10:想定外
盆地を見下ろせる稜線から少し下がった辺り。
ユーヒチと機械人形達は二つの穴を掘り、藪などを使って偽装し、監視ポイントを作る。緑に塗れていたと思ったら、今度は狭い穴の中で泥に塗れる。
……市街戦なら、空き家を利用できるのにな。
ふと首元にぞわぞわとした感触を覚え、手を伸ばしてみたら、20センチはありそうなムカデが這っていた。体節と無数に生えた足をギチギチと蠢かせている。
「……」
ユーヒチはしばしムカデを見つめた後、タコツボの外へポイッと捨てた。
ウォーロイド達の半分を休眠させ、半分はタコツボの縁に造った監視孔から盆地を偵察/観測させている。
トシオの拠点が築かれている盆地は、ウォーロイド達の捜索追跡系の範囲外であるため、大きなバックパックに詰めてきた長距離観測機材を据え、ウォーロイドとユーヒチの多機能フルフェイスヘルメットに有線接続してあった。
HMD上に表示されている盆地の姿は牧歌的だ。
不規則に並ぶ水田と畑。田畑の間をくねくねと走る水路。田園の中にぽつぽつと点在する小さな集落。
ただし、点在する各集落はカタストロフィ以後に造られたものらしく、遠目にも貧しそうで『退化』的だった。
暑気と湿気に備えた通気性の高そうな家屋あるいは小屋、はどれも木材と廃材で造られた簡素なもので、電気も水道も通っていないようだ。排泄物は肥溜めに集められ、発酵させて人肥にしているらしい。豚や鶏……だろう多分――を飼育しているところもあった。
見るからに貧しそうな集落。その住人達もやはり貧しそうだ。
地球系の者達が大半を占めているけれど、火星系やその他も少数ながら含まれている。
アジア人系も白人系も黒人系もその他も一様に貧相だった。頬の浮いた顔。痩せ細った体。垢に塗れた肌と脂に塗れた髪や髭。着衣は誰も彼もがボロで粗末。廃墟都市の土着コミュニティより酷い。衣料品を始めとする生活物資が絶対的に欠乏しているのだろう。
不衛生でみすぼらしい住民達は、老いも若きも男も女も粗悪な農具で畑を耕し、泥に浸かって稲の世話をしている。農機の類は一つもない。いや、牛馬のような家畜農業すら行われていない。
カタストロフィ以前の文明や技術が残滓すら残っておらず、まるで中近世の貧村のようだ。
西暦時代の21世紀頃も先進国と後進国の技術的恩恵の格差、貧農と富農の差異は凄まじいものがあった(たとえば、欧州農家は大型農機を使って一家で何十ヘクタールも耕作していたけれど、アフガンやアフリカの貧農は牛馬と自らの手で地面を引っ掻いていた)けれど、ノヴォ・アスターテの文明存続圏と、眼前の光景の格差はそれ以上だった。
たとえば、惑星再生機構の農業は完全に機械化・無人化が進められている。工場で大量生産される農作物。機械化された養殖場。穀物も農作物も家畜も遺伝子改造で最効率化や育成最適化されたものばかりだ。合成機械で量産される食材は多岐に渡り、いずれも安価で栄養学的に欠陥がない。天然食材など、もはや贅沢嗜好品扱いになっていた。
つまり、惑星再生機構における農業とは、大量生産事業か高級天然食品を手掛ける職人業。
眼前の農村とあまりにも違いすぎる。
そんな『退化』した村々を、黒い装備を着た民兵組織――トシオ・ホランド・イジューインが率いるサムライ・オブ・ブラックアーマーの武装トラックが回り、住民達の労働を監視/監督しているようだ。
旧時代的な農村に近代的な兵士がうろちょろする様は西暦時代の後進国や貧困国でよく見られたというが……
民兵達が村娘を小屋に連れていくことがあった。暇潰しで手籠めにでもしているのだろう。家族も周囲も抵抗しない。それどころか、周囲の村人達はどこか羨ましげ妬ましげな目線を送っている。
彼らの眼差しの理由はすぐに分かる。
