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第5章:月曜日の小旅

月曜日の朝。

主人公は、目覚ましの鳴らない静かな部屋で目を覚ました。

図書館は休館日。

それだけで、月曜日への嫌悪感が少し戻ってくる。


「これだから月曜日ってやつは…」

そう呟きながらも、彼は外出の支度を始めた。

部屋にこもっていても、月曜日は始まらない。

始まりを歩いてみよう。

それが、今日のテーマだった。


リクウィッドは、リュックの中の水筒に潜んでいた。

液体猫は、旅の相棒として静かに揺れていた。


都営新宿線、浜町駅で下車。

目的地は茅場町方面にあるベトナム料理店。

雑誌で見かけて、いつか行こうと思っていた店だった。


途中、明治座を通り過ぎ、甘粕横丁で寄り道。


惣菜店で、ポテトコロッケとすき焼きコロッケを購入。860円分の寄り道。

月曜日にしては、贅沢な選択だった。


14時08分。

ホテル内のカフェに入る。

観葉植物とサボテンに囲まれた空間。

エチオピアコーヒーを飲みながら、文章を書く。

月曜日の空気は、乾いていて、冷たくて、でも心地よかった。


「月曜日って、歩くと悪くないな」

主人公は、そう思った。

歩くことで、月曜日の風景が見えてくる。

月曜日の匂い、月曜日の音、月曜日の人々。


17時34分。

目的のベトナム料理店に到着。

フォーと練乳入りベトナムコーヒーを注文。

店員の丸顔の女性が笑顔で言った。


「フォーを食べ終わったら、コーヒーができてます。ベトナムのハノイでも同じです」


その一言に、主人公はまだ見ぬハノイに思いを馳せた。

月曜日が、旅の始まりになる。

それは、予想外の贈り物だった。


フォーを平らげ、甘いベトナムコーヒーを飲み干す。

その味は、ウーロン茶のようで、キャラメルのようで、

月曜日のように、複雑で、優しかった。


リクウィッドが囁いた。

「歩くことで、月曜日は生き返る。

君が歩いた道が、月曜日の地図になる」


主人公は頷いた。

月曜日は、嫌われ者だった。

でも、歩いてみれば、悪くない。


次は、月曜日の革命だ。

月曜日を祝日にするための、ちょっとした企みが始まる。


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