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ロストテクノロジーは誰のためにあるの?  作者: 維岡 真
第2部 二人の英雄伝説ーLiberal wayfarerー ホーチミン編
35/49

正体

 再び街の中。

 亮介とともに来ていたが、場所は川沿いの道であった。

「ここって……」

 僕はあることに気づく。

 それは黒いフードコートの男が現れた場所であった。

「ったくよぉ、ここまでなんで俺がしないといけないんだ」

 亮介はぶつくさと呟いている。

「なんで俺がこんなことをしないといけないんだ。俺は普通の民なのによ。神宮司コンツェルンがどうしたってんだい」

 ぶつくさと文句を言いながら亮介は紐を取り出した。しっかりした縄製の紐でそれをまるで小鳥を捕らえて遊ぶ子供かのように地面に輪っかを作って結び始めた。

「一体何をしているんだ?」

 僕は純粋に亮介に尋ねた。

「いいか、この輪っかだ。この輪っかが動いた瞬間が重要なんだ」

 亮介はそう言って手を放すと少し離れたベンチに腰掛けてよいしょと息を吐いて座った。

 わけがわからないが僕も彼の隣に座って縄を眺め始めた。

 縄を眺め始めて何分経っただろうか。

 まるで釣り糸に魚がひっかっかったかのようにその縄がピクリと動いた。

「きた!」

 亮介は走って近づきその縄をあげた。

 しかしそこでなんの変化も起きずに気づいた時には亮介は「こっちだ」と走り去っていた。

「もう一体なんだってんだ」

 僕も追いかけるように彼の後を追う。

 一通り走り抜けた後、小路地のところで僕は亮介にぶつかる。彼は立ち止まっていた。

「どうしたんだ亮介……」

 彼の目の前にはまさに黒い靄ができていた。

 薄暗さを放ちこの世のものではない未知な物質が蠢くかのようにその黒の靄があたりの空間を歪めていた。

「これは」

 僕は驚くように目を見張った。

「ああ、おそらくこいつが黒い霧だ」

 亮介は呟いた。

「なんでそんなこと」

 思いつくんだ、と僕は思ったが言えなかった。

 時々亮介が考えていることが本気でわからない時がある。それが不真面目な例えば酒がどうだの女がどうだのであれば心底どうでもいい。でもしかし。

 時たまにくそまじめにこうして激すごなアイデアを閃いたりする。悔しいがその時の亮介には誰も敵わないんじゃないかと僕は本気でそう思っている。

 亮介は黒い霧の中に手を伸ばす。

「おい」

 大丈夫なのかよ。亮介はそのまま手を黒い霧の中に突っ込んだ。

「ん、これは……」

 亮介は何かを掴んだかと思うとそれを黒い霧の中から引っ張り出した。

「これは……」

 僕はそれを見て驚愕した。

 それーー彼女、エリーは黒い霧の中から眠った姿で現れた。


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