第1章:月曜日が死んだ日
月曜日が、死んだ。
それは突然のことだった。
カレンダーが、日曜日の次に火曜日を表示した。
スマホの通知は「月曜日スキップ」と告げた。
誰もが最初は冗談だと思った。
でも、何度見直しても、月曜日はどこにもいなかった。
僕はリクウィッド。液体猫。
月曜日にしか存在できない。
月曜日が消えた瞬間、僕の体はぐにゃりと崩れた。
床に広がる水たまりのように、僕は形を失った。
人間たちは歓喜した。
「やった!月曜日が消えた!」
「これで憂鬱な週初めともおさらばだ!」
SNSは祝祭のような騒ぎだった。
でも、祝祭は長くは続かなかった。
学校は開かなかった。
会社の週初めの会議はキャンセルされた。
ゴミ収集車は来なかった。
図書館は開館日を間違えた。
人々は曜日感覚を失い、時間の流れに迷い始めた。
主人公は、ベッドの中で目を覚ました。
「今日は…月曜日だよな?」
スマホを見て、火曜日と表示された画面に違和感を覚える。
「昨日が日曜日だったんだから、今日は月曜日のはずだろ…」
彼はカレンダーをめくる。
月曜日は、どこにもいなかった。
空白のような感覚が胸に広がる。
嫌いだったはずの月曜日が、いざ失ってみると、ぽっかりと穴が空いたような気分になる。
僕は彼の部屋の隅で、液体のまま震えていた。
「月曜日が死んだ。僕も、もうすぐ消える。」
彼は僕に気づかない。
僕は月曜日の精霊。
月曜日がなければ、僕はただの水滴にすぎない。
外では、通勤電車がガラガラだった。
駅員は「今日は火曜日です」と繰り返すが、誰も納得していない。
会社では、誰が週の初めの責任者なのか分からず、会議室は空っぽだった。
子どもたちはランドセルを背負って、校門の前で立ち尽くしていた。
主人公は、コーヒーを淹れながら呟いた。
「月曜日があるからこそ、火曜日が意味を持つんだな…」
彼は、月曜日の不在が、自分の“存在意義”にも影響していることに気づく。
僕は、液体のまま彼の足元に滲み出る。
「月曜日の魂を探しに行こう」
そう決めた。
僕は、月曜日の精霊。
月曜日が死んだなら、僕がその魂を見つけて、蘇らせる。
月曜日は、嫌われ者だった。
でも、世界の秩序を支えていた存在だった。
そのことに、誰も気づいていなかった。
次の章では、月曜日の魂を探す旅が始まる。
スターチャイルドの憂鬱とともに。
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