ラプンツェルとシビリー
基本、保守派所属なので、改革派キャラの口調や性格は乱れる可能性が大です(※ふしだらという意味ではない)
現れた騎士たちは、全員が戦い慣れをしているようだった。数で勝る魔物が、わずかな時間で減っていく。
「姐さん、もうすぐ終わります!」
「よし、終わったらさっきのデカブツを追うよ。ナイドたちに遅れを取るな!」
馬上で指揮する長髪の女性の声に、応じる声が唱和する。そのほとんどに「姐さん」の一言がついている。女性が気まずそうに、リーゼロッテやフヒトたちに視線を戻した。
「『姐さん』はもう言うな、って言ってるんだけどね……誰も聞いちゃくれない」
「フッ……一度ついた習慣だからな」
女性の乗った白馬が苦笑じみた声を出す。
「ラプンツェル!」戦いの音に負けないよう、リーゼロッテが声を強めて言った。
「来てくれてありがとう。まさか直接来てくれるなんて思ってなかったからびっくりしちゃった!」
「ちょうど、アルトグレンツェから帰る前に話を聞いたのさ。姐さんの騎士団と合流できたから、村の防衛も早いうちに終わったしね」
「村は無事だったの!? 良かったぁ」
安堵の息を吐くリーゼロッテに、ラプンツェルが笑いかけた。
「みんなアンタのこと心配してたよ。早く行ってやらないとね」
ラプンツェルと呼ばれた女性は軽やかに馬を降りると、フヒトに歩み寄った。右肩を凝視する。
「お前には治療が必要だな。リーゼロッテと一緒に送ってやるよ」
「ありがたい」
「なんなら肩でも貸そうか?」
言われ、フヒトは眉を上げた。しかしすぐ首を振る。
「気持ちだけ。それより彼を」
示したのは、女の子に支えられ、歩いてくる赤毛の少年だ。意識はあり、自分の足で歩いているようだったが、顔には苦痛の色がある。ラプンツェルもうなずいた。
「そうした方がいいね。ま、お前もつらくなったら遠慮するなよ」
ラプンツェルがリーゼロッテとともに、少年の方へと向かう。颯爽と歩くその姿に、フヒトはエインセールに呟いた。
「あの存在感、やはり『姫』か」
「はい。鉱山都市ピラカミオンのラプンツェル様です。行動力とリーダーシップに優れていると評判です!」
フヒトは周囲を見る。背を向けたラプンツェルへ向かう魔物もいるが、騎士たちの連携で即座に打ち倒されている。全員の顔に、一歩も主に近づけないという決意が見て取れた。ラプンツェルも彼らを信頼しているのか、まったくの無防備で少年に接している。
「まさに評判通りなのだな。士気が高い。果断な上に華もある。慕われているのだろうな」
「当然だ」
フヒトの独り言に応えがあった。
「ピラカミオンの強みはどんな壁も打ち壊す意志と、仲間への信頼だからな。ラプンツェルはその象徴だ」
顔を向けた先に、ラプンツェルの乗っていた白馬がいて、フヒトは呆然とした。
「……エインセール。思いのほか俺の傷は深いようだ。馬がしゃべっているように聞こえる」
「しゃべってますよ?」
「馬が口を利いちゃ悪いかい?」
当然のごとくエインセールが言った。白馬も、口元をニヤリと歪ませる。
「しゃべる馬は初めてか。口がバカみたいに開いてるぜ」
「も、も……」
表情豊かな白馬に、フヒトの唇が痙攣しているかのようにわなないた。
「物の怪か、そなた!」
「……妖精の嬢ちゃん、どういう意味だ?」
「気にしないでください。フヒトさんって、元々変なんです」
「ほう」
「待て、さりげなく悪口を言うな!」
更新遅れました。
なんというか、ストーリーも図鑑をギリギリ埋める程度しか進めてないので、
把握のためのサンプルが足りない……細かなニュアンスが難しい。
とりあえず、後の大きな修正を前提に進めていきます。




