呼び出し
「気色悪いよな!天雲って」
「頭おかしい」
沢村率いるメンバーは、僕の言葉に呆れていなくなってしまった。
僕は、三田村君を見るとポロポロ泣いていた。
「これ、よかったら使ってよ」
僕は、ポケットからそっとハンカチを差し出す。
「天雲糸、職員室に来なさい」
「ごめん、じゃあ」
僕は、この日初めての呼び出しを受けた。
「失礼します」
「天雲、校長先生の部屋に今から行く」
僕は、後藤先生と一緒に並んで歩く。
校長先生の部屋につくと、僕は校長先生から話をされる。
「天雲君、この学校のルールはご存じですね」
「はい」
「では、天雲君。君には-8ポイントが追加されましたよ」
「えっ?マイナス」
「はい、マイナスです」
「それは……」
ポイントシステムにマイナスがある事を僕は理解していなかった。
「天雲君は、ターゲットに近づいて話をし、ハンカチまで差し出した。さっきのは、何ですかターゲットを褒めちぎっていたではないですか!!」
少し太ったおじさんの校長先生は怒りだした。
「後藤先生が、クビになるんですよ。天雲君のせいで」
「えっ?」
「【デスゲーム】のルールを教えてなかったのですか?後藤先生」
「すみません」
「きっちり、教えておきなさい」
「わかりました。失礼します」
「失礼しました」
校長先生の部屋を出ると、後藤先生は僕を睨み付ける。
「天雲、足並み揃えろよ!みんなと……」
後藤先生は、職員室の自分の席に座ると【デスゲーム】と書かれたファイルから1枚の紙を取り出した。
「ここ、声に出して読んでみろ」
後藤先生は苛立っている。僕は、差し出された紙を読む。
「最下位が、-100ポイントに到達した場合、担任はクビになるものとする」
「そう、それだよ!わかるか?天雲は、今、-30ポイントなんだよ。このまま、マイナスを稼がれたら俺はクビになるんだよ!わかるか?」
「知りませんでした」
「知らなきゃ何でも許されると思うなよ」
後藤先生は、僕を睨み付けた。
「そうやって、お前の下らないってみんなを馬鹿にしてる目に虫酸が走るわ!お前さ、小学生の頃から、足並み揃えるのが得意じゃなかったらしいな。でもな、もう大人だろ?脇や下半身に毛がはえてきてんだろ?あそこだって、ちゃんと機能するんだろ?」
後藤先生の言葉は、セクハラではないのか?
「何だ、その目は!!大人なら、ちゃんとルールを守れよ!わかったな」
後藤先生は僕を睨み付けた。
「もう、教室にもどれ」
「失礼しました」
僕は、職員室を出る。
「正義感なんか、ここでは糞の役にも立たないよ」
出た瞬間、誰かに声をかけられた。
「誰?」
「二年の城ノ内悟だ!初めまして」
「初めまして」
「君が、天雲君か!二年でも噂になってるよ」
「噂ですか?」
「ああ、デスゲームに参加しない変わり者だってね」
先輩は、僕を引っ張って歩いて行く。
「どうして、参加しないの?君の中の正義感?」
僕は、先輩に階段に座れと指示をされた。