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今日は雨を見ている。

 今日はとりとねこが並んで窓の外を見ている。

 せっかくの休日だというのに、外は雨だ。

 窓の外を見ながら、とりとねこは何やら楽しそうに話している。

 時々、うふふ、と笑っている。

「何話してるの」

 そう尋ねてみると、とりがちらりと振り返る。

「外、雨が降って寒そうだなあって」

「僕らは中にいるから、あったかくて幸せだねって」

 ねこがそう付け加えて、二人でうふふ、と笑う。

 雨が降っているのを眺めているだけで幸せになれるのだから、確かに幸せなのだろう。

 冷蔵庫から缶ビールを出して開けると、ぷしゅっという音に二人がふよんと振り向く。

「お酒飲むの」

 とりに聞かれ、「まあね」と答えたら、ねこがふここここ、と走り寄ってきた。

「僕らも飲むー」

「何を」

 驚いて聞くと、「かすみ」と答えられた。

「ああ、かすみね」

 かすみはこいつらと仙人の主食だ。

 とりによると、かすみはその辺の空気にふよふよと混じっているらしい。

「じゃあ、はい」

 とりあえずおちょこを二つテーブルの上に並べてやると、二人は嬉しそうにその前に座り、窓の外を見ながらまたうふふ、と笑う。

 それで満足したようなので、私も缶ビールをちびりちびりと飲みながら、しばらくスマホをいじっていたが、ちらりと二人を見ると、まだおちょこの前で窓の外を見ている。

「飲んでるの」

 何となくそう聞いてみると、とりから「のんでるよー」というほろ酔い加減の答えが返ってきた。

 たぶん、おちょこに入れればかすみでも酔えるのだろう。そういうことにしておこう。

 しばらく観察していると、とりの身体がふわふわと揺れ始めた。それを見たねこも一生懸命身体を揺らしている。

 明日は起きてこないかもな。

 私は飲み干した缶を潰して、二本目を取りに立ち上がった。




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