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プロローグ

今日、僕は卒業式を迎える。


天雲糸(まぐもいと)


『はい』


「あっ!お休みでした。失礼しました。次は……」


『先生、僕はずっといますよ……』


先生には、僕の声が届かなくて、涙が流れる。


いつまで、続くのだろうか……?


この、趣味の悪いいたずらは……。


僕の名前は、天雲糸(まぐもいと)年齢は、15歳!


14歳の夏休みが明けて、学校にやって来た僕は、何故か【透明人間】になっていた。


最初は、新手の嫌がらせかどっきりかと思っていた。


それにしては、もう一年。


いい加減、嫌がらせならやむはずだ!


なのに、まったくやまなくて……。


ここは、小さな街。


僕の通う中学は、各学年1クラスしかなくて……。


この学校では、いじめの事を【デスゲーム】って呼んでいる。


それからは、逃れられない事から、いつの間にかその名がついた。


自分が死ぬか奴等が死ぬか、二択しか選択出来ない。


そんな【デスゲーム】の被害者は、三田村蓮歩(みたむられんほ)だった。


彼を助ける事は、僕には許されなかった。


そんな三田村蓮歩が、14歳の夏休みに飛び降り自殺をした。


幸い一命は、取り留めたけれど意識はいまだに戻っていない。


僕達31人のクラスは、30人になってしまった。


そして、僕は今【透明人間】になっている。


だから、このクラスは29人になった。


結局、三田村蓮歩がいなくなり、僕のクラスの【デスゲーム】はいつの間にかなくなった。


【いじめ、ダメ、絶対】と、クラスにデカデカとそのポスターが貼られている。


誰も守る気などないのに……。


アクティビティも少ない、この街での唯一の遊びが【デスゲーム】だったのかもしれない。


だけど僕は、三田村君を助けてあげられなかった。


少なからず、その後悔は今もこの胸に残っている。


「結局、三田村と天雲はこなかったな!」


「三田村は、目覚めてないけど天雲はどこにいった?」


「さあ?母親も全然見てないらしいよ」


「引きこもってるらしい。部屋で」


「あいつ、三田村の事やんなかったよな」


「正義のHEROずらしてたよな」


「ゴリさんも、参加してるのにな」


ゴリさんとは、担任の後藤輪(ごとうりん)先生。


あだ名が、ゴリだからってゴリラみたいな見た目をしているわけじゃない。


誰かが先生の早口な自己紹介に「ゴリ?」って聞き間違えたのが由来。


銀縁の眼鏡に狐みたいな目をしている先生は、とてもゴリラには似ていない。


「後藤先生、三田村君の資料がなくて……」


僕がそう話した時、後藤先生は言ったんだ。


「誰だそれ?」


僕は、先生に冷ややかな笑みを向けられて身体中が凍りついた。


そうこの学校は、学校全体で【デスゲーム】を行う場所。


「天雲君」


「はい」


「後藤先生に聞いたけど、授業の妨害をしてるって」


そんな事は……してませんって僕は言えなかった。


「すみません」


「次からは、気を付けてね」


「はい」


僕は、後藤先生と一緒に校長室を出た。


「天雲」


「はい」


「参加しないという事は、こう言う事だ。よく覚えておきなさい」


後藤先生の口元がニヤリと笑う、僕はその顔を見て血の気が引くのを感じていた。

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