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プロローグ
ユリの花に囲まれて眠ると、安らかに死ねるらしい。そんな噂を思い出したのは、塾からの帰り道、日も暮れたというのに営業を続ける花屋を自転車で横切ったときだ。歩道にまではみ出した商品棚の隅に咲いた、一輪のテッポウユリ。その凜とした美しさに、ふとペダルを漕ぐ足をとめる。自転車を降り、アスファルトに座り込むと、その花をじっと見る。透明に近いほど澄んだ花弁は、希死念慮を湛えように、儚く、幻想的に、輝いていた。
ユリの花に囲まれて眠ると、安らかに死ねるらしい。そんな噂を思い出したのは、塾からの帰り道、日も暮れたというのに営業を続ける花屋を自転車で横切ったときだ。歩道にまではみ出した商品棚の隅に咲いた、一輪のテッポウユリ。その凜とした美しさに、ふとペダルを漕ぐ足をとめる。自転車を降り、アスファルトに座り込むと、その花をじっと見る。透明に近いほど澄んだ花弁は、希死念慮を湛えように、儚く、幻想的に、輝いていた。