Revealing the flash
カフェを出た僕たちは宿泊先のホテルに向かう。
モンテスラが生えている道を歩いていると、僕たちはとある人物を見つけた。
決して馴染み深い顔ではなかったが、あの場所でふと声をかけてきた男であったからなんとなく僕たちの頭の片隅に残っていた。
「やぁやぁお久しぶりです」
PIKで見た男が話しかけてくる。
「あなたたちはPIKで出会ったなんとも風変わりな3人組ではないですか」
男は引き続き喋る。
「今度はボゴールで会うとはなんとも運命的ですね」
そう笑顔で話しかける男に対して僕は、
「あなたの方こそわざわざこんなところへ?」
と返した。
「ええ、私はちょっと仕事でね。ちょっとバリ島に行く用事があったのですが、飛行機が飛ばなくなりましてね」
とやれやれと肩をすくめる。
「んあ、俺たちと一緒じゃねぇか」
と亮介は口を挟む。
「なんと、あなたたち様もバリ島に行く予定だったんですか」
わざわざ様をつけるところがなんとも詐欺師のような雰囲気を感じた。
「そういやてめー今日はスーツ姿なんだな」
亮介が珍しく相手に興味を持って話す。
「ええ、前回は自社で働いていたんですが、今日は出先なもので」
男は言う。
「ふーん」
まぁ、立ち話もあれだしホテルのロビーにでも来るか?と亮介は男を誘うが、
「大変興味深い話なのですがね。いえ、私はこれから重要な仕事なのでね」
と、男は残念そうに首を振りながら「それじゃ良い旅を」と去っていく。
「あんたが人に興味を示すなんて珍しいわね」
と、僕が思っていたことをエリーも言う。
「いや、あいつはいい店を紹介してくれたしな」
亮介がいい店と言っているのはアダルトなそれだと僕には一瞬で分かった。
「それに‥‥‥」
そう言う亮介は、いやなんでもないと思うところがありそうにホテルの中に入っていった。
チェックインをしてお互いの部屋に荷物を下ろして僕はなんだか街の空気を吸いたく外に出ようとする。
しかし、ホテルのロビーで亮介が考え込むように顔を下に向けていた。
「どうしたんだ亮介?」
僕は亮介に尋ねる。
「‥‥‥‥」
亮介は僕の声に気づかない様子で、僕はもう一度声をかける。
「おお、フォンか」
と亮介はようやく気づき僕の方を向く。
手元には携帯ではなくアナログなマップを置いており赤い線で僕たちが辿ってきたルートが示されていた。
「どうしたんだ地図なんて広げて」
僕は不思議に思ったことを聞く。
「‥‥‥‥」
再びしばらくの沈黙の後、
「なんか気にくわねぇ」
と亮介はつぶやく。
「気に食わないって何がさ」
僕は本当に亮介が言っていることがわからなかった。
「ホーチミンの件といいよぉ、なんか見えざる手を感じるんだよな」
亮介は地図を真剣そうに見つめる。
「そんなの考えすぎじゃない?」
僕は聞く。
「だといいんだけど‥‥‥」
亮介はそう言って地図をたたみ自分の部屋に戻っていった。
「変なの」
僕はしばらく亮介が帰るのを見た後夜風に当たるためにホテルを後にした。




