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いずれ恋人になる恋愛方面クソ雑魚幼馴染がとてもかわいい

作者: 蹴神ミコト



「おーい起きろー!遅刻すんぞ小太郎!」

「んあ…おはようイルカ」

「まーた夜更かししたんかよ。机の上にプラモ広がったまんまじゃん」

「受験勉強の気晴らしにってちょっとやりすぎた…」



 俺、(あずま) 小太郎と沖野 入鹿(いるか)は幼馴染だ。

 小さい頃から家族ぐるみの付き合いでよく寝食を共にした家族同然の仲。


 そして、まるで男友達のような会話だけど男は俺だけ。沖野入鹿ことイルカはこんな口調で小柄で、だけど胸も尻も飛び出たバリバリの女の子だ。


 起こしてやった対価だとイルカに朝飯を少し奪われたりしつつ家を出て2人で通学路を馬鹿話しながら歩いていく。

 高校卒業まであと半年程度、部活動も引退して受験勉強まっさかり。大学は家から歩いて通えるところにちょうどいい学校…なんて条件は無いので俺はそれなりに、イルカは真面目に勉強している。というか同じ大学に行けるように俺がイルカに勉強を教えている。



 だけどそんな真面目なのは勉強する時だけでいい。通学路はもっぱら会話は昨日のバラエティがどうだったとか、やっているゲームがどうだったとかそんな他愛もない雑談。

 距離感が仲の良すぎる男友達、または家族のような親友のそれなので話の流れで肩を組むとか脇腹を肘でこづくなどは普通にやる。



 話が盛り上がって学校でも先生が来るまで馬鹿話を続けている事が良くある

 そうするとまあ、イルカの女友達からよくからかわれるんだ。



「今日も仲いいねーイルカと彼氏」



 なぜからかわれるのかって?イルカが可愛いからだ。



「いやまだ付き合っては無いぞ」

「なにがまだだ!つ、付き合うとかわかんねーし!!」



 とまあ、この男友達のような親友の正体は恋愛クソ雑魚幼馴染なんだ。

 よく女友達から飽きずに弄られている。飽きないのは俺も分かる。



「イルカは東くんのこと好きじゃないの?」

「親友に決まってんだろ!」

「恋愛対象としては?」

「え、うー…その…」

「興味ないなら私が貰っちゃおうかなー」

「!!?」


 低身長ボンキュッボンが泣きそうな目で見てくるがそれも一瞬のこと。

 まだ肩を組んだままなので顔を近づければ顔同士がぶつかってしまいそうな距離だと気づいてプイと即座に逆方向を向かれてしまう。



「おーい?イルカさーん?肩を組んだのを外さないあたりがほんと可愛いなおまぐえっ」



 指摘してやるとノータイムで肩組をとかれてそのまま肘が脇腹に来る、突っ込み程度の加減なのが優しい。

 クラスメイトの女にびしっと言ってやる。



「あんまりからかってやるなって。そういうのダメなんだからこいつ」

「トドメ刺したのは東くんだよね?」



 仕方ねーだろー可愛いんだから。



 なお、ホームルームを挟むと「よう小太郎!!」とさっきのを誤魔化そうとする勢いでテンションマシマシでイルカに話しかけられた。わざわざさっきのを誤魔化しておこうとするあたりどれだけ意識してたんだろこいつ。




 そんな高い誤魔化しテンションも時間がたてば落ち着くもので

 放課後には「帰るぞー!」といつも通りの勢いでガシッとイルカに腕を掴まれた。



「あー!かっぷるー!うでくんでるー!」

「こら邪魔しないの!」



 そして道端で小さな女の子に指摘されてイルカは真っ赤になりながらも腕を離そうとしなかった。極度の恋愛恥ずかしがり屋なだけでそれを意識しても腕を組んでいたいとか思ってくれるのはとても嬉しいんだけどなぁ。


 なお。恋愛方面を意識してしまった状態では俺から触ろうとしても逃げるし。イルカから肩を組もうとかしてくることは今のところ一切無い。



 俺の家について一緒に家に上がる。これから勉強会だ。



「イルカ?腕から手を放してくれないと手を洗えないだろ?」

「はっ!?」



 しゅばっと手を離される。見てて面白いんだけどさすがにちょっと傷つきそう。



「なあイルカ、もう俺達も高3だしさすがにこのくらいで恥ずかしがっていると色々困るんじゃないかなって思うんだよ。お前が恥ずかしがってるときって俺に触らせもしないし、お前からも触ってくれないし…実はちょっと寂しいんだぞ」

「そ、そうか?私は困らないが!」

「いや困るって、慣れてくれなきゃイチャイチャできないだろ?」

「イチャイチャ!?!?」



 ボンッと顔を赤くし固まるイルカ、可愛いけどもうちょっとだけ今日は踏み込みたい。



「まあ……俺相手じゃ嫌だったらもう言わないけど」



 たぶん大丈夫だろう、俺はそういう対象として見られている。勇気を出してもう少しそういう方面で仲良くなりたくて俺は切り出した。イルカはちょっと泣きそうで真っ赤な顔で、悩んで悩んでそっと手を出してきて――


 下から涙目で、赤い顔で上目遣いで俺の袖を掴んできた。



「………がんばったから褒めろよ」






「俺の彼女が可愛すぎる…!!」

「まだ彼女じゃねーから!!」



 可愛すぎて心をやられてしまったので、今日の勉強会はもっぱらイルカの自習だった。

 俺は役立たずだったけどいつもよりちょっとだけ近い所に座ったイルカは帰ろうとはしなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 会話がとにかくリアル。 ほほえましい方向にリアル。 「おまぐぇっ」は歪んだクチやちょっとだけ目玉とびだした顔が想像できてしまう(^^) [一言] 新作ありがとうございます。 結局告白し…
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