第4章:月曜日の恋
「興味を失っちゃったから」
それが、彼女の最後の言葉だった。
月曜日の午後、スマホの画面にそのメッセージが届いた。
短くて、冷たくて、でも妙に納得できる言葉だった。
彼女の名前は“Ni”。
マッチングアプリで出会った。
ニックネームだけ。写真もない。
プロフィールには「哲学と猫が好き」とだけ書かれていた。
主人公は、彼女の正体を探るように、名前の由来を考えた。
ニシムラ?ニシナ?ニナガワ?ニジカワ?
まるでモンタージュ写真を作るように、彼女の輪郭を想像した。
それは、月曜日のように曖昧で、掴みどころがなかった。
最初のメッセージのやりとりも、月曜日だった。
「こんにちは。月曜日って、好きですか?」
彼女は「嫌い。でも、始まりだから嫌いになれない」と答えた。
その言葉に、主人公は惹かれた。
月曜日を嫌いながらも、受け入れている。
それは、自分と同じだった。
二人は、月曜日にだけ会話を重ねた。
月曜日にだけ、心を開いた。
月曜日にだけ、少しずつ距離を縮めた。
でも、ある月曜日。
彼女は突然、興味を失った。
理由は聞かなかった。
聞いても、どうせ納得できないと思ったから。
主人公は、スマホを閉じた。
月曜日の午後、カーテン越しに差し込む光が、やけに眩しかった。
リクウィッドは、窓辺で液体のまま揺れていた。
「恋も、月曜日に始まり、月曜日に終わる。
それが、月曜日の宿命なのかもしれないね」
主人公は頷いた。
月曜日は、始まりの象徴。
でも、始まりには終わりがつきものだ。
彼女との記憶は、月曜日にしか思い出せない。
それは、呪いのようで、祝福のようでもあった。
リクウィッドが囁いた。
「次は、月曜日の旅だ。
歩くことで、月曜日を再発見しよう」
主人公は立ち上がった。
スマホをポケットにしまい、靴を履いた。
月曜日の街へ、出かける準備ができた。
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