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王国脱走物語  作者: 井ノ下功
章間話
27/90

夜明けの王国

 

 私は、エスカピエと言う。

 ついさっき、私の親友が死んでしまった。

 彼の死を望む者がいることは知っていたし、その望みを叶える者がいることも知っていたが、私にはどうにも出来なかった。

 ただ、彼の冥福を祈る。

 彼には子供がいる。

 そのうちの1人は、もしかすると、いち早く彼のもとへ行くことになるかもしれない。けれど、それを阻もうとする者がいる。知らず知らずのうちに手助けをする者がいる。私からは何も出来ないが・・・。

 あぁ、ただ、健闘を祈ろう。

 私が出来ることは、すべてを知ること。すべてを見ること。すべてを受け入れること。

 そしていつまでも存在すること。親友を失うのはツラいが、だからといって、私がいなくなるわけにはいかないのだ。



 ・・・・・・・・・あぁ、また、夜が更けていく。白く光る月が私の真上を通り、すれ違い様に話しかけてきた。


「お。やぁ、エスカー。珍しいな、お前が起きているなんて。」

「眠れやしないさ。―――――親友が、死んだのだ。」

「・・・・・・そう、か。すまん、悪いことを聞いたな。」

「いや、構わない。」

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・泣くなよ。」

「ん?」

「他の誰が泣きわめこうと、お前は、お前だけは、泣くんじゃないぞ。国が泣いたら民が惑う。お前は、しっかりとそこに在れ。それが一番の使命だ。」

「・・・・・・あぁ、わかっているよ。」


 月は私の上を通り過ぎ、遠く、小さくなって、やがて大地の向こう側に消えた。

 それを無言で見送って、私は呟いた。


「・・・・・・わかっている。わかっているさ。・・・・・・・・・あぁ、わかっているとも。だが・・・・・・どうすれば、いいのだろうな。」


 この、どうしようもない悲しみを・・・・・・。





 さぁ、夜は―――――明けた。



 





はい、今後しばらく、更新停滞しますことをご報告し、心よりお詫び申し上げますm(_ _)m



頑張って書きます(汗)



次回からは第二章ということで、一夜明けた朝から始まります。


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