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転生悪役令嬢の生存作戦  作者: 芹屋碧
2章 転生悪役令嬢は仲間と備える【3学年】
21/43

21…お誘い











 4人の魔神封印の為の連携の訓練は想定以上に目標に到達してしまった為、3日かけて魔獣の数を増やせるだけ増やしていった。

 元々仲の良い4人だったので呼吸も合わせやすく、サポートも互いにしやすかったため、数が増えても困惑することは特になかった。

 魔獣7体の封印も4人であれば15分程で全て封印してしまう驚異的な速さであった。

 途中バトネ公爵が状況把握に訓練場を訪れたが、あまりの素早い流れるような連携に感嘆し、満足気に帰っていったほどだ。


 公爵のお墨付きまでもらってしまったので、セシリアたちは5日目は休みを取ることに決めた。


 「――ねぇねぇ!明日の休暇は午前中は4人で湖の散策に行かない?」


 アイは夕食の最中に、休暇と聞いて嬉しそうに明日のプランを考え始めて皆に提案を始めていた。


 「――4人行動でよいの?」 


 含みのあるセシリアの言葉にアイはぽっと頬を染めつつも、どうやら不服なようだ。


 「もぉ~~…折角4人で合宿なんだよ?ランチまではみんなで過ごして、そこから自由行動でも良いんじゃない?」


 ぷんぷんしながら言葉を吐き出すアイは、午後からリュシードと2人きりになれたらそれでよいのだろう。と、セシリアは納得した。

 確かに折角4人でお泊りなので、少しでも4人の遊ぶ時間があった方が良い思い出になるのかもしれない…。



 「…私は自由行動でも皆で行動するでもどちらでも構わない。」

 

 リュシードは横に座っていたアイを愛しい人を見つめるように意見を告げていた。

 

 (――リュシードもオフはアイにデレデレね…)


 訓練中は皆真剣で隙など微塵も感じさせないが、その代わり休憩になると、すぐにアイのそばに駆け付けタオルを渡したり水分を渡したりと至れり尽くせりで、アイの面倒を見ている。

 あまりの差に最初は衝撃的だったが、もしかしたらハリアスよりもリュシードの方がスパダリなのだろう。

 夕食中の今も、甲斐甲斐しくアイの食事の補助をしているリュシードは嬉しそうで、そんな2人をセシリアは微笑ましく見つめるのだった。


 セシリアとハリアスは、どちらかというと休憩時間は自身の課題点の見直しなどに使う。訓練日の1日は、食事と就寝前以外は基本やるべきことに徹していた。

 元々2人は競い合うのが好きだったこともあり、それが心地よい関係でもあったのだが、流石にアイとリュシードのラブラブぶりを見せつけられると、自分たちがかなりあっさりとした付き合いなのかもしれないと、セシリアは客観的に見てしまうのだった。


 「私は休暇ならリアと2人で甘い時間過ごしたいけど…リアが4人で過ごしたいなら合わせるよ?」


 悶々といつの間にかセシリアは2組のカップルの違いを考え込んでいた。しかし、突然の隣に座っていたハリアスの甘い誘惑の横槍に急に現実に引き戻される。


 「――リアはどうしたい?」


 「――私は…ランチまで4人でも良いかな…と…」


 考え事をしていた為、自分の顔のすぐそばでハリアスが話しかけていることに気づいていなかったセシリアは、びくっと肩を震わせ頬を染めると、慌ててアイに同調したのだった。

 ハリアスは近づける顔を放すことなく耳元で「ランチの後は一緒に居ようね?」と、甘い声音で囁いてくる。


 (―――っいきなり甘いっ!!…まだ食事中だから…)


 耳元から顔を放された後も彼の顔を見れずに食事を続けるセシリアを、3人は微笑ましく見つめるのだった。


 「――それじゃ明日は午前中は湖散策だから忘れないでね!!」


 食後、嬉しそうに告げたアイはリュシードと共に夜の庭園の散歩へと出かけて行った。



 「リアはこの後どうする?良ければ私たちも夜の湖に行ってみないかい?」

 

 アイとリュシードを見送ると、ハリアスもセシリアを散歩に誘ってくれた。

 きっと王太子としてやらなければならない持ち込んだ業務もあるはずなのに、セシリアを気遣ってくれているのではないだろうか?と、少し不安になった。


 「私は一緒に散歩できるのは嬉しいですが、ハリーはやらなきゃならないことも多いんじゃないんですか?大丈夫ですか?」


 「…それを言われてしまうと苦しいけれど、息抜きも大事だろう?30分位付き合ってくれないかな?」


 「――息抜き…確かに大事ですね♡ハリーが良ければ少し行きましょう♪」


 やはりハリアスはお泊りにきていても持ち込みの仕事がたくさん溜まっているようだ。

 毎日毎日馬車に乗って側近の方たちがハリーに書類を届けに来てくれていたのはわかっていたから、そこを気づかないふりすることはセシリアにはできなかった。

 それでも少しでも一緒に過ごせることが嬉しくてつい顔を綻ばせてしまうのだ。


 ――ふふふ。と、微笑むセシリアの手に指を絡ませると、ハリアスはゆっくりと湖へと歩みを進めるのだった。







 














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