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ロストテクノロジーは誰のためにあるの?  作者: 維岡 真
第1部 赤い窓に宿りし君ーdisplay you on the red windowー
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鳥の謎

 ホテル内を二手に分かれて探索してから1時間が過ぎようとしていた。

「ぶわは、全然みつからねぇ」

 植島のペアは亀山だった。

「黙って探せ」

 今井と軽井沢を連れていったあたり菅野の完全な悪意を感じるが(というより菅野が亀山だけは嫌だった)、裏を返せば一番心配な亀山に自分を監視させるあたり一定の信頼は置かれているのかもしれないと植島はポジティブに捉えることにした。

「いやぁそれにしても廊下が長いなこのホテル」

 普通のホテルと違い廊下の横幅が長かった。外見から伺うに赤坂の一等地のホテルだろうがそれにしても贅沢な使い方だと植島は思った。

 しかし、1時間経っても何も見つからないとは。

 3分の1の時間を無駄に使い植島は内心焦っていた。

 このままでは何も手がかりが見つからないままこの課題が終わってしまう。それだけは何としてでも避けなければならなかった。

「もうこうなったらいっそ盛大に俺ちんの能力をぶっ放しちゃう?」

 亀山がニヤニヤしながらそう言った。

「やめとけお前の能力はただでさえ目立つんだから」

 植島はホテルという環境での隠密には亀山は向いていないと思った。

 それにしても「夕刻迫る江戸の都に一羽の鳥が来襲する」。

 まずこの一羽の鳥を見つけることができないで1時間が過ぎてしまった。

「無理だなこれ。ぶは」

 亀山が笑う。そもそもどこに鳥がいるのか。実際に飼っているのか従業員に伺ったが、そうではないらしい。それ以外に鳥の模造品や銅像、絵などを探しているが見つからない。まさか本物の鳥が来るなんてことはないだろう。

 携帯端末で菅野たちと連絡を取るがあちらも苦戦しているらしかった。

 打つ手がないなと感じていたその時だった。

「あっ富士山」

 亀山が何かを見つけ声を出す。

 見ると壁に大きな富士山と江戸町の絵画があった。

「江戸……まさか」

 この近くに手がかりがあるかもしれないと植島は亀山に伝え二人であたりを探すことにした。しばらく経っても鳥らしい何かは見つからなかった。あるのはグラスのローテーブルとその周りの4つのソファー型の椅子。そして台に置かれた陶器と古時計であった。

「何も見当たらないか」

 植島が諦めかけようとしたその時、

「もしかしてこの時計から鳥さんがぽっぽーて出てきたり。ぷは」

 と亀山が言った。

「お前……」

 それだと植島は思った。中身を調べてみないとわからないが鳩時計というものがあるのだから亀山が言ったことは正しいかもしれない。

「あれ、もしかして俺天才?」

 ああ天才だと適当なことを言って植島は時計を調べ始めた。

 すると確かに時計の中盤に扉のようなものがあった。しかし問題は時間だった。この鳩時計が何分置きに出て来るかがわからなかった。

「壊しちゃえばいいでね? デュフ」

「隠密だと言っているだろう。人目につく行為は禁じられている」

 試験開始時間が3時で現在時刻は4時15分を過ぎたあたり。

 もし1時間置きに0分ジャストで鳩が出て来るとすれば次に出て来るのは5時で課題時間の残りは1時間。

 残りの謎のことも鑑みるとなるたけ早く鳩を出すことが吉であった。

「仕方ない」

 植島は時計に手を添えた。そして自身の霊気力によって発せられた微弱な電流で時計の仕掛けを探り、自発的に鳩を動かすことにした。

「ぽっぽー」

 時計から鳩が出てその口に紙が加えられていた。

「ビンゴ」

 二人は急いで菅野らに連絡して合流を待った。


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