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今日は音楽をかけてみた。

 普段はヘッドフォンで音楽を聴くのだけれど、今日はスピーカーに繋いでみた。

 夜とはいえまだ早い時間だし、ご近所迷惑ということもないだろう。

 流れ始めたお気に入りの曲に、鼻歌で合わせていると、とりがもこもことやって来た。

「おっ、今日はごきげんだねえ」

 おっさんみたいなことを言って、スピーカーのところまで歩いていくと、ふこっとした足でスピーカーの電源を切った。

「ちょっと! 何するのよ!」

 思わずそう声を上げると、とりは「へ?」みたいな顔で振り返った。いや、ぬいぐるみだから表情に変化はないけど、確かにそんな感じだった。

「なにが?」

「聴いてたのに!」

「あー、この音?」

 とりは驚いたようにスピーカーを手羽でばしばしと叩く。やめなさい。

「聴いてたの?」

「そうだよ。止めないでよ」

 もう一度電源を入れ、音楽を再開させる。

 ふんふふーん、とそのくらいの鼻歌も歌わないうちにとりキックでスピーカーがまた止まった。

「ちょっと!」

「あ、ええ?」

 とりは自分の足に驚いている。

「いま僕がけった?」

「蹴ったよ!」

「へんだなあ」

 とりはふこりと首をひねる。

「それは反射だね」

 ねこがこたつの中からにょきりと顔を出した。

「とりさんはその音楽がかかるとついついキックしてしまうようにできてるんだね」

「そんなあほな」

 私は半ば呆れながら再度スピーカーの電源を入れた。

「この曲が悪いのかな」

 別の曲をかけてみる。とりがすかさずローリングソバットをかまそうとしたので、さっと抱き上げる。

「はい、どーどー」

「あれ?」

 とりはまだ足をぴこぴこと動かしながら自分でも不思議そうな顔をしていた。

「へんだなあ」

「変だねえ」

 私はそう言いながらスピーカーの電源を落とした。

 どうやら、とりの反射を刺激しないスピーカーをネットで探す必要があるみたいだ。




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