仕事と私とどっちが大事なの?!
トゥルルルル。
電話が鳴り、恋人からの着信を告げる。
「もしもし」
『俺だけど。ごめん。明日のデート無理になった』
「また?!」
翌日のデートを楽しみにしていた女は、非難の声を上げた。
「これで何度目?! 明日は私の誕生日なのよ!?」
『……仕方ないだろ。この時期忙しいんだから』
「私の誕生日ぐらい休みを取ってよ!」
『だから、無理だって』
「私と仕事どっちが大事なの?!」
『……じゃあ、お前、俺が無職になって、婚約指輪も結婚指輪も無し・挙式も披露宴も無し・新婚旅行も無しになって、生活費は全額お前持ちになっても、愛してくれるの?』
素直に寂しい・悲しいと言えずに攻撃的にそう怒鳴った女の言葉を、男は素直に二択と受け取り、冷めた声音で質問に質問を返した。
「……そんな言い方ないでしょう!? もう良い! 別れる!」
女は、欲しい言葉を言ってくれなかった男に別れをチラつかせて、今度こそ望む言葉を言って貰おうとした。
『解った。じゃあな』
しかし、あっさりと別れを受けれた男は、通話を切った。
「え? ちょっと待って! ……何よ! もう!」
女は友達に電話をかけ、振られたと泣き付いた。