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「魔法少女の衣装って可愛いよね」

作者: 白毬りりま

いい歳をした男女が魔法少女のコスチュームについて話し合ってみた.

「魔法少女の衣装って可愛いよね」

「唐突になんだよ」

「いや、可愛いか可愛くないかって言ったら可愛くない?」

「世間一般的には可愛いんじゃない?」

「ですよねー」

「でもあんなふりふりした格好の人間日常生活で見たことない」

「だよね。白と青は兎も角として、ピンクだったり黄色だったり紫だったり赤だったり、絶対上空とかで闘っててもすぐ目撃されると思うのに、何で噂になったりしないんだろ」

「街中でロリータと会うのと同じ感覚じゃないか? 派手だなぁって思っても、それきりだろ」

「確かに。擦れ違っても10分くらいしたらそんな子もいたなーくらいにしか思わないね」

「戦闘モノにありがちな緑とか黒とか金とか銀とかは少数だよな」

「白いフリルが合わせ難いとか?」

「黒ロリとかあるだろ?」

「そう来たか。何でだろうね?」

「それにしても、何で顔バレしないのかが俺にはわからん」

「あー……最近の子は髪の色が変わったり、髪の長さというか髪型が変わったり、目の色が変わったりとかあるけど、基本的に顔は変わんないもんね」

「声も変わらん。なのに昔のアニメとか、服装が変わっただけだったのに変身過程を見ないと身バレしないとかざらにあっただろ? 何で?」

「コスプレと一緒じゃない? 見慣れてる人でも、服装とか雰囲気とかがガラって変わったらわからないでしょ? あんただって、学校の外で初めて会ったとき、すぐには私に気付かなかったじゃない」

「あー……あー、ね」

「にしても、魔法少女のあのコスチュームって、一体何処から出て来てるんだろ……?」

「知るか」

「…………」

「………………」

「……はっ、服って燃えるよね?」

「燃えるだろう、有機物だし。というか、まだ続くのかその話」

「有機物と言えば炭素と酸素、あと水素! 炭素の酸化反応の逆が起れば、服ってできるんじゃない!?」

「……はい?」

「だって、空気中には窒素8割弱酸素2割二酸化炭素含むその他微々なんだよ!? もし魔法少女の変身過程に空気中の二酸化炭素とか水蒸気から炭素水素酸素の原子を取り出して服になるように結合できる反応方式があったらとしたら!? 変身メイクアップの台詞を叫ぶだけでお手軽魔法少女コスの完成だよ!?」

「全然お手軽じゃねーよ。実際リアルでそんなことができたら表彰ものだ」

「ですよねー」

「というか、魔法で出しているんじゃないか?」

「世の中の質量保存の法則はどうなるの?」

「予め作っておいて、瞬間移動か何かで服を取り寄せているとか」

「なるほど……私が初めて観た魔法少女は毎回お友達がお洋服を作ってくる奴だったんだけど、じゃあ魔法少女は自分で服を作っているのかな?」

「お供の妖精とか使い魔が作ったやつが、魔法のアイテムで呼び出されているんじゃないか? 戦闘ヒロインとか第1話で初めて変身した時に自分の格好に驚いてたりするじゃん」

「使い魔マメだね。ミシン高いのに。私だったらあんなにギャザー作ったり、リボン縫い付けたり、場合に寄っちゃあティアラ作ったりとか無理。まず型紙作りとか無理」

「不器用だしな。数学も2と3を行き来してたし」

「煩い」

「となると……靴はどうする? 服は多少サイズが合ってなくても着れるけど、靴はそうはいかなくない?」

「きっとインソール入れてるんだよ。私も合わない靴とか100均で買ってきて入れてるし」

「あの先の尖ったヒールとか?」

「そうそう。靴って合わないと外反母趾とかになっちゃうんだよね」

「女って大変だな……」

「大変なんだよ。毎日お化粧しないといけないし、パンプス履いて立ちっぱなし歩きっぱなしもしょっちゅうだし」

「……オツカレサマデス」

「うむ、大いに労わるがいいよ」

「労わってるじゃないか」

「もっと労わってよー!」

「お前以上の労力を、魔法少女たちは強いられている」

「魔法少女には魔法があるじゃん! 私のスーツとは違って、きっとあのコスチュームにも何かしらの機能とかあるんだよ!」

「たとえば?」

「お約束、絶対に破けない!」

「あれ絶対服の繊維に金属とか混ざっているよな。じゃないと吹っ飛んだりした時に破けないとか可笑しいだろ」

「水に濡れても透けたりしないしね。画面の中の無傷な白色ソックスを見た私は、魔法で攻撃されても破けないストッキングが現実で開発されることを何度願ったことか……!」

「開ける度に伝線して捨ててるからか?」

「だってあれ、ちょっと引っ掛かっただけで穴開くんだよ!? ちょぅーっと開いてるけど大丈夫かなと思って履いてたやつ見たあんたがないわーって言ったから泣く泣く捨ててるんだから!」

「もっと気を付けて日常を送れや」

「生脚出しちゃ駄目な風潮に文句を言いたい! そもそも日本人は女のひとに厳し過ぎるんだよ!」

「さっきの化粧とかヒールとかストッキングとか?」

「化粧もパンプスもストッキングも馬鹿にならないんだから! 魔法少女の変身みたいに、毎回毎回1週間で新品同様に服が修復されることはないし、すっぴん風ナチュラルメイクとかアホみたいに手間かかるし、ヒールで空高くジャンプするとか無理だからね!?」

「お、おおぅ……」

「髪だって肩甲骨越えたら手入れが大変だから! 枝毛切れ毛うねり毛脱色乾燥etc.! 魔法少女並の若さがあっても、1日洗わないだけで埃と油分でぎとってなる!」

「…………」

「化粧品だってそうだよ! メイクブラシだって、本当は毎日綺麗にするのが理想なんだから!」

「え、そうなの? 使ってそのままじゃないの?」

「じゃないの! 顔の雑菌とかがメイクブラシに付いちゃうから、菌が繁殖しないように1週間に1度はシャンプーするのが理想なの! ニキビ肌荒れの元になっちゃうから! リップとか口紅だって、本当は直付けしたら理想使用期限半年もないんだよ!? 私も大学生になって化粧するまで知らなかったけど!」

「……でも魔法少女とか、変身アイテムに化粧品とかあったりするけど、洗ったりするのみたことない。1年くらい、ずっと同じの使ってるのに……小中学生とかだから?」

「…………」

「………………」

「……うん、それはまた別の話にしようか。哀しくなる」

「……そうだな。切りがなくなって来たし」

「じゃ、おやすみー」

「おやすみ」




おやすみなさい.

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