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ロストテクノロジーは誰のためにあるの?  作者: 維岡 真
第1部 赤い窓に宿りし君ーdisplay you on the red windowー
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真実の目Ⅱ

 植島は再び1103の部屋の前に来ていた。

「ここって……」

 軽井沢が不安がる。

「おいおいおい冗談きついぜ植島ちゃん。ここはさっきオメーが痛い目にあった場所だろてへぺろ」

 亀山もヒップホップなノリで制す。

「菅野」

 植島は口を開く。

「お前の能力でこの扉の数字を変えてくれ。ローマ数字でな」

「およ?」

 ローマ数字ってと亀山が疑問する。

「ほうなるほど」

 菅野が呟く。

 今井が亀山にローマ数字を教えている間に、菅野はプレートの番号をローマ数字の「Ⅰ、Ⅰ、Ⅲ」に書き換えた。

 そして、

「やまて」

 と植島が呟くと、

「はーい」

 と先ほどの中年女性がやって来て「合格」と言ってくれた。

「えっ、えっ?」

 わけがわからないという表情の亀山をよそに植島たちは部屋に通された。


「真の瞳の番号。この謎を解く鍵は後ろ懺悔にあった」

 植島が説明を行う。試験管であった女性の部屋で答え合わせの時間が始まった。

「最初俺たちがこの部屋に来て番号を言った時は鹿島さんに直接言った」

 試験管は鹿島と言うらしく植島は話を続ける。

「それが一つの誤りで番号の前、つまり部屋番号の前で言わなければならなかった」

 簡単な見落としをしていたと植島は思う。

「でもそれだけでもおそらくこの課題はクリアできなかった」

「そこで必要だったのが最後の菅野がやった番号変えのやつ?」

 軽井沢が訊ねる。

「そうだ」

「軽井沢の言葉がヒントになったんだな」

 菅野がメガネを押しやり言う。

「ああ」

「え、どゆこと?」

 はてなマークの亀山に菅野はため息をつき、

「キリスト教だ。確かに真の瞳や懺悔などそれらしい縁語のような言葉がヒントになっていた。キリストカトリックの総本山はバチカン。バチカンがあるのはローマだ。だから最後にアラビア数字をローマ数字に照合する必要があった」

 菅野の説明になるほどと頷く軽井沢。亀山はおそらくわかっていない様子で首を傾げている。

「そもそも瞳の番号には最初のように色々な解釈ができるからな。だから「真の」と言う文字をつけ、ヒントをちりばめ一つに絞ったんだろう」

「まぁ正解かな」

 鹿島がにっこりと笑って言う。

「君たちの動きは常にモニター越しに観察していたよ。チームと言っても必要に応じて二手に分かれて、霊気力も適宜使っていた。謎解きの仕方もいいし、時間も30分以上余していた。いいんじゃないかな」

「やったデレシシ」

 亀山が喜ぶ。

 まぁ、そう言うことなら良かったと一呼吸ついた時に鹿島の携帯が鳴った。

「ちょっとごめん」

 鹿島が窓際に移動する。

「それにしてもよくわかったな植島」

 今井がいう。

「何たまたまさ」

 暇な時にクイズや推理などやっていたなどと口が裂けても言えないなと植島は思った。

「えっ、それはどういう……」

 そんな時に焦った口調で言う鹿島の声に皆の注目が集まった。

「はい、わかりました。直ちに。ええ、宿舎で」

 そう言って鹿島が携帯を切ると急いで僕たちに振り返り、

「緊急事態発生よ。今から私の指示に従ってこのホテルから脱出する」

 と、シリアスな雰囲気で言うのであった。


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