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乙女ゲームの世界

辺境の地、転生令嬢は王都にはいきませんから!

作者:Ami
よろしくお願いいたします。
「死ね!!!」

スーツ姿の私は暗いオフィスの中である書類を探していた。

驚き声のするほうへ振り向く前に・・・突然、私の背中に鈍い痛みがはしった。

刺されたの・・・?
正義を貫こうとした私がなぜ、ここで死ななければいけないのか・・・。
薄れゆく意識の中、悔しい・・・と私は呟いた。

次に目を覚ました時、私は幼児のようだった。
泣きわめくことしかできず、自由に手も足も動かせない、目も見えない。
もういったいなんなの!?
この現状を表す言葉を発したいのに私の口からは泣き声しか出なかった。

ふとぼやけている視界に、美しい桃色の何かが目にうつった。
目を凝らしてよくみてみると、軽いウェーブのかかった女性の姿が一瞬視界に映った。
母親だろうか・・・?
そうして私は、泣きつかれ夢の中へ落ちていった。

私は、どうやら転生してしまったらしい。
ここは山と川が広がる王都から遠く離れた辺鄙な領土だった。
私の父はここの領主で田舎の緩やかな時間を楽しんでいた。
商業や工業などは発展しておらず農業が主な収入源だ。
貧富の差が少なく、貴族などの階級社会もあまり広がっていないこの辺鄙な街で、幼女にして私はある計画をたてる。

私は、言葉を覚えるとすぐに書斎へと引きこもった。
世界情勢や、歴史、商業や、他国の事など私はこの世界に関する情報を収集していった。

5歳のある日私は、領地改革の企画書を作成し父の部屋へと訪れた。

父に私はこの街を豊かにしよう、お金の流れを作り大都市へと変化させようと提案した。
父は私の姿に眉をよせたが、私の書いた企画書に目を通すと驚いたような複雑そうな表情をし私の計画に賛同してくれた。
5歳児の考えに何も言わず協力をしてくれる父に今も感謝の念は忘れない。
だって幼児の私だけではこの計画を成し遂げることができなかったから・・・。

そこから私は、父を表舞台へと立たせ、私は裏で指示を出していく。
私自身は、ギルトを立ち上げ、前世の知識で得たこの世界にないものを作り、金持ちに売る商売をこっそり始めた。これで資金確保の目途がたった。
信用できる執事を使い、私の名前は一切表にはでないようにギルドを運営していく。
資金の調達が安定した頃、私は父に学校の設立を提案し、街民すべてに勉学を学ばせようとした。
最初は反感があったものの、資金はすべて領主がだすと言う条件で町人を集め知識を植え付けさせた。

さらに、優秀な人材を育てるため、私は孤児院へと赴き、孤児院を買収する。
孤児院の金を着服していたバカな貴族を郊外へと追い出し、孤児院の者に私の知識を与えていく。
勉強に向いているものを何名かピックアップし、私の屋敷へと呼び人材を育て上げた。
勉強に向かないものにもそれそれの個性を生かし、剣術や貴族の執事やメイドに必要な作法、絵や、音楽など孤児院にいた子供たちへと身につけさせていく。
そうして優秀な人材に身分を与え、私が建設した学校、ギルド、金融機関、警備隊へと送り込んでいった。
田舎町だったこの土地は数年で辺鄙な街は今では王都に次ぐ大都市と進化していった。
商業が発達し、人があふれていく。
役所を作り私の領土にいるもの全員に戸籍を配布した。
入口には関所を設け、治安維持のため変な輩は入れないように警備兵に勧告をだす。

そうして慌ただしく月日は流れ私は、16歳となった。

私はいつものように書斎で書類の確認を行っていると、ある商人が父への面会を申し込んできた。
この時期に珍しいわね、私は書斎から窓の外を確認し、面会を待っている商人達を確認した。

高級なシルクのローブを羽織、端正な顔立ちでエメラルドの目を細め紳士の微笑みを浮かべ、プラチナの滑らかな髪をかきあげる。女性が見れば頬を染めているだろう。

プラチナの髪の男の後ろには、燃えるような鋭い赤い目を輝かせ精悍な顔立ちをし、なにか武術でも極めているのだろうか、ガッシリした体つきだ。腰には装飾品が施される立派な剣をさしていた。

最後の一人はそんな赤い目の男と並ぶように歩く、こちらの容姿も整っており、無邪気な微笑みがかわいらしいオレンジの髪をしたあどけなさが残る少年だった。少年の手首には宝石が散りばめられたブレスレットを身に着けている。

この3人の容姿なら前世できっと某アイドルグループに入りキャーキャー騒がれていたであろう・・・。

商人であそこまで高級な物を身に着ける者がいるのかしら・・・?
面倒なことがおきそうね・・・。
私は、今の3人をみなかったことにしよう!と自分の仕事へと戻る。

彼らの事を忘れるように仕事に没頭していると、廊下からすごい勢いで走ってきているであろう足音が響いた。

ドドドドド

ドアにカギをかけようと立ち上がった瞬間、扉が勢いよく開き父が飛び込んできた。
遅かったか・・・。

「助けてくれ・・・あいつらただ者じゃない・・・・パパ一人じゃむりだよおおおおおおお」

泣きそうな顔で訴える父を見下ろしながら、まぁそうなるわよね・・・と一人こちた。
彼らは商人ではないだろうし・・・。
ただ目的がわからない敵陣へのりこむには不安ね。

