今日は潰されている。
「むぎゅう」
お腹の下あたりで声がする。
「おーい、マキ。ちょっと。おーい」
「んー……」
私はベッドの上でもぞりと身体を動かした。
眠い。
今、何時?
まだ、外暗いじゃん。
「むぎゅぎゅ。おーい、マキ」
うるさいなあ。
「身体が平たくなってるぞ、おーい」
はいはい。
もうちょっと寝かせてよ。
「マキー」
ぽふぽふぽふ、ぽふぽふぽふ。
あまりにしつこくお腹を叩かれて、私は身体を起こした。
「んー……なに?」
「なにじゃないぞ、マキ」
そう言いながら、とりがもぞもぞと布団から這い出てきた。
身体が平べったくなっている。
どうやら私が脇腹で潰していたみたいだ。
「歩きづらい。直せ、マキ」
「ふぁい」
寝ぼけ眼でとりをもふもふと成形し直すと、ようやくとりは手羽をふこふこと動かして、それから布団の中を指差した。
「中にねこくんもいるから救出してくれ」
「ねこくんもいたっけ」
いた気もするなあ。
仕方なく布団を剥ぐと、うつぶせでぺっちゃんこになったねこがいた。
ちょうど私のお尻の辺りにいたみたいだ。
「ねこくーん」
そう呼びかけながら、両手でもにゅもにゅと元の形に成形すると、ねこはようやく動き出した。
「ふう。苦しかったー」
「マキは寝相が悪いぞ」
とりが文句を言う。
昨日は珍しく、ベッドでとりとねこが一緒に寝ると言ってきたのだ。
普段は棚の上とかクッションの上とかで寝ているんだけど、たまにそういうことがある。
私は寝相があんまり良くないのでお勧めはしていないのだけど、彼らにとってはそれも一種のアトラクションらしい。
「いやー、今回は最大のビッグウェーブだったね」
「ねこくん、巻き込まれて声も出せないままつぶされたもんな」
「あっと思ったときにはもうマキのおしりが」
二人がそんなことを話している。
私は時計を見た。
あと一時間半は寝れる。
「私もうちょっと寝るねー」
そう言って、また布団をかけて横になる。
とりとねこはひそひそと話し合った後、またベッドに登ってきた。
「ここにいるからなー」
「ぼくはここー」
二人が自分の位置だけ申告して、それからぽてりと横になる。
部屋はまた、静かになった。
「むぎゅぎゅぎゅ」
「ちょ、マキ、むぎゅう」