グドゥン・サテ
グドゥン・サテはブラガ通りを北側にバンドン駅の北東に位置する場所にある。
スマホで調べたところサテーー日本で言うところのyakitoriに当たるインドネシアの有名な串料理が屋根に刺さっているところがそれに見えたため人々からそう呼ばれるようになったとか。
「オランダ植民地時代に建てられたのね。今は西ジャワ州の州政府の庁舎見たいね」
珍しくエリーが予め情報を調べてくれたみたいだ。
「ミュージアムには無料で行けるみたいだけど中の庁舎は無理みたいね」
そりゃそうかとエリーは呟く。
「中に入る」
亮介はエリーの言葉を無視するかのように言う。
「入るってどうやって」
僕は苦笑いしながら亮介に尋ねた。
そんな僕にお構いなしに亮介は門番の男たちに話しかける。
門番の一人が庁舎の中に入りしばらくすると戻ってきて「OK」と言って中に入れってジェスチャーをする。
「どうも」
亮介は日本語でそう言って軽い足取りで庁舎に入っていく。
僕は唖然としているとエリーも「あっ入れるの?」と軽い感じで入っていく。
亮介が何を言ったのか全くわからなかったが僕も後をついていくことにした。
「いやー満足満足」
庁舎を見回り、外に出て亮介は言う。
結局、なぜ入れたのかわからないまま僕たちは庁舎を後にした。
「さて適当に晩飯でも食べてホテルに戻るか」
亮介はそう言って目的地も決めずに歩き出す。
今日も今日で一日色々あったなと僕はぼんやり思う。
ボゴールからの道中であの変な鳥を見て、ブラガ通りでは例の謎の男に再遇した。
そういう日は何も考えず美味しいものを食べて寝るに限る。
と、僕はそうぼんやり思いつつ亮介を見る。
亮介はいつもの様子で平然と歩いている。
時々僕はこの男がとてつもなく恐ろしく感じる。
今日も銃を持った相手に怯むことなく立ち向かい、庁舎には何かの伝手で入った。
そんな男と僕は旅をしている。
「‥‥‥」
その事実がおかしくもどういうわけか不思議な感じがしてならなかった。