「お父様いったいなにがあったの?」

お父様は今にも泣き出しそうな顔でぼそぼそと話始めた。
何でも商人達は自分達の会計書類を父へ見せたようで、私が教えたいつもの書類と全然違う見たこともない会計書類に混乱し、その会計書類をもったまま外にでようとしたところ赤い目の男に止められ、プラチナの髪の男がが怖い笑顔を浮かべ尋問してくるんだそうだ。
オレンジの男はただニコニコと笑って座っていたんだが、沈黙を守っていた父に苛立ちを感じたのか突然豹変したような態度に変化し脅されたそうだ。

うーん、父を追い込み私を誘い出す作戦のようね・・・。
面倒だが仕方がない。
私は、仕事の手をとめ、お客様へ会うためドレスへと着替える。
お父様に腕を絡ませ応接室へと向かった。

父は顔を引き締め彼らがいるであろう応接室の扉を開ける。

「失礼いたします、わたくしもお邪魔してよろしいでしょうか?」

突然の私の登場にオレンジの髪の男が吠える、

「大事な商談中に女なんて呼ぶんじゃね!」

私は毅然とした態度を崩さず淑女の礼を取り、彼らを見据える。
優雅に彼らが囲んでいるテーブルへと赴き机に散乱している書類に目を通していく。
ここまで完璧な会計書類初めて見たわ、でも矛盾点がいくつかあるわね。
これを読み解けるかどうか試しているのかしら?
受けて立ってあげましょう、そしてすぐに追い返しましょう。

「ぶしつけながら、この書類は矛盾点が多いですわ、こことこことそこ、何に支払われたお金なのでしょう?今さらっと見ただけでも矛盾点以外の不自然な点が多すぎます。こんな書類を提出するものに父の領土で商売をされるのは困りますわ。早々にお帰りください。」

ニッコリと笑顔のまま言い切る私に、プラチナの髪の男が笑顔のまま私へ視線を向ける。
端正な顔立ちの笑顔の奥に何かを感じ取った私は、背筋がゾクッとした。

「すばらしい、昨今のこの領土での突然の発展ぶりはあなたの指示なのですね?」

何も答えず私はただにっこりと微笑みを返す。
プラチナの男は返事をしない私にただただニッコリと優しそうな笑顔で見据えると、

「私たちと王都へ来ていただけませんか?」

突然の言葉に唖然とした。
王都に?なぜ・・・?

「ごめんなさい、商人と偽りここへ来ているあなた方の言葉に耳を傾ける必要性がないわ」

いきませんからね?
王都に用はない、面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだわ。
これ以上ここにいてもいいことはなさそうね。

「お父様、わたくし用を思い出しましたので、失礼いたしますわ。お話の邪魔をしてしまってごめんなさい」

淑女の礼をとり私は部屋を後にした。

彼らが何者であろうとも、もうかかわらないほうがいいわね。
あの書類の完成度は素晴らしいものだったが、あんなものを一商人が作れるはずがない。
あの会計書類が作れるのはきっと上位貴族の王宮の関係者・・・。

部屋に戻ると、不安そうな顔をしていた私にメイドが心配そうな顔をむける。
大丈夫よと一言メイドに伝えると、私はいつもの笑顔を貼り付け仕事へと戻った。

次の日、街へと視察へ出るため動きやすい服に着替える。

またあの自称商人3人組がやってきた。

もう勘弁してよ・・・。
私は彼らがこちらに来る前に屋敷を出て行こうと、慌ててワンピースに袖を通した。
彼らと鉢合わせにならないように注意を払い、私はこっそり裏口から街へと出て行った。
ふぅ・・・これで一安心ね。

馬車に乗り込み出発しようとしたとき、

「そんなにお急ぎでどちらへ行かれるのですか?美しいお嬢様」

聞きたくない声が聞こえた気がしたが、きっと空耳だろう。
さぁ早く出発するわよ、と執事へ声をかける。
聞こえないふりをする私にプラチナの色男が、私の視線に入るように周りこんできた。
ご一緒してもよろしいですか?と感情のこもっていない笑顔でそう問いかける。

はぁ・・・面倒ごとはいやなのよ・・・。
半ばあきらめ彼らの動向を許可すると、3人は私が乗車している馬車へと乗り込んできた。
ちょっと!自分たちの馬車でいきなさいよ!
そんな事は言えるはずもなく、プラチナの髪の男を睨むように見据え、笑顔のまま馬車へ迎え入れる。

「王都へきていただけませんか?」

またプラチナの男が優しそうな笑顔を浮かべ私へと問いかける。
私はその笑顔を見据え、何も言わず窓の外へ目を向けた。
絶対に行かないわ・・・。
彼の顔を見る限り面倒ごとでしかない気がするもの。