娘を“つまみ食い”した民兵が父親らしい男へ向け、古い缶詰や粗末な服を投げ与えた。両親らしい男女が地面に投げ捨てられたそれらを受け取り、愛想笑いを浮かべながら、へこへこと何度も何度も頭を下げていた。
公平的社会正義と人類愛的道徳の存在を信じる人間だったなら、とても正視しかねる光景だろう。
しかし、村を監視するユーヒチは適応調整を抜きにしても、何も感じず何も思わない。空から見ているトリシャ達も特別な感想は抱いてない。
なぜなら、程度の差はあれど、文明復興圏や喪失圏において軍閥や紐付き民兵組織が支配する土地では、実にありがちな光景だから。ありがち過ぎて見慣れてしまったから。
紐付きの民兵組織や軍閥は物資が提供されるため、支配地域を富ませる必要がない。彼らにとって民衆とは弾除けの頭数か、物資の代価として資源やらなんやらを搔き集める労働力であり、必要に応じて新たに調達する奴隷だった。
そして、この悲惨で憐れな光景が、『無惨な環境に生きる同胞を救済し、この星の隅々まで文明を復活させる』という列強勢力による復興圏や喪失圏を征服する大義名分になっている。
陰鬱な崩壊世界の現実に、ユーヒチは不感症的退屈さを覚えた。監視装置の向きを動かし、盆地の要衝に築かれた民兵組織の拠点を窺う。
カタストロフィ以前から存在した何かの施設を流用したようだ。
古びてはいるけれど、スーパーコンクリート製の建物を中心に、車両整備場や兵舎、倉庫などが建てられていた。大型軍用トラックの背に積まれた防空システムや対電子戦システムは稼働しているようだ。
敷地の外郭を都市廃材と軍用コンテナボックスで築いた防壁で囲い、防壁外には鉄条網が敷かれ、地雷が撒かれているらしい。
拠点の出入り口は正門と裏門。それぞれに警備所が据えられ、防壁の背後に見張り台がそびえている。
「警戒システムはカメラ、動体、熱、音、光、電波……索敵系はひと通り揃えてあるな。向こうの施設は……」
拠点の傍には収容所があった。
もっとも、今現在の収容所は空っぽだ。全員がエイト・ブラザーズの遺棄物回収作業に矯正従事させられているらしい。
航空偵察によると、エイト・ブラザーズの回収作業に2個小隊が派遣されているようだ。労働力として駆り出された農奴や収容所の囚人達はその倍以上だという。
トリシャ達が高高度から偵察して確認した映像と、監視ポイントから窺える光景に齟齬はない。いや、
……随分と弛緩してる。
拠点内の民兵達はおよそ規律と士気を維持した組織には見えない。支配した村々を搾取し、レイダーや土着民、スカベンジャーなんかを襲うだけの張り会いのない日々に、組織としてのメンタルが衰退しているのだろう。
「侵入前に“本丸”の内部構造を調べたいな」
ユーヒチはぽつりと呟く。と――
『目標施設、通信量増加』
特殊作戦用電子機材に繋いでいたウォーロイドが、女性的な機械音声で告げた。同時に、
『アクチュアルより1、目標施設から量子暗号通信が交わされてる』
高空に潜む空飛びシャチから官能的な美声が届く。
西暦時代、量子暗号ワンパッド方式は数学的に解読不可能と証明された。光子一粒に情報を乗せてやり取りするため、この光子を盗めば情報が届かず、覗き見れば変化してしまうため、量子暗号通信の安全性は絶対だと。
しかし、人間の悪意的創意工夫はこうした数学的絶対防御を切り崩す。
数学的、量子物理学的テクノロジーの通信防御性は宇宙文明時代のマギ・テクに破られ……マギ・テクはより高度な数学的/量子物理学的テクノロジーで破られ……
技術のイタチごっこ――軍事学や犯罪学の真理こそ不変だったというわけだ。
「通信を覗けるか?」
『……これは、ちょっと時間が掛かるかも』
トリシャの答えに、ユーヒチは目を瞬かせた。
宝石より遥かに貴重なトリプルA級ウィザードであるトリシャ・パティルが通信傍受に時間が掛かる? 軍用攻性防壁を鼻歌交じりに突破する魔女がてこずる暗号通信?
