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話し合わない僕らはタイトルをつけない。  作者: 夜更かしした僕らは夢をみない
9/30

“チキン”でも“個人”でもない

かわるがわる登場。ちゅーぼー。です。学園ルールの掴みにくいこの作品を読み解くことができるでしょうか?


今日2017/10/21は僕個人の作品更新と重なってます。RIN様に言われるまで気づきませんでした(-_-;)

それでは本編ですm(__)m

第七章(ちゅーぼー。)



『どうして、あんなに挑発するようなことを言ったの?』


 ライトがチキン野郎から去ると珍しく左義手の方から言葉を発してきた。それにライトは逡巡なく応答した。廊下をただ一人、孤独に歩く。今や邪魔になるほど元気だったエグマももういない。


「言っただろ。アイツはチキン野郎だって」


『だからって、大切にしてた“偽物”を殺さなくても』


 チキン野郎と左義手は偽物にも人間性を求めているらしい。ライトにはそれは生ぬるいようにも見えるし、忘れてはいけなかったはずの優しさの光に眩しさと嫌気がさした。


「俺は跡形もなく、消滅させるつもりだった。なぜ、尽くすはずのお前が威力を落とした?」


『慈愛がないと思ったから』


「記憶がなくなっても生き返るんだから関係ない」


『その中に大切な人が混ざってたらどうするの?』




「――たとえば、お前がか?」




『……私は義手。なにを言ってるのかよく分からないね』


 ライトはもうこの時、確信していたのかもしれない。義手のぎこちなかった返事。

 この肉声。どんなに加工していてもこれだけ話していたら…………。

 頭から離れない彼女――サクラギ=ハルノの存在がはっきりと浮かぶ。


「情報がすべてを制するって言っただろ。アイツは…………“ミノ=レフト”は頭が良いようだが行動力がないんだよ。これは“個人戦”じゃない」


 ここまで情報にこだわるライトが転がった情報を見落とすことはあり得なかった。チキン野郎――つまり、ミノ=レフトは“転校初日”、大声で自ら自己紹介をしたのだ。


「“個人戦”って何?」




「お前も大概バカだぞ。義手――――いや、サクラギ=ハルノ」




『誰ですか? その“女性”』


「俺の考えが読み取れるんじゃなかったのか?」


『………………』


「俺がノートを一つしか書いてないと思ったら大間違いだ。ノートは最初から“五つ”創っていた。そのうちの一つをわざとミノ=レフトが拾うように落とした」


『ノートを五冊? そんなことっ…………見逃すわけない』


「お前は深夜三時から朝方六時まで応答がなくなる。眠かったか?」


『………………』


「俺の奥歯の虫歯。知ってるのは俺よりも俺に詳しい“ハルノ”だけだったもんな」


『………………』


「暗殺グループ時代が懐かしいな。俺は実行犯。お前はオペレーター」


『………………』


 無言の肯定が続く中、ライトは三組の隣、二組へ緩急を顕著にその身を投じた。。するとその後をつけて女の影が舞い込んだ。


「――そんなお前がプロの俺に気づかれず尾行できると思ったのか?」


 ライトがこの人生で失って気づいた、ライトの心のすべてを埋めてくれていた人。ライトに愛を教えてくれた人。そして――――ライトが一番護りたかった人。



「ライトっ………………」


 もうごまかしはきかない。左義手と彼女の音声はリップシンクしていた。その容姿は少し変わってしまったけれど、そんなのどうでも良い。

 ――心が“本物”あるならば。



「――お前の記憶は“本物”そうなんだろ?」



「――当ててみて」


「お前はあのとき俺の左手を巻き込んで、被爆してお前は動けなくなった。植物状態になってしまったお前は記憶だけでも残すために身体を“偽物”へと手放した。そんなことも知らず、俺は左腕を切り落とすことで生き残ったと言うわけだ」


「………………」


「図星を突かれると黙り込む癖が変わってないな」


「………………。“個人戦”じゃないって、どういうこと?」


「もうすぐ血祭りが始まる。なぜ“偽物”は暴走以外で“本物”を狙わないか考えたことあるか?」


「それは…………まさかっ! リーダーがいる?」


「そうだ。“本物”を殺して生き返えれる“偽物”は――一人。誰が生き返るかを話し合っているとしたら?」


「その集団全員に襲われる」


「そういうことだ。チームで行動の確保をしておけば記憶など何度無くなったも伝言できる。つまり“偽物”側は結託して力を溜め込んでるんだよ」


「そんなことは…………」


「ノートを落としたうち、反応があったのは、“シンジ”と名乗る一人だけ。あとは反応無しと最初から特定済みのチキンくん」


「だったら、そのノートは?」


「チーム“偽物”の手に渡ってるだろうな」


「だったら、殺される前にこの学園からもう逃げて。ライトにもう一度会えて良かった」


「やっぱ。バカだな。逃げるっ!? …………ちがうだろ。チーム“本物”を結成するしかないんだよ」


 するとその“本物”の口の動き。音声に背後の気配が動いた。


 ――バンッ!


