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詩小説へのはるかな道 第98話 予知能力の真実

作者: 水谷れい

原詩: 封印していた予知能力


彼は予知能力を持っていた

子どものころ

知らずにこぼした未来の欠片は

まわりの大人たちを気味悪がらせた


十五の誕生日

彼はそっと心の奥のスイッチを切った

未来は見えなくていい

ただ静かに生きていければいいと


それから十五年

彼は結婚し小さな女の子を授かった

だが その子の心臓には

生まれつきの疾患があった


手術には二千万円

彼は封印をほどくことにした

かき集めた百万円を握りしめ

競馬場に出かけた


十五年ぶりに

スイッチをオンにする

その瞬間

胸の奥で何かがきしむ


あの力は

まだ自分の中に眠っているのか

それとも

もうどこかへ流れ去ってしまったのか


発走まで あと10分


ーーーーーーー


詩小説: 予知能力の真実


彼には、未来の断片が見える力がありました。

口にした瞬間に現実がそちらへ傾くような奇妙な感覚がありました。

周囲の大人たちは彼を気味悪がり、小学校、中学校ではいじめられはしませんでしたが、仲間外れにされました。

十五歳の誕生日、彼は決めました。

——もう未来なんて見えなくていい。

ただ、普通に、静かに生きていければそれでいい。

そして、心の奥にある小さなスイッチをそっと切りました。


それから十五年。

彼は結婚し、小さな娘を授かりました。

だが娘の心臓には、生まれつきの疾患がありました。

手術には二千万円かかります。

彼は迷い、そして決めました。

封印を解くしかない。

かき集めた百万円を握りしめ、競馬場へ向かいました。


十五年ぶりにスイッチを入れました。

胸の奥で、錆びついた歯車が無理やり回されるような痛みが走りました。

視界の端に、かすかな“未来の影”が揺れます。

——まだ、残っている。

そう思った瞬間、アナウンスが響きました。

「発走まで、あと10分です」

未来の断片が、ふっと脳裏に浮かびました。

思わず口にしていました。「一番人気の馬が転倒する」

そして、未来の断片は続きました。

——大穴の七番が、泥を跳ね上げてゴールを駆け抜ける。

「きっと娘は助かる」

彼はそう呟くと、馬券売り場へ向かい、震える手で百万円すべて七番の単勝を買いました。


レースが始まりました。

彼の息は浅く、胸は早鐘のように鳴っていました。

発走直後、彼の見た未来の断片のように一番人気の馬が転倒しました。

しかし、七番はあっさり最下位に沈んだままでした。

握りしめた馬券は、ただの紙屑に変わりました。


その時、背後から一人の老紳士が声をかけてきました。

「……あんた、さっき『1番が転倒する』って呟いてなかったか?」

彼が顔を上げると、そこにはどこか品のある老人が立っていました。

「ええ、まあ……」

「あんたが呟いた瞬間、私は怖くなって1番の馬券をすべて捨て、残りの金で適当に買い直したんだ。そうしたら……」

老紳士が差し出したのは、3連単の的中馬券でした。

1番が沈み、全くノーマークだった馬たちが飛び込んだ結果、配当は数億円に膨れ上がっていました。

「あんたのおかげだ。そのお礼だ。何かあったら相談にのるよ。遠慮しないで訪ねてきてくれ」

老紳士は、彼に一枚の名刺を渡しました。

その名刺には、国内最大の医療財団の理事長の名前が記されていました。


***


彼は今も自分の能力を正しく理解していません。

彼は予知能力を持っていたのではなく、彼の言った言葉が現実になるということを。

口に出した「一番人気の馬が転倒する」は現実化し、言葉にしなかった「大穴の七番が、泥を跳ね上げてゴールを駆け抜ける」は現実化しなかったのです。

でも、彼は救われるでしょう、言葉にしたのですから。

「きっと娘は助かる」


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:予知能力の真実


Ⅰ 封印の少年


未来とは 触れれば傾く 薄氷の

きしむ気配を 胸に抱きしめ


十五歳 そっと切り落とす 影の糸

ただ静かなる 日々を願いて


Ⅱ 娘の鼓動


小さき手 握れば返る ぬくもりに

生まれつきの闇 そっと潜みぬ


二千万 届かぬ数字の 冷たさを

父の祈りが そっと溶かせず


Ⅲ 競馬場にて


百万円 震える掌の 体温で

封印の鍵 また回りだす


未来影 錆びた歯車 軋ませて

「一番が落つ」と 声がこぼれぬ


Ⅳ 外れた未来


七番は 泥を跳ねずに 沈みゆく

言わぬ未来は ただの影なり


紙屑の 馬券を握る その指に

父であること だけが残れり


Ⅴ 老紳士の名刺


「言葉とは 世界を揺らす 風だよ」と

老いし紳士の 眼差しは告ぐ


名刺には 娘を救う 細き糸

まだ切れてない 未来のほつれ


Ⅵ 真実の力


予知ならず 言葉が現を 変えゆくと

気づかぬままに 父は祈れり


「助かる」と 呟きし声の 温かさ

その一言が 未来を照らす

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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