灰色と三色の希望(バンド)
【プロローグ】
「私……、何のために生きてるんだろう」
私は家の暗い自室でそんなことを呟く。
私の名前は"青山華那"。
楓川高校に通う……いや、つい3週間前まで通っていた高校1年生だ。
「……テレビでも見よう」
私はそう呟いてテレビのリモコンのボタンを押す。
そして映された映像を見て、私は無意識に、
「……バンドか」
音楽番組を見るのなんていつ振りだろう。ましてや、バンドの演奏を聴くなんて物心ついてから数える程しか聴いていない。
「……別に感動することもないし、聴く必要な——」
私は今まで、一度もバンドの演奏で心が動かされることがなかった——。
——この時の演奏を除いては。
【Ep.1 思いとは裏腹に】
次の日。
「……!まぁ!華那、学校へ行くの!?」
朝早くに支度をして靴を履こうしていた私に、お母さんはそう驚きながら言う。
「うん」
「……急にどうして?」
急な私の心変わりに、お母さんは疑問を抱いているようだ。
「……それは内緒。」
私はそうお母さんに言う。
この秘密はまだ、お母さんやお父さんには伝えられない。
実は。
私は親に内緒で、ギターの練習を始めた。
あの日、あの時のバンドの演奏で私は。
バンドでお金を稼ぎたいと思ったのだ!
……なんてのは冗談で。
私のバンドの演奏で世界中の人々に笑顔に、演奏の音色で人の心を動かし、前を向いてポジティブになってもらえるような、そんなバンドを作りたいと思ったのだ。
……まぁ、その肝心のバンドメンバーが居ない。だから私は——、
「……まぁ、別に無理に話す必要はないわ。でも、急に学校へ行くだなんて……」
お母さんが優しくてよかった、そう思っていた私だけれど……。
「……明日隕石降るんじゃないかしら」
……私が学校に行くことは最後まで信じていなかったようだ。
「ちょ、流石にそれはお母さん酷くない!?」
まぁ、3週間も行ってないからそりゃそう思うのも無理はない。
「だって〜急すぎるから……。」
「……んもう、行ってきます!」
——バンドメンバーを集めるため、学校でメンバー探しを始めることにした。
そしてそれから2週間——。
——全然見つからない!!
いや、正確に言うと……元から私には友達という友達がいない。
学校を休む日数の方が多い私に、というか元から影が薄い私に、話しかけてくれる人など居なかった。
でも、私にも知り合い(授業のディベートなどで少しだけ話し合ったりした人)ならいる!!
その人のもとへ近づいて声をかけてみた私だったが……、
「……あ、あの……。」
「……?ん?誰だっけ?ごめんw名前忘れちゃった」
「あっ……いやなんでもないです……」
いや、人と話すのってこんなに怖かったっけ!?
(……また明日にしようっと……。)
……でそんなこんなしていたらもう2週間経っていたと。
そして今日も諦めて、同じ帰り道の生徒達に会わないよう、出来るだけ早めに帰ろうとした私だったが……。
私はふと、職員室の近くで若い男の先生と何か先生に頼み事をしている3人の女子達を見かける。
「お願いです!「バンド部」の活動を部活として承認してくれませんか!?」
黒くて綺羅びやかな長髪の女子がそう言う。
「そんなこと言われてもなぁ……」
若い男の先生は困った表情を浮かべている。
「そこをなんとか……!」
黄緑色でミディアムボブくらいの長さの髪で、きゅるんとした可愛らしい目をしているもう一人の女子が言う。
「……。」
紫髪のショートボブの子は何も言わないが、必死に訴えかけるような目で先生を見つめる。
そしてその女子達3人は息を合わせ、
「「「お願いします!先生!」」」
と、言うが……、
「うーん……、人数が少なすぎるんだよな……。」
「……せめて、あと「1人」いれば……。」
あと1人。
「あと1人かぁ……、バンドメンバーなんて、そう簡単に見つかんないよ……。」
黒色の長髪の子が辛そうに呟く。
私が入れば、バンド部は部活動として始動出来るのかもしれない。
でも——、
私なんかでいいのだろうか。
1ヶ月程しかギターを触っていない私なんかが、あの3人の輪の中へ——。
——私は、まだ……。
……私は後ずさりし、見つからないよう、あの人達を避けて学校を出た——。
——少し前。
私、"黒乃栖芽"は、つい今先生にバンド部の部活動を承認してほしいと懇願していた。が、しかし……。
「……せめて、あと1人いれば……。」
あと「1人」。
言葉では簡単に思えるが……、バンドメンバーの"1人"は、そう簡単なものでは無い。
「あと1人かぁ……、バンドメンバーなんて、そう簡単に見つかんないよ……。」
そんなことを呟いていた私だが……、
陰で私たちを見ていた、とある1人の女子に私は気づく。
(あの子……、私たちをずっと見てたなぁ……、どうしたんだろう……?)
