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何だ?これ!

福袋の中には何が入っていたんでしょうね。

 自分の部屋に入って、(はるか)が一番にしたのは福袋を開けることだった。

小さな一人用のコタツの中に入ると、テーブルの上に福袋をのせてキッチリと貼られていたガムテープをはがしていく。


ドキドキしながら袋の中へ手を入れて、最初に出てきたのは・・・真っ白な毛糸のキャップだった。スキーの時にかぶるものよりもふかふか感が薄い。ニットキャップというより頭を怪我した人がかぶっている包帯の代わりのキャップみたいだ。

え、私の帽子ってこれなの?

美玖(みく)の福袋に入っていたペールピンクのおしゃれな帽子との違いに、(はるか)は少し落ち込んだ。

あの店員さんは企画以上のものが入ってるって言ってたのにー。嘘つきー。

あ~ぁ、私も美玖(みく)みたいな帽子が良かったな。ピンクはかぶれないけど、ブルーとか・・・。

溜息をつきながら、一応コタツの横のカゴに入れている鏡を出して、帽子をかぶった自分を見てみる。


すると鏡の中には、美玖(みく)と同じ型のブルーの帽子をかぶっている、(はるか)のふてくされた顔が映っていた。


・・・・・・・ウソッ。

「えっ?ええーーーーーーーっ?!」


「お姉ーちゃん、なに大声だしてんの? あ、帽子ブルーだったんだ。お揃いだぁ。」

「み、美玖(みく)。これ、この帽子ってブルーに見える?! あのあのあんたと同じ型の?!」

美玖は二階の廊下から遥の部屋へ入って来ると、遥の側に来てじっくりと帽子を見て、不思議そうに鏡の中の遥に話しかける。

「一緒じゃん。ここのリボンの所は私のと違ってスッキリと流した形になってるけど・・。でもお姉ちゃんはリボンよりそのほうがいいって言ってなかった? よかったじゃん、お姉ちゃんの思った通りのデザインで。すごいねっ、あそこのデパート! 来年も福袋はあそこに買いに行こうよっ。」

「・・・うん。ちょっと私、他のも見てみるから美玖は部屋に帰ってて。」

「えーーーっ、私も一緒に見たいー。」

「最初だけ一人で見たいの。後で、後で持って行って見せるから。」

「ちえっ、秘密主義だなぁ。・・後で絶対見せてよっ!」

「約束する。」


美玖が自分の部屋へ入った音がしてから、遥はかぶっていた帽子を脱いだ。そして美玖が指摘した飾りの部分を見てみた。

・・・本当だ。「リボンだと子どもっぽいから、私だったら交差して流して、その上にポイントの飾りがついてる方が好みだな。」と電車の中で話したのだが、遥が自分で話した通りにデザインが変わっている。


なにこれなにこれなにこれーーーっ!

どーいうことなの?!


これ、包帯みたいな白いニットキャップだったよね。


遥がそう思った途端に、手で持っていた帽子が最初の白いニットキャップに戻ってしまった。


「えっ?!」

思わず帽子をコタツのテーブルの上に放り出して、両手で胸を押える。


これって、思った通りに形が変わるワケ?


『こちらは企画のものとはちょっと違うんですが、中身は企画以上のものが入っております。』

白髪をなでつけたおじいさんの店員さん、あの人・・・本当にあのデパートの店員だったんだろうか?

こんな物は今の科学で作れるとは思えない。

あの人ってもしかして未来人? いや、宇宙人かも・・・いやいや神様ってことも考えられるよね。

今流行りの異世界人だったりして・・。


「アハッ・・アハハ。」

なんか私、おかしくなってきてるかも。夢と現実の区別がつかなくなってるみたい。


・・・・・でも、夢だったら楽しめばいいよね。


(はるか)のいいところはこういうところかもしれない。いつまでもクヨクヨ考えないし悩まない。前向きで、とにかくやってみよう行ってみようというような性格なのだ。


 思った通りに変わる帽子と仮定しよう。

「フム、じゃあ実験だ。」

遥は白いニットキャップをかぶって、三年前に通っていた小学校の水色のダサい帽子を思い浮かべた。

すると鏡の中の遥は懐かしい小学校時代の顔で自分自身を見返している。


・・・ちょっと待って。帽子が変わってるだけじゃなくて顔も若返ってる気がするんだけど。


えっと・・・実験だ。

遥は幼稚園時代の黄色い帽子をかぶっている自分を思い浮かべた。

すると鏡の中の遥は可愛い五歳児の顔になっていた。

遥が自分の身体を見てみると、ぶかぶかの服を着て小さい子がコタツに入っているのが見えた。


マジ?!


この帽子、ハンパないわ。

遥は元の白いニットキャップを想像して中2の自分に戻ると、ずれていたブラジャーを元に戻した。

ハハハ、年齢まで変わっちゃったよ。

あのおじいさんが未来人だっていう可能性はここで消えたねっ。


わかった。この帽子については理解?できたと思う。

次は、何だろう。遥が福袋に手を入れて出てきたものは・・・。

「なるほど、これか。」


遥は帽子について理解したと思っていたようだが、まだまだ違う機能があることをこの時の遥は知らない。

そして次に出てきたものは、またとんでもないものだった。

は、(はるか)。・・それでいいのか?

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