今日は仕送りが来た。
実家の母から仕送りが来た。
さっきまで「あはははは」「うふふふふ」と笑いながら楽しそうに床を転がりまわっていたとりとねこは、宅配の人が来ると、魂が抜けたみたいにものいわぬぬいぐるみに戻った。
変な体勢でごろりと転がる二個のぬいぐるみ。
ちょっと、やめてよね。私が床に放り投げたみたいになってるじゃん。
なるべく部屋の中が見えないような姿勢で、宅配のお兄さんからダンボールを受け取る。
「ご苦労様でーす」
そう言って、ドアを閉めると、ダンボールを床に置いた。
結構重いな。
そこに、ふここここ、と軽やかにとりとねこが駆け寄ってきた。
「なに、なにー? なにがきたのー?」
「本社からの支給品だよ、ねこくん」
「その本社っていうのやめなさい」
私はダンボールを持ち上げて、部屋に戻る。
後ろからとりとねこもきゃっきゃとはしゃぎながらついてくる。
「……さて」
何が入ってるかな。
部屋の真ん中に箱を置き、ガムテープをべりべりと剥がす。
「ありゃ」
雑に剝がしたせいで、ダンボールの表面もずいぶんと一緒に剥がれてしまった。
この箱はもう使えそうにない。
「わーい」
さっそくねこが、剥がしたガムテに絡まって遊び始めた。
「ねこくん、ガムテープがくっついたら生地が剝げちゃうよ」
「大丈夫、これもうべたべたしてないから」
ねこはそう言いながら、身体にガムテを巻いて転げまわっている。
まあダンボールと一緒に剥がしちゃったから、大丈夫かな。
「ふふふ、ねこくんはまだまだだなぁ」
ダンボールのまん前に陣取ってどかないとりは、ふこりと手羽をくちばしの下に持っていく。
「この箱の中の方が、面白いものがいろいろと入ってるのさ」
「うん。邪魔だからちょっとどいてください」
両手でとりをどかしてから、箱を開ける。
重かったから、きっと、と思っていたけどやっぱりお米だった。
お米は買って帰るの大変だから、助かる。
それと野菜がちょっとと、おかずになりそうな缶詰とか瓶詰とかが少々。
「ああ、なつかしいねえ」
とりが箱を覗き込んで、ふむふむと頷く。
「向こうには、こういう野菜がいっぱいあったんだよ」
「とりさん、覚えてるの?」
「覚えてるさ」
とりはちょっと得意げに言う。
「まあ言うならば僕の生まれ故郷だからね、あそこは」
「……へえ」
とりのお尻のところからぴこりと出ている「made in China」のタグを見ながら、私は頷いた。
さあ、母にお礼の電話をしよう。