(……もしかして。)
……私たちのバンドに、「入りたい」のかな?
……いや、私の気にしすぎか——。
「ねぇ……ねぇ、どうしたの?栖芽?」
私と同じバンドのメンバーであり、黄緑色のミディアムボブの髪をしている女子、"平河亜緑梨"が心配そうに私に訊ねてくる。
また、同じバンドメンバーで紫髪でショートボブヘアーの"天野紫苑"も心配そうな目をして私を見ている。
「……?あっ、いやなんでもないよ。」
「そう……?ならいいけど……。」
まぁ、また見かけたら、声掛けてみようかな。
そんなことを思いながら、私はみんなとさっきの先生へのお願いの続きをすることにした——。
——一方、その頃。青山はというと……、
(やらかしちゃったぁぁぁ〜!)
帰宅した私は自分の部屋に籠り、心の中で絶望していた。
ここに来て、私のコミュ障が仇となるとは……。
いや、元から分かってたことなんだけれども——。
『……せめて、あと『1人』いれば……。』
——あの時、私は自分の実力に自信がないと勝手に悟り、あの人達に訊くこともなく諦めた。
自分に自信がない。
昔から私はそうだった——。
【Ep.2 私の本当の想いは……】
次の日。
私はバンドを組むため、学校の昼休みの時間であのカラフルな髪色をした女子3人組に声をかけ——
——れなかった!!
(何でこんなにも私はコミュ障なんだぁぁぁ〜!!)
私は心の中で自分の弱さを嘆く。
もう、放課後。
学校の校舎に人の影は見当たらない。
……「バンドがしたい」って、自分が初めて輝いた気持ちになれた目標なのに、せっかく、バンドが組めるチャンスが巡ってきたのに……。
私は……また……、「諦める」の……?
「待って!!」
私はその声のした、後ろを振り向く。
「……!?」
その声の正体は。
昨日職員室の近くで見た、女子達の1人である、黒色の綺羅びやかな長髪の子であった。
「ねぇ、君さ。」
黒色の長髪の子が私に言う。
「……一緒にバンドしない?」
これが、私のバンド人生の「分岐点」だった——。
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——7年前。
私は、普通じゃなかった。
私は、人とのコミュニケーションの仕方が分からなかった。
話し方が分からなかった。
そのせいで私は、「そのゲーム何が面白いの?」や「それってそんなに良いものなの?」などと強気な言葉でしか言うことの出来なかった私は、徐々にクラスメイトの話に入ることができなくなった。
そして独りになった私は、「色んなものに興味を持つこと」をやめた。
そして小学校を卒業し、誰とも最低限しか関わることのなかった空白の3年間である中学を卒業し、流れで一応高校は行くことにした私だったが、
楓川高校に入学し1週間、私はとあることに気づいてしまう。
きっと、気づきたくなくて今まで考えて来なかっただけかもしれない、いや、そうだろう。
私が生きてる意味ってあるのかな——。
幽霊のように誰からも相手されなかった、空白の中学生生活。
結局、高校でも変わらなかった。無口の私に近寄ってくれる人は高校の入学式の時だけだった。
いつの間にか、私は不登校気味になっていた。
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——でも。
テレビで観た、あのバンドの演奏に心動かされて。
私はもう一度、私を「受け入れる」ことにした。
「……私で良ければ、こちらこそお願いします……!」
この選択が「正解」か「間違い」かなんて誰にも分からない。
過去は変えられない。
でも。
未来は変えようと思えば変えられる。
私はこの選択が「間違い」じゃなかったと。
そう、思えるようにしてみせる。
空白だった私の学生生活に、「バンド」という一つの思い出を——。
——私たちのバンドの物語は、ここから始まる。
【To be continued?】
どうも皆さんお久しぶりです!Matchaです!
本当投稿遅れてすみません……!
今回は初の短編!「バンド」がテーマということですが……。
……全く演奏シーンがないというね笑
本作品の続きが見たい!という人が多ければ、続きも書こうと思います!
それではまた!次の作品で会いましょう!またね!




