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ロストテクノロジーは誰のためにあるの?  作者: 維岡 真
第1部 赤い窓に宿りし君ーdisplay you on the red windowー
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磯松の夢

 磯松は小さい頃にすでに自身の霊気力について知っていた。

 5歳の時おもちゃを持とうとした右手が勝手にゴリラのそれのようなものに変身し、掴む前に破壊してしまったことが最初の記憶だ。それ以降両親にもばれできるだけその異能の力を使わないように訓練されてきた。それでも小さい頃は制御の仕方がわからず何度も無意味に力を発現させ、両親を傷つけたこともあった。

 そして10歳の時。この頃になると恣意的に能力の発言ができるようになっており、学校では絶対に能力を使用しなかった。

 そんなある日。

 同級生たちが中学生の生徒にいじめられていたのを見つけ磯松はそれに駆けつけた。

 家以外での能力の使用は親に絶対に禁じられていた。そしてこの時もどれだけ暴力を振るわれても能力は使わなかった。磯松も中学生に暴行を加えられた後、中学生が帰ろうとした瞬間だった。

 車に気づかなかった中学生の一人がはねられようとしたのを磯松は見逃さなかった。

 気がつけば自身の能力で車を止めていた。引かれそうになった中学生、他の中学生、そして同級生。車の運転手を含め皆が自分の右手に驚きを隠せなかった。

 中学生は恐れおののき逃げ出し、同級生達も気がつけばいなくなっていた。

 それ以降だった。

 学校から自分の周りに友達がいなくなった。

 いじめられるわけでもなく、噂だけが広がりただ皆磯松に近寄ろうとしなかった。

 磯松は別にそれでも文句を言わなかった。

 皆が恐れる理由もわかる気がするし自分は強いのだから周りを恐れる必要もなかった。しかしどこかに一抹の寂しさを抱えながら彼は中学生になった。

 同地区の中学校にも噂は広まっておりそこでも彼は皆に恐れられた。

”ゴリラの磯松”

 そんな名前で呼ばれていることを彼は知った。

 そんな中学2年生のある日。

 一人の男が家を訪ねてきた。

 なんでも政府の職員だとかで異能の力ーー霊気力を持つ者を集め教育する機関を政府で作っているとのことだった。言ってしまえば磯松をスカウトしにきたのだ。磯松は少なからず興味を持ち、両親もそこへいきたいと言う自分の気持ちを尊重してくれた。

 そして彼は機関の元へと旅立った。

 機関には同世代の者達が多くいた。そこで磯松は彼らと生活を共にすることにした。

 自分の能力について語り合い、能力を使ったいざこざが生じ、そして能力を使った訓練があった。

 何れにしても彼の能力に疑問を呈するものはいなく(結局ここでも”ゴリラ”と言うあだ名がついたが)いい意味で彼は普通であった。

 周りが皆自分と同じ特殊な境遇で育ってきたもの達だったから自然と分かり合えた。

 いつもからかってくる吉川も、臆病な軽部も、笑い上戸の亀山も冷静沈着な植島も。

 なんだかんだ言ってお互い初めて分かり合える同志達を得た気分だった。

 ここにきたことは正解だった。

 ここでみんなと一緒に育ってゆくゆくは政府のために身を尽くす立場になる。

 それが磯松が持った新たな夢であり将来への展望だった。

 その矢先に彼の夢は奪われてしまった。

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