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The GUN  作者: 中井
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どちらが悪かわからない

隠れた才能が発見された。

俺は生まれついての暗殺者とほとんど変わらない。


そのことについては

「嫌だ」とか「怖い」とか言った感情はない。

むしろこの能力は素晴らしいとも感じる。


もうすぐ作戦が始まる、敵をどれほどぶち殺せるか楽しみだ。










敵の強襲から3日、俺たちは作戦のために輸送機に乗っている。

空挺作戦だ。

基地には少数の防衛隊を組織して配置してある。

それ以外は全員来ている。


戦車も連れて来て機関銃もエグいほど持って来た。


また戦闘前なのに皆んな楽しんでいる。

桜木大尉に至ってはAVを鼻の下を伸ばしながら見ている。


今にも自粛が始まりそうだ。

勘弁してくれよ、あと5分で投下地点だぞ。

おかしい

絶対にここの人達はおかしい。


頭のネジが緩んでいるレベルではない。

そもそもネジが全部吹き飛んでいる。



そういえば迎撃に成功した点で俺は少尉に昇進した。

そのため今回の作戦では小隊を率いることが出来る。

俺は司令塔を攻め落とす。

皆殺しにしてもいいと言われた。


楽しみで仕方ない。


サイレンが鳴った。

投下地点に到着した。

輸送機のハッチが開く。


「投下用意!」


パラシュートの最終確認。

またサイレンが鳴った。


「降下!降下!降下!」


機長の声が響く。

すると一斉に隊員が輸送機から飛び降りた。

バタバタと音を立ててパラシュートが開く。


もうすぐ基地に着く。

虐殺の嵐が始まる。







敵の攻撃を食らいつつほとんどが無事に着地、反撃に移っている。


桜木小隊の支援を受けながら俺の小隊が研究所に侵入した。


敵が反撃してくるが、それを受け付けずに銃弾を打ち込んでいく。


また卑猥な言葉を叫びながら敵を殺していく。


この時点ではどちらが悪でどちらが正義かわからない。

ハンブラビ帝国の人間は生きた目をしているが、していることが非人道的だ。

俺たちは目が死んでいて敵を殺すのを楽しんでいるが、第三者から見れば世界の秩序を守っているように見えるはずだ。


ズドンッ


また敵が死んだ。


すでに外の銃声は鳴り止んでいる。

あの感じなら全滅だろう。


無線を聞く限りは五体満足な死体がそもそもないらしい。

やっぱりどちらが悪か正義かわからない。





もう何人も殺した。

もうすぐ司令塔に到着する。


階段の窓から外の広場を見たら桜木大尉が敵兵や研究関係者を広場に集めている。

撫で斬り(公開処刑)の始まりだな。


「俺たちも早く任務を終わらせよう。」

そう言って司令塔の司令室に侵入した。

すでに隊長の狙撃でガラス越しに弾丸を撃ちこまれ死んだ敵兵が何人も倒れ込んでいた。


しかし1人だけ立っていた。

男でスーツを着ていて、キツネのような顔をしている。

ここの司令官だろう。

「おい、ドグサレ野郎、ここの責任者だな?

悪いが隊長から皆殺しにしろと言われたんだ。

俺の戦果としてここで死ねや。」


威圧の意を込めて強めに言ったが動じない。

それどころか笑い始めた。


「何笑ってやがる、手前の顔面をワッフルみたいにボコボコにするのは容易いことなんだぜ?」

「君にいい事を教えてやろう、暴言は軽めに言いたまえ。強い言葉を使うと吠えているように見える。」


銃を両手に持った軍人を目の前にして余裕をぶっこいている。

「自己紹介をさせていただきます。」

いきなり自己紹介を始めた。

殺してもいいがここはシナリオ的に書いておく方がいいだろう。

「私はとう研究所の責任者、ハンブラビ帝国軍人のシルビスです。」


紳士的だな。

俺も自己紹介したほうがいいのか。

嫌だ、しない。

どうせ殺す人間に名前を教えてどうなる。


俺は人でなしだ。

いきなり弾丸を撃ち込んだ。


ズドンッ


しかしそいつは倒れない。

寧ろ当たっていない。


「私とやる気ですか?」


この気取った態度は本当に嫌いだ。


「お前を殺さずに誰を殺すか、とっとと首だけ置いてけ。」


「私は…」

ガガガガガガガッ

シルビスが話そうとした瞬間に小隊に合図をした。

一斉に小隊全員の5.56ミリ弾がシルビスを襲う。

「脳みそでもぶちまけておっ死ねや。」


今度は完全に死んだと思った。

5.56ミリ弾を数百発も喰らって無事でいる人間はいない。

しかしどうだ、まだ平然とした顔で立っている。


当たっていない。


「なるほど、手前は自分までもを実験台にしたわけだ。」


めぐみの言っていた「薬」を自分で投与したのだ。


この世界にはキチガイしかいないのか。


通常兵の射撃では避けられる。

この化け物を殺すためには高い機動力で翻弄しつつ弾丸を打ち込む必要がある。


つまり他の兵の射撃が互いに当たってもおかしくない。


兵は一旦下げて俺だけ戦う。


それで死んでもその程度の男だったということ。


俺みたいな屑が死んでも悲しむ人間なんていない。

いない。

いるはずもない。


それなら、思い切って特攻できる。


「おい、クソ野郎。その役人気取りのツラに俺の45口径をプレゼントしてやる。」


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