『――っ!』
魔女が驚きに息を飲む音が聞こえ、ユーヒチは困惑を覚える。
「どうした?」
『その盆地周辺から別口の通信が飛んでるわ。これは……皇国系のグリーン3暗号通信ね』
皇国は複数の暗号を利用していて、グリーン3暗号通信は皇国陸軍。それも特殊部隊系が利用していた。これまで上空から監視していたオルキナスⅣの強力な索敵系に引っ掛からなかったとなれば、かなり高度な偽装隠密装備を備えた精鋭ということになる。
意味が分からない。自分達の紐付き民兵組織の許へ、正規軍特殊部隊の精鋭を送り込んで監視してる? なんで?
「こっちの通信は掴まれてないか?」
トリシャはユーヒチの憂慮を無視した。電情戦に集中しているらしい。我らが魔女がそこまで真剣になっている、という状況もまたユーヒチの憂慮を強めた。
『通信が途絶えた……何やら面倒な状況みたいね。探ってみるわ』
「了解。何か分かったら教えてくれ」
通信を切り、ユーヒチはヘルメットの中で渋面を作った。
――非常に面倒な事態が起きそうな時に来てしまった。ユーヒチの脳裏にそんな直感的想像が生じていた。
そして、想像の是非はこの日の日暮れ時に分かった。
○
太陽と月の動きで昼夜が巡る地球と違い、疑似陽光の照射の有無で昼夜が巡るノヴォ・アスターテの夕暮れ時は趣がまったく異なる。
蠢く碧の空から明るさが失われて宇宙の闇色に染まっていき、ノヴォ・アスターテから観測可能な雲状光帯がきらきらと輝き始める。
この天体現象を幻想的と捉えるか、システムチックで無粋と見做すかは、貴方の感性次第だろう。
ともかく、ララーリング半島に黄昏時が訪れた――ところで。
『目標拠点から量子通信が発生したわ』
トリシャの報告とほぼ同時に、観測器の索敵系が仕事をした。
『4時方向に不可聴域の高出力モーター音を探知。高度500以下。約400ノット。所属不明航空機が接近中』
ユーヒチは観測器に接続し、望遠を4時方向へ向けた。
黄昏の空、民兵組織SOBの拠点へ向かう鈍色の機影が現れた。
対空索敵系を能う限り避けるためか、密林の樹冠に機体の腹を擦りつけるような低空飛行してくる。
重力制御機関と推進機関を併用した飛翔艇ではなく、反応融合電池の大電力で高出力モーターをぶん回す双発プロペラ推進式可変翼の垂直離発着(VTOL)型汎用輸送機。
電波と熱を吸収する素材と塗膜に、モーターの駆動音やプロペラと機体の風切り音を相対音波発生器で無理やり不可聴域に捻じ曲げるという、無茶苦茶な音響系ステルスを装備しているそいつは――
「惑星社会主義連邦機……?」
ユーヒチは微かに眉をひそめつつ観測機材で録画を始め、同時に短距離超光速通信でトリシャに連絡をつける。
「そっちでも観測してるか?」
『ええ。光学系望遠でね。相当にステルス性能を上げた改造機よ。私達の位置からでは熱探と電波、音を掴めない』
通信機からトリシャの官能的な美声が返ってくる。
「ユニオンがこの辺りで活動してるという情報はなかったが……」
『ユニオンのVTOL汎用輸送機は表裏に渡ってあちこちに出回っているから、機種からだけでは所属が分からない。そちらから国籍マークや何か分からない?』
「ネガティブ」ユーヒチは否定し「翼にも胴体にも所属を示すマークやナンバーはない」
『所属不明機、目標拠点の中央広場上空で滞空姿勢へ移行。着陸を開始』
ウォーロイドが女性的機械音声で報告を寄越した直後、トリシャの険しい声が届く。
