ブラガ通りのその先に
昼ごはんの後僕たちはブラガ通りに繰り出した。
「ジャワのパリ」と称されるこの通りはカフェやギャラリーが立ち並び、近くには1955年に開かれたアジア・アフリカ会議の会場となった博物館もある。
天気も良く道脇に咲く木々とコロニアル風な建物の風景がより一層煌びやかに見える。
「オシャレー」
エリーは次々と並ぶローカルな衣服やカフェなどに興味を注がれている。
「んじゃあアジア・アフリカ会議博物館にでも行くか」
と、しばらく通りを歩いたところで亮介が言った時だった。
亮介がピタリと立ち止まりそしてゆっくりと反対側を向く。
「どうした亮介?」
僕も亮介と同じように振り向いた。
銃を持った男がそこに立っていた。
ホーチミンでループする事象に巻き込まれた時と同じような状況。
またここインドネシアで遭遇するとは夢にまで思わなかった。
ホーチミンで見かけた時のそれのように男はフードを被りこちら側に照準を定めている。
エリーは、近くの雑貨屋に入りまだその様子に気づいていないようだった。
「‥‥‥」
僕はいつでも走り出せるように準備をする。
「よぉなんなんだお前は?」
亮介は男に尋ねる。
「毎度毎度俺たちのことを追っかけやがってよ。ウィンガーじゃあるまいし」
男は黙りを続け銃も下さないでいる。
「何か用があるんだろ? 俺たちに」
亮介の問いかけにも男は黙りを続けている。
前会った時みたいに話さずただこちら側に銃を向けている。
「‥‥‥霊気力」
そこで男は言葉を発した。
それは前に亮介が話していたものだった。
確か、万物に備わっているエネルギーとか。
「そうか」
そこで亮介は持ち前の笑顔で男に対した。
「誰の差金かは知らないが俺はただ自由気ままに旅したいだけだ」
亮介がそう言うと同時にエリーが店から出てきて誰あいつと訝しげに言い、手に持っている拳銃を見て言葉を失った。
「隠れていて」
僕はエリーを再度店に押しやろうとする。
「お前の主に伝えておけ。俺は霊気力にこれっぽっちも興味ない。てめーらの邪魔はしねーしてめーらも俺の邪魔をすんじゃねぇ」
亮介がそう言うと男はそこで初めて拳銃を納め、去っていった。
「大丈夫なのか?」
僕は亮介に尋ねる。
「知らねーよ。さっきも言ったろ俺は俺の自由にする」
そう言って亮介は、
「行き場所を変える。クドゥン・サテだ」
とアジア・アフリカ会議万博の反対側である男がいた方向に向かって歩き始めた。




