缶コーヒーで無差別殺人
ある宗教の教祖が広い礼拝堂を埋める沢山の信者に向けて話す。
「自分党の奴等の為に、あれだけ票の取り纏めを行い資金を提供してやったのに、雲行きが怪しくなった途端に掌を返しやがった。
奴等に復讐してやれ!」
礼拝堂を埋める沢山の信者が唱和する。
「「「奴等に復讐を!」」」
夏、全国のスーパーやコンビニそれに自動販売機で売られている缶コーヒーに、「毒入り飲んだら死ぬで」と書かれたシールが貼られているのが多数見つかる。
シールが貼られている缶コーヒーを警察や保健所が調べたが、毒は入っていなかった。
警察は悪質な悪戯だとしてシールを貼った人物を特定しようとしたが、シールが貼られた缶コーヒーを販売した店舗や自販機が全国にある事、シールを貼られた缶コーヒーメーカーも複数あった為に犯人を特定する事が出来ない。
2〜3カ月するとシールを貼られた缶コーヒーの本数が減り、半年も経つとシールを貼られた缶コーヒーは殆ど見つからなくなる。
人々は悪質な愉快犯の仕業だと認識し、偶にシールが貼られた缶コーヒーを見つけても気にしなくなった。
冬、雪が舞う寒いある日、全国の自動販売機で販売された複数の缶コーヒーに、「毒入り飲んだら死ぬで」と書かれたシールが半年前と同じように貼られているのが見つかる。
購入した人たちの大部分の人たちは貼られているシールを見て気持ち悪く感じ、缶コーヒーを破棄したり警察に届けたりした。
だが幾人かの人たちはまた悪質な愉快犯の悪戯かと思い込み、疑いもせず缶コーヒーを飲み血反吐を吐きながら死んだ。
「ハハハハハ」
そのニュースを流す報道番組を見ながら、ある宗教の教祖が高笑いしている。
その宗教の信者は全国にいて、スーパーやコンビニで働いている者や缶コーヒーメーカーで働いている者が多数含まれていたのだった。