別れた後に
「亮介、亮介ってば!」
僕は先に店を出た亮介の後を走って追いかける。
交通量が多いベトナムの道路は夜でも賑やかで僕の声が離れて歩く亮介に届いているかはわからない。
「待ってってば」
ようやく彼の元に追いついて僕は息を整えながら隣を歩く。
「確かに彼女が言ってることが無茶苦茶なのはわかるよ。結局自身情感で物事の善悪を決めつけているし、何より相手が悪すぎる。地に足もつかず妄想気味なのはわかるけどさ……」
それでもと僕は語尾を強めて言う。
「それでもあんな言い方はなかったんじゃないか?」
どれだけ無謀な戦いだとしても彼女にとっては痛みの大きい出来事であり看過できない事情だ。
それなのに亮介は無慈悲な言いようで彼女を退けた。
これが普通の人間ならまだしもあのパーティーにも誘われるような亮介になら少なからず彼女の助けになることはできたんじゃないかと僕は思った。
隣にいた亮介は静かに歩いていた暗くよく見えなかったが、車のライトに照らされている時にふと表情が見えてその表情は少なからず神妙だった。
僕の声が届いたのかわからないが突然亮介は僕の肩に手を回した。
「おい、フォン」
亮介の言葉をいまかいまかと待ち僕はこくりと頷いた。
「飲み足りねー。飲み行くぞ」
「はっ?」
僕は思わず言葉を聞き返した。




