解説君と集中豪雨
「あきら、見てごらん。フラスコの中で雨を降らせる実験だよ」
正太郎が息子を呼んでくだんのフラスコを見せた。
「お父さん、最近異常気象で集中豪雨ていうか、ゲリラ豪雨?がひどいみたいだけど、解決策はないの?」
カタカタカタ。
解説君がやってきて、おもむろに解説を始めました。
「雨雲は低気圧が停滞すると、移動する速度が弱まり、局地的な雨を降らせます。低気圧を移動させてやれば雨雲も移動するかと思われます」
「高気圧と低気圧はなかなか御し難いからなあ」
正太郎が言いました。
「ある科学者が高気圧発生装置という巨大扇風機を作ったらしいけれど、危険だと周りに止められて実験出来なかったらしい」
「宇宙空間から衛星でコントロールできないの?」
暁が聞きました。
「SFの読みすぎ!……でも、SFは未来で実現する可能性が高いからいい線いってるかもな」
正太郎が笑って言った。
「よほど計算して実行しないと、地球自体が危ないかもしれません。雨雲の水蒸気を分散させる手段があればあるいはうまくいく可能性もあります」
解説君が言った。
「どうやって水蒸気を分散させるの?」
暁が興味津々で聞いた。
「わかりません。すみません」
解説君は謝った。
技術が進歩したら災害は減るかもしれない。