創作のクセ
気分転換に書く短編の題材として、私は“お飾りの妻”を選んだ。例によって、物語を読んでいる最中に生まれた妄想ストックの中で、最も古い題材だった。
二作目ながら、私の創作スタイルが見えてきた。
1.題材にするテンプレを探す
2.テンプレを裏切る結末を考える
3.整合性を可能な限り検証しながら、プロットを作る
4.書く
5.校正する
6.全話投稿予約を行い、順次公開
この流れだ。どうやら私は、舞台設定にテンプレを用いるのは好きだが、キャラクター造形や結末がテンプレ通りなのは好まないらしい。
……とりわけ、結末には強いこだわりがあった。
個人的には、結末次第で名作かどうかが決まると思う。何度も好きな作品がエタッて泣いたのはもちろんのこと、荒唐無稽だと読んだ時間を返してほしくなるし、ご都合主義や予定調和だと興ざめしてしまう。
逆に好きなのは“どんでん返し”だ。ミステリー中心によく使われる手法だが、コロナ禍で外出が難しかった頃は“どんでん返し”作品を調べてそればかりを月に百冊以上読んだこともあった。
ただし、胸糞な“どんでん返し”は描きたくない。構成の鮮やかさにこそ心を奪われるが、我に帰った後、とんでもなく虚しい気持ちになるからだ。心が弱っているときに読んだら大ごとである。
「自分が求めている作品を書く」——それは、多くの作者に共通する執筆の動機らしい。だが、それを他に求めている人がいるかどうかわからないのが課題だ。
私は、Web小説のプラットフォームを活用し、「私が読みたい作品は果たして市民権を得られるのか?」をテストしてみることにした。
題材こそラノベだが、テーマは文学、構成はミステリーという、あまり見かけない形式を目指した作品だ。
「このジャンルを流行らせたい」——そんな大志を胸に、私は短編を書き上げたのだった。