城下町は人で溢れ賑わっていた。
数年前までここは町の人が小さく商売をする市場だったのが今では国中の商人が集まる大都市と進化した。
私は設立したギルドへと足を運び、自分が育ててきた者たちへ会いに行く。
彼らとの挨拶を済ませ、ギルドの現状の報告へとうつる。
書類に目を通し、問題事がないことを確認すると私はギルドを後にした。

そんな私の様子を楽しそうにプラチナの男が見ていたことを私は知らなかった。

彼らはいつまでついてくるのかしら・・・?
次に向かう場所は彼らを連れてはいけない、いや・・・連れて行きたくないといったほうが正解か・・・。
馬車の前でどうしようかしらと考え込んでいると、見知った姿が目に留まった。

「お兄様!」

私はお兄様へと駆け寄り、抱きつく。
ブラウンの髪に深い茶色の目で私に微笑み、ただいまと優しく囁いてくれた。
兄は王都の学園へ勉強してくると、2年前に家をでた。
それっきり一度もこちらには戻らず私は寂しい思いをしていた。
お兄様の姿に久々に会えた喜びを伝えると、私の頭を優しくなでる。
お兄様はゆっくりと私から体を離し、3人組の商人らしき人物たちへと視線を向けた。
あら、お知り合いのようね。学園での知り合いなら王宮の方で間違いないようね。
彼らとお話があるんだ、いいかな?と問いかけるお兄様に笑顔で頷き、私は彼らを残して次の視察へと足を運んだ。

次に私が訪れたのは自分が経営している孤児院の一つだ。
この孤児院では将来警備兵や騎士になるために剣術を学べる場所へと作った場所だった。
そこでは今日も剣術を学んでいる生徒がたくさん集まっている。
前世の最後に背後から刺された記憶があるので、この人生は武術を極めようと、自己防衛ようの剣術をここで学んでいた。
数年前に剣術の勉強を終了した今も私は毎日ここへ来ることが日課となっていた。

「ようこそいらっしゃいました、お嬢様」

私は更衣室へと向かい、髪を束ね、スカートから動きやすいズボンへと履き替える。
着替え終わると、疑剣を持ち広場へと足を運ぶ。

広場へ着くと、中央まで歩き騎士の礼をとる。
後輩たちへ剣術の練習相手となるため、そして剣術を鈍らせないため私は剣を構える。

「ふぉふぉふぉ、今日の相手は儂の一押しの坊主じゃ」

まだあどけなさが残る少年が私の前へたち騎士の礼を行う。

「始め!!!」

私は少年へ身をひくくし走り寄る、少年は私の剣を交わし重心をこちらにかけてくる。
重い・・・、私はその剣を軽くいなすように重心をそらし彼の剣を受け流す。
受けながらされ剣はバランスを崩したことにより彼の体は前のめりへ傾いたところを、彼の背後に回りこみ剣をたたきつけた。
彼は予測していたのか、素早く振り向くと私の剣を薙ぎ払おうと剣を振りぬく。
まずいっ!私はたたきつける剣先をずらし地面へ剣を付けると、その力を利用して彼から一歩下がり薙ぎ払われた剣の剣先が私の髪をかすった。

二人とも離れた場所で肩で息をし向かい合っていると、

「そこまで!!!」

との声が聞こえた。
私は剣を腰へ戻し、ありがとうございましたとお互いに挨拶をする。
握手をした後、騎士の礼をとり私たちは広場を離れた。

額に流れる汗に私は水場へと向かう。
頭から水をかぶり火照った体を冷やしていた。

「相変わらずだね。」

見知った声を聴き振り返るとそこにはお兄様とその他3名がたっていた。

「お兄様!?どうしてここに?」

水で湿った髪をどこから出したのであろうタオルで私の髪を拭く。
驚きで目を丸くした私にお兄様はニッコリと微笑む。
あぁ、お兄様の笑顔はいつみても癒されるわ。
自然と私も自然な微笑みを浮かべお兄様を見つめていた。

戦う女性は初めてみたと無表情な赤い目の男の呟きは私の耳には届かなかった。

この姿を彼らに見せるのはいやでしたのに・・・、もうお兄様ったら。
とお兄様の耳元へつぶやくと、彼は私の髪を拭きながらごめんねと困ったように笑っていた。

はっと意識を取り戻し、今の恰好を確認する。
お客様の前でこの服装はダメだわ・・・。
私、着替えてきますわとお兄様へ伝えると、急ぎ足でその場を後にした。

「彼女は本当に聡明だ、普通の令嬢達とは違うね、ますます王都に呼びたくなったよ」

「彼女の戦う姿がとても美しかった・・・」

「僕の怒った姿にも動じない彼女ともっとお話ししてみたいな、いいでしょ?お・に・い・さ・ま」

そう話す商人たちに兄は深いため息をつき、

「はぁ・・・君たちには僕の妹と出会ってほしくなかったんだけどね・・・」

とつぶやいた。
同じ世界での別話を次回投稿予定!
人気になれば・・・この話の連載版を書きたいなっと思ってます。

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