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ロストテクノロジーは誰のためにあるの?  作者: 維岡 真
第1部 赤い窓に宿りし君ーdisplay you on the red windowー
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真実の目

「なるほど江戸の町に鳥ね」

 到着した菅野が感嘆した様子でいう。

「さすが植島だな」

「いや残念ながら鳩時計の発想は亀山だ」

 へっへーと笑う亀山に菅野は舌打ちし、

「まぁいいこれで次の謎に進める」

 と開き直った。

「次は『その鳥が口にくわえている神々からの伝言を真の瞳の番号の前で懺悔をすれば道は開かれるだろう』か。この鳥の口にくわえられていた神には『やまて』の3文字が。おそらくこれを真の瞳の番号の前で言えばいいんだろうが、真の瞳が何番かが問題だな」

「難し過ぎブフォ」

「真の瞳。瞳という言葉を分解すれば、1、10、3になる。それでいけば11階の1103号室が一番しっくりくるな。他は113だがホテルの構造上一階に客室はない。真の瞳で真を4と捉えれば413も浮上するな」

「つまりその二つのうちのどちらかというわけか」

「もう両方で言えばいんじゃね? どぅふ」

 亀山の言うことも最もだと思いまずは1103号室から試すことにした。

「あまり大勢で行き過ぎてもあれだろう」という菅野の提案でここも二手に分かれることになり、伝言を見つけた植島らに本命の1103号室を渡すことにした。

 植島は亀山と一緒に1103号室まで行った。廊下には誰もおらずしんと静まり返っていた。

「じゃあ、俺が行くからお前は余計なことをするな」

「イエッサー大佐。プロフェッサー」

 敬礼する亀山をよそに植島は部屋をノックした。

「はあい」

 中から中年の女性が現れ、植島は「やまて」という言葉を口にした。

「はい?」

 怪訝そうな顔をする女性に気まずい空気が流れる。

「はいはいはいそこまでそこまで」

 亀山が肩を組んできて、割り込む。

「すいません、こいつ昼間から酒飲んじゃってまして酔っ払ってるんですよほらあっちだって言ってんだろ」

 亀山に引きずられるようにして植島は「やまて……」という言葉口にしてその場を後にした。


「こっちもダメだった」

 再び菅野たちと鳩時計の前で合流した。1103がダメだったら413で菅野たちが試す算段になっていたがうまくいかなかった。

「くそ何が違うんだ。何か見落としているのか」

 植島が悔しがる。

「他に逃しているとすると、神々からのってとこだったり真の、懺悔ってところか」

「懺悔が足りなかったんでねーの? こうやって慈悲深くやまてーってどゅふ」

 宗教のそれのように亀山がジェスチャーする。しかしそんな課題を出すとは植島には思えなかった。

「あの……」

 そこで発言が少なかった軽井沢が声をあげた。

「もしかして真の瞳ってプロビデンスの目のことなんじゃないのかな?」

 と口にした。

「プロビデンスの目?」

 男たちの疑問の顔に軽井沢は、

「うん、私結構文学好きで本読んでるんだけど、そこで秘密結社のフリーメイソンがシンボルに使ってるあのピラミッドの目のマークのことが書かれたりしていて、それがプロビデンスの目からきているらしくて」

 と澄んだ瞳でそう話す。

「プロビデンスはキリストで神の全能の目という意味合いで使われていてそれのことなんじゃないかと」

「軽井沢その話はわかるんだが、肝心の番号と何の関係があるんだ?」

「確か666というのがキリストで悪魔の数字でフリーメイソンにも関係しているどうのこうのってのがあったみたいで、、、」

「666」

「だがそんな部屋番ないねとぅふ」

 このホテルは30階建で、各フロアに13番を除く1から26番までの番号が割り当てられていた。例えば8階の22号室であれば822というように。

「そう。だから私も特に黙っていたの。でもなんか行き詰まっているようだったから意見したまで」

 軽井沢はそう言ってそっぽを向いた。

「666……キリスト教……懺悔」

 植島はつぶやくようにそう言った。

「いや、軽井沢ナイスアシストだ」

 植島はニヤリと笑う。

「えっ?」

 一同の目が植島に向けられる。

「さぁ課題のクリアといこうか」


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