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アイランド・ツクール 転生したらスローライフ系のゲームでした。のんびり島を育てます  作者: 長野文三郎
第二部

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42/110

食品加工場

4月17日にアース・スターノベルより1巻が発売されることになりました。

よろしくお願いいたします!


 ドアのノックで目が覚めた。


「セディー坊ちゃま、朝食を作りにまいりました」


 あの声はメアリーだな。

 僕の世話をするために、朝からやって来てくれたらしい。

 ロフトから降りて、扉を開けた。


「おはよう、メアリー。それにドウシルとカウシルも」


 メアリーの後ろには二人の兄弟もいてニコニコと笑っている。

 痩せて背の高い方が兄のドウシル、小さくてぽっちゃりしているのが弟のカウシルだ。

 昨晩は三人とも疲れた顔をしていたけど、オーベルジュでゆっくり休んだせいか、今朝は生き生きとしている。


「さあさあ、坊ちゃまは顔を洗ってきてくださいな。私が卵料理を作りますからね。ドウシルとカウシルは焚き付けを拾っておいで」


 そうすることが当然といわんばかりにメアリーはずんずんとキッチンへ進んでいく。


「魔導コンロがあるから焚き付けはいらないよ。それと、朝食の前に畑仕事を片付けなきゃ」


 そういうとメアリーたちはきょとんとした顔になった。


「畑仕事? セディー様が?」

「コテージの前に菜園があったでしょう? あそこを管理しているのは僕なんだよ」

「そんな、セディー様が畑仕事だなんて……」


 三男坊とは言え伯爵の子どもが畑仕事というのはめずらしいのだ。


「いつまでもお坊ちゃまじゃないんだよ。自分のことは自分でしないと」

「あの小さかった坊ちゃまが立派になられて……」


メアリーは涙ぐんでいるけど、僕はそこまでひ弱じゃないぞ。


「ご飯ならそのあとでいただくから、みんな一緒に食べようよ」

「一緒って、私や息子たちもですか?」


 ダンテスの屋敷では考えられないことだったけど、ここはガンダルシア島である。

 誰もが仲良く暮らしていくのがここのルールだ。

 それに、ドウシルもカウシルも小さなころからよく知っている。

 幼かった僕に泳ぎを教えてくれたのはドウシルだし、カウシルはいつも肩車をしてくれた。

 本当の兄たちよりよっぽど優しくしてくれたのがこの二人なのだ。


「キッチンに卵は3個しかないけど、鳥小屋に生みたてが四個あるはずだから、それを持ってきて。朝食の材料は好きなものを使っていいからね。ドウシルとカウシルにもたっぷり食べさせてあげてね」


 特にカウシルは食いしん坊なのだ。

 どうせならお腹いっぱい食べさせてあげたい。


「それじゃあ、俺たちは畑仕事を手伝いましょう」


 几帳面なドウシルが草を抜いてくれるのなら大助かりだ。

 僕らはそろって畑へ向かった。


 畑ではメロンが収穫の時期を迎えていた。

 サンババーノで買った種をまいたのが三日前だけど、もうみずみずしい実をつけている。


「父上、今日こそ美味しいメロンが食べられるのですね!」


 シャルはメロンに顔を近づけて匂いを嗅いでいる。


「甘い匂いがします。これ以上、待ちきれません」

「そうだね。せっかくだから朝食にみんなで食べよう」


 それを聞いてカウシルが腕をぶんぶん振りまわす。


「お、俺も食べていいんですか?」

「もちろんだよ。この菜園で採れる野菜や果物は本当に美味しいんだ」

「ありがとうございます! メロンなんて久しぶりだなあ」


 カウシルはシャルと一緒になってメロンの香りを嗅ぎ、二人して笑いあっている。

 どちらも食べることが大好きだから、いい友だちになれるだろう。

 こちらの世界でもメロンは高級品で、めったに食べられないご馳走である。

 しかも、こっちのメロンは日本のものに比べて糖度が低く、香りもよくない。

 だけど、ガンダルシア産のメロンの品質は日本産に勝るとも劣らないのだ。

 このメロンを食べたらカウシルは驚くだろうなあ。

 びっくりするカウシルの顔を想像しながら僕は楽しく草を抜いた。


 ダイニングテーブルには大好きなオムレツがのっていた。

 僕にとっては母の味と言っても差し支えない、懐かしい味である。

 採りたての完熟メロンも切って豪華な朝ごはんにした。

 領主と同じ食卓を囲むとあって最初は緊張していたメアリーたちだったけど、ご飯を食べているうちに打ち解けた雰囲気になった。

 朝食の席で僕はいろいろと聞いてみる。


「みんな、今日の予定はある?」


 すぐにドウシルが口を開いた。


「俺とカウシルはルボンで仕事を探すつもりです」

「俺は力持ちだから港で荷揚げを手伝うんだ。まあ、この島に仕事があれば、それがいちばんいいんだけどなあ……」


 カウシルがメロンをほおばりながら太い腕を見せつけてきた。

 その瞬間、僕のステータス画面が開いた。


 食品加工場の作製:解放条件がすべて解除されました!

 達成条件:商人と島の産物の輸出について契約を結ぶこと。

      二人の従業員を確保すること。

 必要ポイント:7


 これはチャンスだ。

 さっそくドウシルとカウシルの兄弟をスカウトしてみることにしよう。


「もしよかったら、島の食品加工場で働いてもらえないかな?」

「この島にそんな施設があるんですかい?」


 カウシルは嬉しそうにメロンを飲み込んだ。

 あるというか、これから建てるんだけどね。


「ちょうど人がいなくて困っていたんだよ」


 ドウシルも乗り気なようだ。


「この島で働けるんならありがたいですね。おふくろのこともあるから、あまり遠くには行きたくなかったんですよ」

「坊ちゃん、さっそくその食品加工場を見せてくだせえ」

「わかったよ、朝ごはんを食べたら行くとしよう」


 僕、シャル、メアリー、ドウシルとカウシルは連れ立って細い小径を原っぱに向かって歩いた。

 ここはヤギにススキを食べさせるときに来るくらいの場所だ。

 だから道も未舗装で細い。

 寂しいところへやってきたので、三人は心配そうに周囲を見回している。

 メアリーが遠慮がちに聞いてきた。


「こんなところに食品加工場があるのですか?」

「うん、着いたよ」

「なにもございませんが……」


 メアリー、そんな心配そうな顔をしなくても僕は正気だよ。


「みんなには僕の魔法を見せておくね。もっとも僕の魔法はこの島にいるとき限定だけど……」


 食品加工場を作るには7ポイントが必要だけど、僕の保有ポイントは47もあるから平気だ。


「父上、ガツンとやってしまってください!」


 派手なエフェクトがかかるのでシャルは僕の魔法が大好きなのだ。


「うん、大きな音がするから気をつけてね」


 断りを入れてから、僕はポイントを消費した。


 メアリーたちが腰を抜かしている前で、食品加工場はあっという間に完成した。

 思っていたより大きくないけど、初期段階ではこんなものか。

 背の高い一軒家で、石材と木材の両方が使われている。

 工場だけあって飾り気はほとんどない。


「さあ、中に入ってみよう」


 びっくりして座り込みそうなメアリーの手を僕はしっかりと支えた。


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