『グリーン3の暗号通信が再開されたわ。やはりその付近で監視してるようね。場所が特定できない。相当な手練れが御守りについてるわ』
電情戦のスペシャリスト同伴の正規軍特殊部隊? そりゃもう最精鋭だろう。ひょっとしたら皇国陸軍特殊作戦群辺りかもしれない。
勘弁してほしい。そんなの、民間軍事会社のヘータイが相手に出来る範疇じゃない。
「この状況は本部に報告してるのか?」
『もちろん。昼頃に通信を確認した時点で報告済みよ。その上で任務に変更無しよ』
意味、分かるわよね? と言外に問うトリシャ。
分かるとも。本部はこのヤバい臭いがプンプンする状況に『面白くなってきた』とほくそ笑み、『やっぱりここには何かあるかもしれない』と舌なめずりし、『予定通り、ウチの猟犬を突っ込ませてみよう。どうなるかな』とワクワクしているに違いなかった。
ユーヒチが無機質な嘆息を吐いた時。
中央広場に降り立ったプロペラ推進双発機が超高出力モーターを完全に制止させた。得物を手にした民兵達が双発機を遠巻きに取り囲む中、おそらく組織の名の由来となった黒い強化外骨格達が現れた。
全長3メートル強に達する宇宙技術文明時代の甲冑はホーテン製タイプ5、戦国時代の当世具足を思わせる容貌に、強化外骨格の平均的な大口径機関銃を両手で抱え、単分子コーティングブレードを腰に佩いている。
ちなみに、皇国軍の強化外骨格は装甲と操縦性を犠牲に、運動性へ全振りしており、噂では『バク転』が可能とかなんとか。そんなことが出来る強化外骨格は皇国製以外に存在しない。
挙動から推測する限り、整備状態は万全だな。
ユーヒチが淡白に鎧武者染みた強化外骨格達を観察していると、双発機の乗降用ハッチが開いた。
「降りてくるものを全て個別撮影し、アクチュアルへ送信しろ」
『了解』
ウォーロイドの返事を聞きつつ、ユーヒチはじっと双発機から降りてくる者達を観察する。
タクティカルギアを着こんだウォーロイド二体が先行して降り立った。
金魚鉢頭――センサードームに、メカメカしい直線と平面で構築された細身のボディ。手には箱型弾倉を付けた軽機関銃。量産性に特化したユニオン製ウォーロイドだ。
続いて、ライトブラウンの高級スーツとハットで身を包んだ男性が降り立つ。
ひょろりとした長身痩躯。ハットからこぼれる長髪はルビーのように真紅で、肌は仄かに青い。血の気が薄いのではなく、本当に青みがかった肌なのだ。そして、耳に当たる部分が角状になっており、その耳角の根元から頬に掛けて蒼い鱗が生えていた。
金星系だ。
地表温度400度。大気圧90気圧。濃硫酸の雲が広がるという金星のとんでもない環境は完全な地球化が難しく、入植人類の適応化レベルが高い。そのため、エルフっぽい火星系ともドワーフっぽい木星系とも異なる、角と鱗と青い肌が特徴的な容貌を持つに至っている。
珍しいな、とユーヒチは思う。
太陽系外縁入植惑星ノヴォ・アスターテにおけるマジョリティは地球系。次点に火星系・木星系。水星系と土星系は少数派で、金星系と月系はほとんどいない。
ちなみに地球・月・火星・水星・木星・金星・土星からなる七星連合体制が太陽系を牛耳っている。ま、宇宙世界から断絶状態のノヴォ・アスターテには関わりようがないけれども。
金星系男性に続いて小柄な少女が双発機から降りる。