 ――それは殺気。研ぎ澄まされた一発は“理性のある行動”。

 それでも対処は十分に可能だった。白銀の“左”は銃弾など軽く弾いてしまう。


「危ねぇな」


「“偽物”派閥クリスマスのタザキと申します。もちろん、偽名なんですけどね」


「俺、ひとりぼっちだし、見逃してもらえない?」


「ではあなたも“偽物”になりましょう」


 “タザキ”に銃口をそのまま突きつけられた


「“あなた”じゃなくて、“サノ=ライト”だからよ。――――“暴走”すんなよ」



「――――うあぁぁあぁぁあああっ!」



 突如、タザキの攻撃が単発になる。

 本名を使えば理性を奪えるって訳だ。

 レフトより先に“偽物”に命を狙われるとは思ってなかったが…………。


 ライトはそのままタザキの射線を外して“左”で無力化を図ろうとした――――が、、“左義手”に反応はなかった。

 今、考えてみるとそれは当たり前だ。



 ――――バンッ!



「――かはっ!」


 ――“偽物”は理性を失うんだから。


 左義手のオペレーターは実際に後ろでライトに向けて銃を発砲したのだ。

 つまり、ライトは完全に孤立したガラクタの左義手を持つ餌。


「に…………げてっ! ラ……イトを…………殺したくない」


「はっ、はぁはぁ…………ハルノも暴走するのかよ」


 ライトは窓ガラスに身体をぶち当て廊下へと投げ出した。

 しかし、ハルノから距離をとって二組の教室を出るとそこには大量の“偽物”。

 ――否、偽物派閥。直線的な廊下を逃げ切るのは、どう考えても無理だ。


 だったら逃げ道は隣の教室まで。一組か――――――三組。“アイツ”しかいない。


 逃げた先では案の定、レフトが待っていた。ライトの背中は赤一色だ。引きずる身体はそうは動かない。三組に入ったライトは探すまでもなく対峙した。


「てめぇ。ミケの仇、とってやる」


「ミケか…………? はぁ…………はぁ。“偽物”派閥アライブの下っ端にまどわされるな…………。オエッ…………フゥ。俺のノートを見て校内にいる“ライト”の偽名を使った奴はすでに監禁されて本名を知るまで拷問されてんだ」


「なんの話をしている?」


「これは“個人戦”じゃない」


「“個人戦”じゃ…………ない?」


「冴えた頭でよく考えろっ! …………ゼェ…………ゼェ“偽物”にも生き返りたい奴らを従えるいくつかの派閥がある。“俺たち”は“本物”同士だろ」


「“本物”……“本物”って。その言葉を“安易”に使うな」


「だったら、お前の命、ミケを生き返らせるために使うか? お前が死ねば誰かは生き返る。それでお前は満足か?」


『ライト……さっきはごめん。【痛み止め】効果予測、沈痛』


 ようやくライトから離れて正気を取り戻した左義手は機能を取り戻した。それでも迫り来る“偽物”派閥の連携を前にライト一人ではどうしようもない。賢いことに誰も。

 ――――“金属”を持っていない。


 ――それでは、【電磁石】の発動も無意味。



「今、痛みがなくなっても身体が痺れて動けねぇぞ。あぁ、クソッ! 殺傷能力のある雷を準備」

『りょーかい。【放電ライトニングLv.2】のチャージはじめるね』


 麻酔により身体の動きがより鈍くなったライトが何もしなければ、チャージ中に命が散るのは不可避。



「ほら、チキン野郎っ。お前が“偽物”を殺せないなら。俺があいつらを殺す。だから少しぐらい…………その義足で時間稼いでみせろよ。俺を最低だと思うならそれでもいい。俺を“偽物”一人生き返らせる道具だと思って護って見せろよ」





まずはお読みいただきありがとうございます_(._.)_

なかなかレフトの見せ場がないので、巻き込む方針で一手。


RIN様は執筆速度を気にされるなぁ一言。

僕は書きたい内容がないときに書こうとしないのがスタイルですね。だいたい三日ごとにアイデアを文字に起こすという頻度。


この作品に関してはそもそもリレーでプロットがないので難しいのは確かです(-_-;)

なろうで活動中のお読みいただいた方はどんなスタイルを持ってますか?

ぜひともお気軽にお声かけを(^^ゞ


次話更新2017/10/28零時更新!

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