糧となる過程
隔回あらわるちゅーぼー。です。
連載から今日が二ヶ月目という記念日でございます(パチパチっ!
第十一章(ちゅーぼー。)
「――で僕はどんな顔になって過ごせば良いのさ」
シンジが早速、話題を切り出した。なんとなく成り行きでリーダー格を務めるライトの判断はこの話し合いのずっと前から決まっていた。言い出しづらいその内容を少しずつ静かに話していく。
「顔を変えるのに必要なのは?」
「“実際にその顔を見ること”が一番わかりやすいかなぁ」
すれ違った人間と同じ顔になれるのなら、いざ逃亡を図るときも逃げ切れる可能性は高まる。
「なるほどな。なら今度、直接会わせる」
ライトの作戦のピースはこれで固まった。
「既存の人物になりすますのかよ?」
レフトが言葉を挟むが特に誰もその答えを示さない。レフトの発言は空気だ。しゃべりが圧倒的に下手だから。なにも言わずともレフトなら作戦をくみ取れるとライトは信頼を置いている。
「相手の動きのほとんどは特定できない」
「じゃあ、“ミケ”とかになるわけ?」
一組である以上、ライトとレフトの軋轢の一件は一応知っていた。とうぜん、“ミケ”の言も
「そんなのは無駄だ。“偽物”が欲しいのは“本物”に限るんだ。潜り込めない」
「じゃあ。結局、“シンジ”は囮になるっていうことだろ」
※レフトの発言だ。言うまでもなくスルーするとしよう。
「俺たちは今まで全部後手に回った。“シンジ”は究極のゲームメイカーになる。“偽物”を“本物”に。”本物”を”偽物”に化かす」
今までのライトの行動はあくまで攻め込まれた状況を打破しただけ、相手は無限の命で良いようにやられているのだ。次の逆転の一手は――――、
「そんなことどうやってやるかって話だろ」
※レフトの発言だ。言うまでもなくスルーするとしよう。
「奴らが次に狙うのは間違いなく“ハルノ”だ。だから…………」
ライトはやっと作戦を発表するはずだった。ずっと呼吸を整えていたのに言葉止まった。するとその代わりに、“左義手”が代弁した。
『――私を殺す』
“ハルノ”であれば“偽物”という無価値ありながら“本物”に繋がる唯一の人質になる。なぜならライトの最愛の人だからだ。そんなことはもう“偽物”派閥には感づかれたのは言うまでもない。
「ほおほお、でその殺すってなんの例えだ?」
※レフトの発言だ。言うまでもなくスルーするとしよう。
「…………この義手は電子の流動に優れた性能を持っている。それが【電磁石】や【放電】や、そして麻痺による【痛み止め】の正体だろ?」
『さすがっ! ライト』
「人の脳は電気的に管理をしているという。その仕組みは知らないが“ハルノ”。お前が俺に会えば、その記憶をこの義手に移せるんじゃないのか?」
『そうだよ。そのための装置だから』
「つまるところ、この義手に“ハルノ”を移す。そして“ハルノ”の肉体は殺すって訳だ」
偽物が死ねば記憶は消える。――それは“ハルノ”の肉体をした別の存在だ。
「その後は僕が“ハルノ”に変装すれば、校則によって“偽物”は“偽物”を殺せないから。“本物”の僕でも奴らの元を行き来出来る」
物わかりの良い“シンジ”が好ましい。さらに女の子ならなお良いと言える。
「――おいおいっ!? お前ら、何言ってんだよ。“最愛の人”なんだろ殺すって何だよ? ふざけんなよ。おまえは“ハルノ”ちゃんに会うために学園に来たんだよな?」
※レフトの発言だ。言うまでもなくスルー…………したいに決まっていた。だってライト自身が自分を一番苦しめることになるのだ。同情する奴が、
――レフトがライトの代わりに怒ってくれた。
それだけで救いなんだ。でも優しいことと他人を救うことは違う。
「“ハルノ”は一度死んだ。どういう形になろうと会えただけで十分なんだよ。この白銀の義手が“ハルノ”だって言うなら、俺はこの義手を愛し続ける」
「作戦は分かった。“ハルノ”さんが捕まる前に行きましょう」
シンジはすぐに席を立った。“ハルノ”が捕まえれば作戦は潰える。“善は急げ”ということだ。どうせ死人だ、“善意”で殺すことの何がいけない。
「今日のこの作戦が成功すれば、“シンジ”以外は学校に行かない。奴らには“本物”が来ないことこそ一番の精神攻撃になるからな。以上だ。シンジと俺は“ハルノ”の記憶を移植する」
「――おいっ! 待てよ。誰が”ハルノ”を殺せるんだよ」
レフトは優しすぎるんだ。その眼が輝いてるのを見て、ライトの瞳も潤んだ。
視界が変に霞む。光が乱反射するのがうっとうしい。
「俺に決まってんだろ。俺以外の奴がアイツの命を奪ってみろ。そいつの形がなくなるまで俺がぶっ殺す………………。…………なぁ、レフトぉ、分かってくれよ」
ライトはそういうと席から立ち上がった。
「俺もいくっ! まて。動けよこの義足。なんでお前が俺の邪魔をする」
レフトが席を立とうとしても、右足はその膂力を動かさなかった。重厚な右足がガラクタとなってもレフトは這いつくばってまで、ライトを止めようとしてくれた。
「だれかはしらねぇけど、………………ありがとな。義足」
だからこそ、“義足のおかげ”でライトはレフトを殴らなくて済んだ。
◇◆◇◆
校門ではもうすでに“ハルノ”が待っていた。
「まさか、今日、いきなり決まって殺されるとは思ってなかったよ」
「そりゃそうだ、さっさとしないと敵に感づかれるからな。お前が姿を現した時点でこうなるって分かってたんだろ」
「――…ぐっ…………ライトはさぁ、…………泣かないの?」
「――お前が死んでから、いっぱい泣く」
「それを慰めるの私なんだよ。これからは本当の意味でライトの“左腕”として生きてくんだね」
「しばらくの辛抱だっ…………。お前の身体も必ず掴み取ってみせるから」
「最後のキスしよっかぁ」
「…………だからさぁ、…………最後ぉ……じゃねぇ……って……いってん……だぁ」
キスをした。
――熱く焦げるような
――脳まで麻痺して溶けるような
――本心を込めた“本物”のキスだった。
これは決して“偽物”じゃない。
“偽物”の記憶にはならない。
ライトはハルノの後頭部に左手を回した。
キスをしたまま、“ハルノ”を左義手で掴む。
――【マイグレーション】
そのままハルノの脳は焦げ、ハルノの身体から力は抜けた。
“ハルノ”は左手へと移ったのだ。
ハルノの遺体を学外に持ち出せば、消えてしまう。だから、その場でそれからしばらくはライトはハルノを抱き続けた。
『ライトもレフトもズルいよ。僕だって泣きたいに決まってる』
“シンジ”もスッと頬を濡らした。
そこから“偽物”派閥がチーム“本物”の“顔”を見ることは無かった。
『あなた方の“偽物”派閥に入れてもらえませんか? 私は“サクラギ=ハルノ”と言います』
“シンジ”を除いてライト達は“不登校”となった。
昨日より今日が寒くなる一日の繰り返し。冬の兆しを感じる頃、どんなイベントを待ち遠しいでしょうか?
はやく、春よ来てくれっ(T_T)
寒さに弱いちゅーぼー。でした(^^ゞ
次回は2017/11/16零時だったかな?
RIN様にバトンを!




