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すべての道はコテージへ通じる


 気持ちのよい朝だった。

 スッキリと目覚めたし、体に疲れは残っていなくて、やる気だけが満ちている。


 セディー・ダンテス:レベル3

 保有ポイント:39

 幸福度:100%

 島レベル:2


 幸福度が過去最高の100%だ! 

 美味しいものを食べて、温泉に入り、安全で快適なベッドで寝られたからだろう。

 もちろんリンと知り合えた影響も大きいな。

 僕は隣人に恵まれている。


 ルールーは陽気な友だちで、いつも美味しい魚介を届けてくれるし、船の動かし方や、海のことをたくさん教えてくれる。


 ノワルド先生は幅広い知識を授けてくれる立派な師だ。

 錬金術や魔法薬学にも精通している。

 先生が貸してくれる本はどれもおもしろいし、わからないところは丁寧に教えてくれる。


 黄龍のシャルは僕にいっぱい甘えてくるけど、それで助かっているのは僕の方だ。

 シャルが甘えてくれるから、僕は寂しくないのだ。

 それにシャルは力持ちなので、いろんなことを手伝ってくれるし、洞窟では僕の護衛もしてくれる。

 シャルとならどこへ行くのだって安心だ。


 新しく島に来たリンとも、よい関係を築けたらいいな。

 お、ステータスをよく見たらレベル3になっていた! 

 これで累積保有ポイントの最大値は45にまで増える。

 そろそろ島の施設をレベルアップさせる潮時だ。

 まずは洞窟のレベルを上げたいけど、やっぱり慎重に見極めていかないとね。


 朝のルーチンになっている畑仕事をした。

 昨日植えた玉ネギがもう芽を出している。

 玉の部分から真っ直ぐに伸びる葉は、ネギと同じように調理できるそうだ。

 ルールーはもう少し沖に出ればマグロが釣れるかもしれないと言っていた。

 もしも手に入るのなら、ネギトロ丼を作って食べたいものだ。

 そのためにも醤油の実を何としても見つけないといけない。


「よいしょ! よいしょ!」


 シャルが自分の体よりも大きな岩を畑の隅に運んでいる。

 今日、菜園に出現した岩はこれまでになく巨大だった。

 シャルがいなかったら当分畑の一区画は使えないままだったろう。


「父上、このお邪魔岩はここに置いとけばいいでありますか?」

「うん、とりあえずそこでお願い」

「はーい。えいっ!」


 シャルの放り投げた岩が音を立てて地面にめり込むと、ステータス画面が開いた。


 作製可能なもの:石畳の道

 説明:歩きやすく馬車も通れる石畳の道です。

 必要ポイント:5

 備考:三〇メートル分の石が貯まっています。


 思い出した! 

 アイランド・ツクールでは、石を集めると道路の整備が可能になるのだ。

 未舗装路のままだと、雨の後はぬかるんだりして歩きにくいんだよね。

 少しずつでもいいから道を整備していくとしよう。

 まずはコテージから架け橋に向けて三〇メートルを整備した。


「ふぉおおおっ! 道がぺったんこになりました!」

「いい感じだね。これなら歩きやすそうだ」


 コテージと懸け橋の間は二〇〇メートルくらいあるので全面開通にはまだ至らない。

 でも、いつかはすべての道を整備したいものだ。

 まあ、焦らずにのんびりやろう。


「父上、石があれば道がきれいになるでありますか?」

「そうだね。僕の保有ポイントも必要だけど――」

「だったら、シャルがもってくるであります!」

「はい?」

「しばらくお待ちを!」


 シャルは裸足のまま駆けていき、しばらくしてから駆け戻ってきた。

 シャルの両手は万歳のように高く掲げられ、その上には僕の何倍もある大岩が持ち上げられている。

 それなのにシャルの走るスピードは変わっていない。


「ただいま戻りました!」

「お、おかえり……」

「岩は先ほどと同じところにおきますね」


 ズシーン……。

 さっきよりも大きな地響きがして、巨大な岩が大地にめり込んだ。

 うん、道がさらに三〇メートル作製可能になっている……。


「いかがでしょう、父上?」

「ありがとう。おかげでもう少し道を延長できそうだ」

「でしたら、シャルはもっと岩を集めてきます!」


 言うが早いか、シャルはまたもや駆け出していき、何往復もして岩を集めてくれた。僕

 は岩が集まるごとに道を整備していく。


 シャルが頑張ってくれたおかげでコテージから懸け橋の道はすべて石畳になり、リンの食堂までの道まで整備することができた。

 今後、ポイントを振れば沿道には花壇や街路樹を設置することも可能だ。

 楽しみが広がっていくな。


「もっと岩を集めてきましょうか?」

「いやいや、ポイントは4しか残っていないから、今日はもう作れないよ」

「それは残念であります……」


 自分が運ぶ岩が次々と道になるのが楽しかったのだろう。

 もう出来ないと言うと、シャルはしょんぼりしていた。


「作れるようになったら、シャルにお仕事を頼むからね。そのときはまた大きな岩を運んでくれるかな?」

「シャルに任せてください。こーーんな大きな岩だって、シャルが運んでみせますから」


 小さな手足をいっぱいに伸ばして、シャルは岩の大きさを表現していた。

 他の人が見れば、小さな子どもが少し大きめの石を運ぶと思ってしまうだろう。

 でも、最強種のシャルが運ぶのは、3トンはある大岩だ。

 かわいくもあり、頼もしくもあった。


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