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ロストテクノロジーは誰のためにあるの?  作者: 維岡 真
第2部 二人の英雄伝説ーLiberal wayfarerー ホーチミン編
23/49

いざ、パーティー--partyへ

「で、なんだってこんなところにいるんだよ」


「ん?」

 

 僕たちは豪勢なホテルの広間でスーツ姿に身を包み社交パーティーの最中にいた。


「なんでってそりゃパーティーに誘われたからだろ。kitty boy」

 

 亮介は挑発的な手で僕に向かってちょいちょいと人差し指を動かした。


「遺跡に行くんじゃなかったのかよ……」

 

 時は遡ること数時間前。

 

 河岸にて少女と別れた後、コーヒーショップに入った。


「いやー、やっぱりHIGHLANSCOFFEEは格別べ」

 

 亮介はココアのフラペチーノをストローでちゅうちゅう飲みながらだらけている。


「だれすぎだよ」

 

 僕はコーヒー片手に呆れ顔で亮介を見る。


「つってもこんなに暑かったら動く気にもならん」


「遺跡行くんじゃなかったのかよ」

 

 終始だらけている亮介に僕はツッコム。


「やめるか遺跡。ってかそもそも遺跡とかあんの? ベトナムに」

 

 僕は適当な亮介に愛想を尽かした。そんなことも知らずに遺跡に行こうとか言ってたのかこいつは。


「ベトナムにはミーソン聖域とかフエの歴史建造物群があるけどいずれもホーチミンからだと遠いよ。下手すればカンボジアのアンコールワットの方が近いんじゃないかな」

 

 こういう時、可塑型携帯端末を持っていないのは不便だと実感する。Googleで調べれば一発なのに。


「へ、お前詳しいな」

 

 亮介が感心したように言う。


「なんでそんな知ってんの?」


「さぁね」

 

 僕は知らんぷりでコーヒーをいただく。ちなみになぜ詳しいかと言うとベトナムに入った時にネットが置いてあるホテルや雑誌でどんな観光地があるのか調べたからだ。そんな僕は普通じゃないだろうか。


「そーなんかちなみにこっからアンコールワットってどんくらいあんの?」


「さぁ、少なくとも今から行って日没までに間に合うかどうかじゃない?」

 

 僕は適当に答える。


「まじかぁ。じゃあ無理だな」

 

 亮介は再びくでーと横たわった。僕は呆れて鼻で笑った。


「あのう……」

 

 男の声がした。


「はい?」

 

 僕はついつい返事をしてしまった。スーツを着た30代の男性。亮介と同じ日本人のようであった。


「ほら亮介」

 

 日本語を話せない僕は亮介をゆり起こす。


「ああん?」

 

 亮介は男に気づくと「ダレアンタ?」みたいな日本語を言った。英語でいうと「whatとかwho」といった意味だろうか。


「あのもしかして神宮司さんでしょうか?」

 

 男が尋ねる。


「ああそうだけどあんたは?」

 

 亮介がそう答えると男は、


「やっぱり何時ぞやの会で見たことがあって」

 

 と喜んで話し始めた。


 しばしの間日本語で会話している二人についていけず僕はただ黙って二人のやりとりを見ていた。

 

 夢中で話し込み置いてけぼりになった僕に気を遣い男は、英語で事情を話してくれた。

 

 男が日本企業の会社員でベトナムに駐在している事、日本にいる時にとある会合で若き日の亮介とあったことがある事、そして現在も亮介の家族にお世話になっている事など。亮介のプライベートが垣間見えると思ったが、途中で亮介が意図的に話を止めたためより詳細な情報は聞くことができなかった。


「ところで今晩二区で在日企業が多く参加するパーティーがあるんですが来ますか?」


「行くっ」

 

 何か楽しそうにしている亮介に僕は不安な気持ちになった。


「おい、フォン! パーティーだ! p.a.r.t.y--party!」

 

 そして現在に至る。


「で、その日本企業のレセプションとやらに来ているわけだけど……」

 

 僕は辺りを見回した。日本人が多く、またスーツに身を包んだ大人が多い。

 

 僕と同年代の人はほとんどいなかった。


「この状況をどうやって楽しめと?」

 

 僕は亮介に訊ねる。


「考えるんじゃねー。感じるんだ!」

 

 と、亮介は一蹴して終わりだった。

 

 最後の「Feel」の発音にムカつくのは僕だけだろうか。

 

 そんなこんなでレセプションが始まった。


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