夜明けの王国
私は、エスカピエと言う。
ついさっき、私の親友が死んでしまった。
彼の死を望む者がいることは知っていたし、その望みを叶える者がいることも知っていたが、私にはどうにも出来なかった。
ただ、彼の冥福を祈る。
彼には子供がいる。
そのうちの1人は、もしかすると、いち早く彼のもとへ行くことになるかもしれない。けれど、それを阻もうとする者がいる。知らず知らずのうちに手助けをする者がいる。私からは何も出来ないが・・・。
あぁ、ただ、健闘を祈ろう。
私が出来ることは、すべてを知ること。すべてを見ること。すべてを受け入れること。
そしていつまでも存在すること。親友を失うのはツラいが、だからといって、私がいなくなるわけにはいかないのだ。
・・・・・・・・・あぁ、また、夜が更けていく。白く光る月が私の真上を通り、すれ違い様に話しかけてきた。
「お。やぁ、エスカー。珍しいな、お前が起きているなんて。」
「眠れやしないさ。―――――親友が、死んだのだ。」
「・・・・・・そう、か。すまん、悪いことを聞いたな。」
「いや、構わない。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・泣くなよ。」
「ん?」
「他の誰が泣きわめこうと、お前は、お前だけは、泣くんじゃないぞ。国が泣いたら民が惑う。お前は、しっかりとそこに在れ。それが一番の使命だ。」
「・・・・・・あぁ、わかっているよ。」
月は私の上を通り過ぎ、遠く、小さくなって、やがて大地の向こう側に消えた。
それを無言で見送って、私は呟いた。
「・・・・・・わかっている。わかっているさ。・・・・・・・・・あぁ、わかっているとも。だが・・・・・・どうすれば、いいのだろうな。」
この、どうしようもない悲しみを・・・・・・。
さぁ、夜は―――――明けた。
はい、今後しばらく、更新停滞しますことをご報告し、心よりお詫び申し上げますm(_ _)m
頑張って書きます(汗)
次回からは第二章ということで、一夜明けた朝から始まります。




