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幕間・サクヤの過ぎ去りし時、2

 女の子が変わったことを言い出したのは、十よりも二つほど前の時だった。

 最初は竹藪の下に金が埋まっている、というものだった。少年や翁が半信半疑で掘ればたくさんの黄金こがねが見つかり、翁たちの暮らし向きは良くなった。

 そのほかにも女の子は、未来の物事を言い当てるようになった。

 ある時は嵐の到来を。

 ある時は凶作と、その対策を。

 そしてある時は誰かの死を。


 そうした出来事が広く知られ、女の子は巫女の素質があるのではないかという話になった。姫巫女をはじめとする巫女は島の平穏を担い、そのための神通力をそなえている。うわさは島の王にも及び、女の子は姫巫女に仕える身として、村を去ることになった。


 巫女になれば、親でさえもう会うことはままならない。代わりに島の犠牲になった恩として、豊かな暮らしを与えられる。翁たちは少女の親として共に都に行くことになった。

 青年は、家族だと認められなかった。


 青年との別れの日、女の子は言った。

「どうか悲しまないでください。そして、もし私の行く末を案じてくださるならば、今から言う願いを聞き届けてください」

 うなずく青年に女の子は願いを告げた。誰に認められなくても、青年は最も大事な家族であった。

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