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きっかけ

2025年5月29日、東京出張の帰り道。


羽田空港へ向かう京急電車の中で、私は次に読む小説を探していた。


仕事でも趣味でも移動が多く、その時間を物語を読むことに充てるのが習慣だった。だが、次に何を読もうか決めかねて、手が止まった。


『小説家になろう』のランキング上位は、軒並み読み終わってしまっていた。ここ数年はいわゆる“悪役令嬢モノ”を皮切りに、女性向けの異世界恋愛ジャンルをことさら気に入って読んでいた。冒険譚やグルメ小説も好んではいたけれど。


あまりに多くの作品を読みすぎたからだろうか。小説を読みながら、いつしか『私ならここの展開はこうするかな』『このキャラクター、もっとこういうシーンが見たいな』と、妄想を繰り広げるようになっていた。


それは、愚にもつかない空想のはずだった。その時、思いつきでChatGPTに質問してみるまでは。


「“悪役令嬢”が〇〇する話ってどう思う?このやり方なら、整合性とれるかな?」


詳細は、(公開前の物語のため)伏せるが、ともかく私は物語のプロットについて問いを投げかけた。


みなさんご存知の通り、ChatGPTは“忖度型AI”である。プロットの検証結果と有益な情報を私に提供するとともに、私の頭にある考えを植え付けた。


「このアイデア、もしかして最高なのでは?」


これを、物語にできるのは私しかいない。そう思い込んだ私は、一週間かけてプロットを詰め、その後一ヶ月余りで、25万字にもわたる大作を書き上げてしまった。書きたいラストシーンがあったので、初めての癖にちっとも迷いなく突き進んだのだ。


長年の社会人経験と読書のおかげで、蓄積された「素材」は豊富だった。質を問わなければ、文章を書くこと自体は難しくない。


今思えば、最初からやることではないし、正気の沙汰ではない。仕事の時間以外は、まさに寝食を忘れて“執筆中毒”になっていた。一ヶ月で三キロも痩せたのは初めてで、いろんな意味で創作の効果を実感したものだ。


この時書き上げた長編は、あまりにも仕掛けと伏線が多く、校正に膨大な時間を要しているため、未だ公開に至っていない。


書くのは好きだが、チェックが苦手な私は、まとめて校正に取り組もうとして発狂した。ストレスのあまり、ポテトチップスを食べ、お酒をごくごくと飲み、ご飯を大盛りにした。体重は一週間で元に戻った。


「このままじゃ巨大化する」——そう思った私は、校正の息抜きに、短編を書くことを思いついた。


やはり、チェックよりも物語を描きたい。


それが、私の転機だった。そしてこの決断が、後に「本当にしてよかった」と思える出来事になるとは——この時の私は、まだ知らなかった。



この長編は、なんとか9月中には公開したいと思い、準備中です。

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