臆病な第3王子
かなり久々の投稿でございます。丸々4ヶ月ぶりくらいですね。
久々過ぎて、書き方がちょっとおかしくなってるような気がします・・・すみません(汗)
今年中にある程度 更新していく予定です。頑張ります。よろしくお願いします。
第3王子、カルディアは、心底後悔していた。
(どうして・・・・・・僕は・・・・・・何もかもを知っていながら、誰にも・・・・・・言わず・・・・・・家族を、見殺し、に・・・・・・・・・)
暗殺計画のことを誰かに教えていたら。
事前に、父や兄へ、知らせていたら。
(きっと、死ななかったのに・・・・・・・・・。)
第3王子は、高を括っていたのだ。
暗殺計画のことをしっかりと聞いておきながら、どこかで、“何かの間違いなんじゃないか”“暗殺なんてされるわけが無い”と、思っていた。
思い込んでいた。
そして、現実を見ず、何もせずに悪を見過ごし。
結果、唯一無二の肉親がこの世を去った。
それなのに、
「・・・何とか、おっしゃいなさいよ、カルディア・・・!」
どうして王女の言葉に答えられようか。
第3王子は俯いたまま、背中を壁に預け、ずるずるとその場に座り込んだ。
「カルディア・・・?」
「・・・・・・ごめっ・・・なさい・・・・・・」
「―――――――――」
「・・・ごめんなさい・・・・・・・・・ごめん、なさい・・・・・・ごめ、ん、なさいっ・・・・・・」
壊れたオルゴールのように、同じ音を繰り返し繰り返し、言い続ける第3王子。何も考えられない。考えたくない。目を開くことさえしたくない。罪悪感に押し潰されて、立つことすら叶わない。
いっそこのまま父の後を追いたい――――――と、そう思い始めたその時だった。
「・・・逃げるのね。」
「っ?!」
「謝罪は逃げだわ。そんなもの、私は受け入れません。」
王女が、真っ赤に泣き腫らした目で彼を睨んでいた。
「貴方が、どうして何も言わないのかとか、何を知っていたのかとか、そんなこと今はどうでもいいわ。何を言おうと――――――全ては、後の祭り。死んだ者は、もう・・・戻らないっ・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「でも!」
再び俯いた第3王子の顔を、王女の両手が包んで持ち上げた。
「――――――お兄様は、まだ、生きてる。お父様を殺した人間が、お兄様をも狙ってる可能性は高いと思うわ。・・・・・・生きてる人間なら、救える。救ってみせるわ。未来は変わるの! 変えられるの!」
毅然とした態度でそう言い放ち、王女は真っ直ぐ胸を張って佇んだ。
ふわりと波打つ金色の髪が、煌々と輝いて、まるで女神のような気高さである。
王女は顔を引き締めて、踞ったまま呆然としている弟を見下ろした。
「私は逃げません。この国の王族として、責任を、果たすわ。」
「―――――――――」
「・・・逃げるのも立ち止まるのも貴方の自由だけど、間違っても、後だけは追わないでね。それだけは、絶対よ。」
そう言って、王女は部屋を出ていった。
第3王子はしばらく微動だにできずにいた。
(強いなぁ・・・・・・僕なんかとは、大違いだ・・・・・・・・・。)
姉のような人間こそが、まさしく王族なのだろう。と第3王子は思った。
姉や兄のように、逆境にめげず、悪を恐れず、いつも正しい方を向いて、堂々と歩んでいけたら・・・・・・なんと、清々しい人生だろうか。王族としても、人間としても。
同じ親から生まれた兄弟なのに、どうしてここまで違うのだろう? 同じ血が流れているなら、同じことが出来る筈なのに。同じくらい強い筈なのに。
「何で・・・・・・僕は・・・・・・・・・っ!」
握った拳を壁に叩きつけようとして、振りかぶったところでそれを止めた。ぶつけた時の痛みを予想し、身がすくんだのだ。
そしてまた自己嫌悪。
たったそれだけの予想で行動を止める自分が、何よりも憎らしく思えた。
(ご安心ください姉上・・・・・・自殺するほどの勇気すら、僕にはありません・・・・・・・・・。)
自殺できるほどの勇気があるのなら、別のことに使ってますよ! と内心で意味もなく逆上しながら、王子は膝に顔を埋めたのだった。