年の頃は初潮を迎えたぐらいか。金髪翠眼に白肌と地球スラブ系コーカソイドで、ヘッドドレス付きのコケティッシュなメイド服を着せられており、大きな革製トランクを両手で重そうに提げ、金星系男性の後にチコチコと続く。
本当にメイドなのか、“手弁当”なのか。両方かもしれない。
最終的に金魚鉢頭のウォーロイド6体が護衛として男性とメイド少女に同伴し、SOBの強化外骨格と民兵に囲まれつつ、建物の中へと入っていった。
「1よりアクチュアル。あの金星男とメイド娘に該当は?」
『無いわ』トリシャは即答し『社のデータベースにも、惑星再生機構の情報部はもちろん、警察にもない。おそらくは武器商人か何かなのでしょうけど……メイドを連れた金星系武器商人なんて目立つ存在のデータは存在しない。完全な新興業者か、ユニオン本国からの“新顔”……いえ、ユニオンの情報部員はローティーンのメイドを連れ回したりしないわね。“そういう遊び心”はないもの』
うーむ、とトリシャは唸る。金星系男の素性が上手く想像できないらしい。
「……ひょっとして、皇国のスネークイーターは奴らが目的か?」
ユーヒチの呟きに、トリシャが同意する。
『可能性は高いわね。皇国とユニオンは不倶戴天の仇敵関係だもの。隷下の民兵組織がユニオン系武器商人と“仲良し”になることは不愉快でしょう』
君主制と貴族制を採択して強烈な階級社会の皇国と、共産主義制全体主義を採っているユニオンは、思想的に互いを『現代ノヴォ・アスターテの恥部』と罵り合い、互いに根絶すべき邪悪と見做しており、両者の戦争は独ソ戦の如き惨禍を生む。
惑星再生機構からしたら、皇国もユニオンも揃って犬のクソ以下の存在でしかないが。
と。双発機の後部ハッチが開かれ、作業用ロボット達が貨物を次々と下ろしていく。
双発機から下ろされた荷物に代わり、SOBの兵士達が倉庫から貨物を運び出してきた。
SOB側は将校らしき男が、金星系男の側はサイボーグの男が、互いの貨物箱を開けて中身の検品を始める。
双発機から持ち込まれた荷物は何かの機材や部品らしい。おそらく拠点の維持と村々の統治に必要なものだろう。一方、SOB側の貨物は想像通りだ。エイト・ブラザーズから回収された旧世代の電脳と融合反応電池。
「これは別の問題が生じたな。ユニオン製物資を扱う謎の商人が、旧世代とはいえ電脳と融合反応電池を集めてる」
ユーヒチは温度も抑揚もない声で言えば、通信機の声でトリシャが艶めかしく吐息をこぼした。
『HQに情報を回してるわ。ひょっとしたら、ターゲットが増えるかもしれないわね』
「皇国軍のスネークイーターと競合して、か」
トリシャの懸念にユーヒチは他人事のように応じた。
参ったな。
ユーヒチ・ムナカタはハイチューンドで、率いるウォーロイドも一級品の高性能機だ。惑星再生機構の大手民間軍事会社ブルーグリフォンの選抜強行偵察隊の最精鋭である。
が、正規軍特殊部隊の最精鋭と比べたら、一枚も二枚も落ちる。
「やるとすれば……皇国軍の蛇食い達がサムライ共とやり合っているところに首を突っ込んで、横から搔っ攫う。そういうシナリオしかないな」
『そうね』トリシャも異論はない『判断と方法の主導権はもぎ取るわ』
本部と余計な連中の嘴は入れさせない。と魔女が請け負う。
「頼む。無茶振りされても出来ないことはできない」
ユーヒチは頼もしい魔女へ告げ、夜の帳が急速に降りていく空を見上げた。
無事に夜明けを拝めると良いんだが。




