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74/110

100パーセント!


 新聞を見ると、30万クラウンで買った株が、1500万クラウンになっていた。

 株価が十倍になるテンバガーどころじゃない、五十倍になっているじゃないか!


「売り上げが伸びて、閉鎖した店舗を再開したんだ。さらに外国で支店を三つも出す計画が進んでいてね」


 王立銀行から資金を調達できた話が広まって、株価が高騰したそうだ。

 この株を売ればトンネルに鉄道を通す資金になるじゃないか!

 明日はポリマーの証券取引所に出かけて、株券を売ってしまうとしよう。


「どうした、セディー? ニヤニヤしているぞ」

「ちょっといいことがあったんだ」

「ならばますますお祝いをしないといけないな。セディー君、まずはシャトー・ガンダルシアを持ってきてもらおうか」

「すぐにお持ちしますよ。メアリー、マッショリーニさんとポール兄さんにワインをお願い」


 地下鉄ができればみんなびっくりするだろうなあ。

 じっさいの鉄道を見ればシンプソン伯爵もその利便性に気がつくだろう。

 そうなれば、ルボンまでの線路の延長を認めてくれるかもしれない。

 場合によっては路線延長の資金だって出してくれるかもしれないぞ。

 ああ、興奮でワクワクしてきたよ……、と思ったら幸福度が100%になっているじゃないか!


「セディーも座りなさい。一緒に食事にしよう」

「ごめん、兄さん。僕はどうしてもやらなきゃならない仕事があるんだ。悪いけど今日は付き合えない」

「おいおい、俺たちはセディーの男爵叙爵を祝うためにきたんだぞ」

「それは本当にありがたいんだけど、どうしても今やらなきゃならないんだ。理由は後日きっと教えるから。これは兄さんにとっても悪い話じゃないんだよ」


 最高の状態で、最高のぶどうを仕込んで、ポール兄さんたちに最高のワインを飲ませてあげたい。


「そうか、セディーがそこまで言うのならきちんとした理由があるのだろう。我々はここで楽しんでいるから行ってくるといい」

「ごめんね!」


 僕は兄さんたちに別れを告げてワイナリーに急いだ。


 やるべきことは二つある。

 ひとつめはワインの仕込みだ。

 幸福度100パーセントの状態でキラキラのぶどうを使ったらとんでもないワインができあがりそうだからね。

 めったに訪れないチャンスだから、やるなら今しかない。

 それが終わったら畑仕事にも手をつけたいな。

 この状態なら絶対にキラキラの作物ができるだろう。

 ぶどう畑を整備して、それから空いている農地に種まきだ。

 え……、キラキラのメロンを使った、メロンソフトクリーム……。

 いったいどれほど美味しいのだろう!

 そんなのを食べたらシャルは大喜びだろうな。

 ユージェニーにも教えてあげなきゃ。


 午後はワイナリーで仕込みに勤しみ、夕方になってからぶどう畑の世話をした。

 さて、どんなワインができるかな?

 今日はいっぱい働いたのでもうクタクタだよ。

 果報は寝て待てということわざに従って早めに寝てしまおう。


「父上、シャルはキラキラのメロンソフトクリームが楽しみで寝られないであります!」

「そうだね……僕も……楽しみ……」


 はしゃぐシャルの横で、僕はすぐに眠りに落ちた。



 翌日は早朝からポリマーに出かけ、証券取引所で株を売ってきた。

 一人ではなく、護衛ということでシャルとミオさんについてきてもらっている。

 宿泊のお客さんがいたのでウーパーには内緒で来ているのだ。

 だって、教えたら必ず一緒にきてしまうからね。

 お客さんをほったらかしにするわけにはいかないよ。

 僕は信用第一の商売をしていきたい。

 ミオさんは剣を腰に差し、油断なく左右に目を配っている。


「き、緊張します。財布の中に50万クラウン金貨が三十枚もあるなんて……」

「シャルがついているから平気でありますよ。悪者がきたらパンチで撃退するであります!」

「やりすぎはダメだよ。シャルが本気を出したら地平線の彼方まで飛んでいってしまうからね」


 大金を持つ不安と、一刻も早く鉄道を通したい気持ちが相まって、僕は自然と早足になってしまった。


 山賊があらわれることもなく、僕らはガンダルシア島まで戻ってきた。


「シャル、ミオさん、お疲れさまでした」

「はぁ、こんなに緊張したのは久しぶりです」


 ミオさんは重い荷物をようやくおろせたという顔つきになっている。


「1500万クラウンは僕も緊張したよ。大金をずっと持っているのはストレスになるからさっさと鉄道を作ってしまおう」

「シャルも鉄道とやらを見たいであります!」

「私もついていっていいですか?」


 シンプソン伯爵に駅建設の許可はとってあるので、さっそく地下鉄を作ることにした。

 オーベルジュ前の予定地で僕はステータス画面を開く。

ところが、一部の条件が解放されていないことに気がついた。

 鉄道を通すにはいくつかの条件がある。

 海底トンネルの復活、島レベル3以上、運転士一名の確保だ。

 資金やポイントは確保できているけど運転士がいないのだ。

 自分がやればいいと思っていたけど、それではダメなようで、魔法は発動しない。


「困ったなあ……」

「どうしたのですか?」

「鉄道を作るには運転士が必要なんだよ」

「運転士というのはなんでしょうか?」

「馬車における御者みたいなものかな。列車を操縦する人なんだ」


 ミオさんの顔がパァッと輝いた。


「それでしたら私に任せてください。これでも馬車の扱いは得意なんです」

「もちろんお給料は出すけど、専任で働いてもらうことになるよ。それでもいいかな?」

「セディーさんの役に立てるのなら願ってもないことです!」


 馬車では全然違うけど、魔導列車の操縦は難しいものではない。

 きっとミオさんなら任せられるだろう。


「それじゃあお願いしようかな」



 鉄道・地下鉄の作製:解放条件がすべて解除されました!

 条件:海底トンネルの復活・島レベル3以上・運転士一名の確保。

 説明:ガンダルシア島から陸地までの地下鉄を運航できます。

 必要ポイント:40

 必要資金:3000万クラウン


 よし、ポイントを消費して鉄道を作ってしまおう!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] エピソード67の「ガンダルシア島脱出作戦」だと 地下鉄作成の値段が2000万クラウンなので統一したほうがいいかと思います
[気になる点] ゲームシステム的な要素は島の中だけのはずなのに、簡単に高額な株を現金化するのに違和感。 ・それだけの現金を即用意出来たのか? ・折角立て直せた兄の友人の事業に影響が出ないか? など …
[気になる点] セディー子供領主なのに、めちゃくちゃ働くね。 前回の話から、昼食食べてないし。 ルールーは、いつまで漁師小屋に住んでいるんだろう? 当初は仮住い的な話だったから、島も最初の頃よりは豊…
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