもおかしくない。これがゲームなら、どこぞの絶望した人間が『力が欲しいか……』的な展開で魔王になった、みたいなパターンがありそうだが……。


「なぜ人間を攻撃しようとするのか、その基本的な理由すらも、イェルクとアグリコラには伝えられていない模様です」


 彼女たち王宮魔導士の一部の人間にのみ、その使用を許された魔法が幾つかある。自白を促し、記憶を読み取る魔法もその一つだ。被疑者たる両名の記憶には強大なプロテクトがかかっていたが、操作された痕跡は見当たらなかった。少なくとも、彼ら自身が語った事には嘘はないようだ。それが真実ではないにしても。



「「「ふう……」」」


 おおよその報告を聞き終わり、誰もが冷や汗を流し、ため息をもらした。


 魔族という、元人間が半魔物となった存在。


 王国、公国どころか、世界中のどこに居てもおかしくない。もしかしたら今隣に座っている人間が実は魔族であった……なんて事もありえるのだ。念の為、会議参加者及び、警備者には全員スキャンの魔法がかけられているが、根本的な恐怖は拭えない。



「そこで、私からの提案です」


 マリーイ様が発言許可を求めた。


「こちらにいます勇者ゆりか様の歌と踊りで魔物や魔王に対抗する術を、我々人類は手に入れました。しかし、どこに魔王の手先……魔族がいるかわかりません」


 しん……となる会議場。これまでにも、人類の一部が魔王の手先になっている事は想像が付いていたが、まさか魔族という存在になっていたとは。誰も予想が出来なかったのだ。


 軍事行動を起こそう物なら、即座に内部から呼応されて崩壊するだろう。考えてみると、これまでに魔王軍への進行では、戦線があまりにも早い段階で崩壊していた。それは魔王軍が強大なせいだとばかり思われていたが。それもまた魔族となった兵士や軍幹部の行動だったのだろうか……。


 猜疑が更なる不信感を呼び起こしかねないそんな状況下で、マリーイ様が続ける。


「そこでゆりか様の存在です。 ゆりか様は元踊り子ですが……私達の世界のそれとは違い、彼女のいた世界では神に踊りと歌を捧げる巫女のような存在……アイドルと呼ばれております」


 あ、話を結構盛ってきたぞマリーイ様。横にいるマティルド姫や、司会を務めているユスティーナさんも苦笑いをしている。


「ゆりか様に彼女専用の集団を組織させ、表向きには踊り子集団として活動させまる事を提案いたします」


 どよめく会場。 表向きは踊り子集団。実は対魔王軍遊撃部隊。参加者は基本全員女性で踊り子となる。そんな事が可能なのか?


 否! 私がいるから可能なのだ!

 もちろんサポートや警備の人たちに男性は必要だが、 メインメンバー……つまり私の力を共有するのは全員女の子である!


 つまり!

 つまり私の百合ハーレムが❤

 ついに設立してしまう❤❤



「ここに勇者・富士見ゆりかさま率いるアイドル集団『ヴァルキュリウルス・セラグライオ』の設立を、私達スヴェンセン公国は支持いたします!」


 マリーイ様が声を一段と張り上げ、そう宣告した。


 おおおっ!!! と会議場から盛大な拍手が出る。


「ならば我らリントゥコト王国も『ヴァルキュリウルス・セラグライオ』を全面的に協力しよう!」


 リントゥコト王国国王も、これ以上主導権を奪われまいと、真っ先に賛同してきた。それに続いて、他国使者達も肯定的な意見を述べだす。



「事実上、ゆりか様の百合ハーレムよね?」 と 傍でウインクしてくるマティルド姫。

「もちろん、私もついていくわよ?」

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