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百合SS  作者: 梨久
3/5

バレンタインデー

甘々です。

 友チョコ。そんなのがあるってラッキーだ。


 男子にあげる本チョコって恥ずかしいけど、女子同士だったら、友チョコって言って渡せば誰にも勘違いされないし。


「リサ、はい。」


「わーい、圭ちゃんありがとー! 私からも、これ、はい!」


「やった、ありがと」


 リサは、私の好きな人。――えぇ、同性ですけど?


 友チョコ、と名打って毎年本チョコを渡す。


「うん、やっぱり圭ちゃんのチョコ美味しい!」


「って、もう食べたのか……じゃぁウチも食べよっと」


 可愛いピンク色の紙袋に包まれていたのは、2つのドーナツだった。


「わぁ、今年はドーナツかぁ」


「うん、初挑戦なんだけど、どう?」


「……めっちゃ美味い」


 出会った頃からリサの料理の腕前は天才的なものだった。それに加えて、今は部活後。美味しさが加わるというか。


「よかったぁー! あ、1個多く作っちゃったからね、圭ちゃんだけ2個なのー」


 何て笑顔っ。っていうか、2個なのウチだけとか、え? 可愛すぎだろう?


「えへへー」


「あ、あははー」


 今すぐ抱きしめたい。でもそしたらきっと気持ちが溢れて、言いたくなっちゃう。「好き」って。でも、そしたら、こうして笑い合えなくなるでしょ?





 毎年色々頑張って作ってるのは、君だけのためなんだよ。


 多く作っちゃったなんて、わざとに決まってんじゃん。


 大好き。これは、唯一の本命なんだよ。


「ごちそうさまでしたー!」


「圭ちゃん早い!!」


 今年も、美味しそうに食べていた。自然とこっちも頬が緩む。


「……ん? 手紙?」


「あっ!」


 一世一代の賭け、もうそろそろ伝えたいと思った。


 というか――今年が最後かもしれない、とも思ったから。


 来年から高校生だもん。


「…………っ?」


「あ、ごめんね、気にしない……で?」


 みるみるうちに赤くなっていく顔。


 え、何、何この反応!?


「ごめん、その、理解できないっていうか……」


「ごめ、ごめん、ホント、気にしないでっ!」


「いやその……もしかしたら、これはその――こういう?」


 顔が、ゆっくり近付いてきて、圭ちゃんの唇が私の頬に触れた。


 顔を離すと、どんどん赤くなっていった。多分、私の顔もそんな感じ。


「そう、そういう……いやホント、ごめん……」


「あ、謝らないでよ! ウチ……好きでもない人に、こんなこと、できないから」


「えっ?」


「ウチも――リサが、大好き」


 まさか、両思いだなんて、思いもしなかったから。


 ただただ2人で、真っ赤な顔を見詰め合って。どっちからか分からないけど、今度は唇を、重ねた。

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