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王国脱走物語  作者: 井ノ下功
第3章
60/90

街の噂話

 



「王国脱走物語」1周年!

そして、記念すべき第60話!


完結目指してまだまだ頑張ります(`・ω・´)ゞ

これからもどうぞよろしくお願いいたします。




 

 

「あの、知ってます? 第1王子様が城を脱走して、今、城下にいるらしいっすね。」

「へぇー、第1王子様が! そりゃ、また、どうして。」

「さぁー、そこまでは知らねぇっす。国でも出てみたいんじゃないっすかね?」

「あぁー、あの人はそんな感じするもんなぁ。でも、城下にいるんだったら、騎士団とかに見つかっちまうんじゃねぇの?」

「変装でもしてんでしょう。―――――な、あの人なら、女装とかしてても違和感なさそうですけどねぇ。」

「ぶっ! 女装って、おま、そりゃあねぇだろ! ――――――――――――・・・・・・いや、案外・・・アリか?」


***


「おう! お前、知ってるか?」

「どうしたよ。何を突然・・・って、お前、朝っから呑んでやがんな?」

「何、ちょっとだけよ。そんなことよりさぁ、酒場のマスターに聞いたんだけどよぉ、アレだってな、第1王子様が、女装して国を出るんだってな。」

「・・・・・・お前、何杯呑んだんだ? そうとう酔ってるだろ。」

「酔ってねぇ! 呑んだなぁ一杯だけだ!」

「本当かよ・・・。」


***


「はぁい! 頼んだもの出来てる?」

「へぇ、確かに。」

「――――――さすがの出来栄えね。うん、ありがとう。お代はこれで。」

「・・・。」

「あ、そういえばさぁ、さっきね、すっごい美人さん見たのよ! 金髪の長~い髪でさ、綺麗な顔しててさぁー。――――――・・・なんかね、第2王女様をもうちょっと凛々しくした感じだったわ。」

「・・・・・・もしかしたら、それ、第1王子様かもしれやせんね。」

「へ?」

「さっき聞いたんすけど、なんでも、第1王子様が城下にいて、女装して国を出ようとしてるらしいっすよ。」

「ええー! うっそぉっ!」

「噂っすけどね。」

「ふぅん・・・・・・でもまぁ、確かに、言われてみれば、第1王子様によく似た顔してたわね・・・。」

「噂っすよ。」


***


「ただいまー!」

「あぁ、おかえり。」

「ねぇねぇ、聞いてよ。今ねー、大通りでねー、すっごい美人さんを見たんだけどさー。それがね、第1王子様の女装なんじゃないか、って噂なのよ。」

「え、えぇ? どーゆうこと?」

「噂よ、ウ・ワ・サ。なんでも~、あーっと、なんだっけ? ・・・あ、そうそう。なんでも、今さぁこの国さ、鎖国してんじゃん? 王子様は外に出て、今後のために勉強したいんだろうね~。でも、鎖国してるのに外には出せない! って邪魔が入ったんだろうね、可哀想に。そこで、城を勝手に脱走して、女装して国を出ようとしてるんだってさ。」

「へぇ~・・・王子様ってのも大変だね。」

「そうだねー。私らは一般人で、本当に良かったよね~。」

「そうだね。――――――あ、やべ、時間だ。仕事行かなきゃ。」

「夕飯は?」

「今日は飲み会があるから、いらないよ。ありがとう。遅くなるかもしれないから、待ってないで寝てて。」

「りょーかい!」

「じゃ、いってきます!」

「行ってらっしゃーい!」


***


「あ、金髪の美人さんだ。――――あの人かな?」

「おいおい、他の女に目移りしてたら、奥さんに捨てられちまうぞ?」

「いやいや違いますよ! その妻から聞いたんです!」

「聞いた? すげぇ美人がいるって?」

「はい。しかも、その人は第1王子様が女装しているんだそうで。」

「はぁぁ?」

「噂ですよ、噂。なんでも、邪魔されちゃって出国できないから、勝手に城を出てきて、見付からないように女装して出国するんだとか。」

「邪魔? へぇー、誰に?」

「さぁ、そこまでは知りません。」

「――――――・・・あー、そういやぁ、俺も似たような話を聞いたなぁ。なんでも、第1王子様の暗殺を考えてる不届き者がいるんだと。」

「え? 暗殺を?!」

「まぁ、これも噂だけどなー。」

「ってことは・・・もしかして、あれですかね? 殺されないために、国外に逃げようと・・・?」

「あー、もしかしたら、そうかもなぁ。その、出国を邪魔してるっつー奴らが、暗殺とか考えてんのかもな。はぁー王族ってなぁ、いろいろ大変だなぁ!」

「そうですねー。僕とかもう一般人で、本当に良かったです。」


***


「・・・・・・言われた通り、客に片っ端から噂流してるけど、本当にこれで大丈夫かな?」


 酒場のマスターの呟きを聞いた者は、誰もいない。


***


「・・・・・・言われたとおりぃ、知り合いにぃ片っ端から話してみてるけぇがぁ、大丈夫かぁ?」


 最終処理場の男の呟きを聞いた者は、誰もいない。

 

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